吸血鬼さんは幼児に癒されたい。
とある日の放課後。
私は一人で教室で書類を作っていた。
これは今日中に終わらせないといけないので、絶賛頑張り中だ。
だけど、少し不安がある。
現在の時刻は丁度空が茜色に染まるころ。
つまりは逢魔時。
最も魔の者なんかが出てくる時間。
しかも最近、この学校では何かが出ると噂が多い。
まぁ、そんなの迷信で非科学的だから、幽霊なんて存在するわけないけど。
えっ?
私は不死身の吸血鬼で非科学的な存在の塊だって?
それはそれ、これはこれ。
とにかく、幽霊なんて、存在しない。
それとはまったく関係なしに書類の完成に向けてのスピードを上げる。
幽霊とかは全く関係ない。
本当だよ?
ただ、その~、えっ~と、
そう!早くおうちに帰ってご飯が食べたいだけ!
早く帰りたいのに幽霊のことなんて全く関係ない。
おなかが空いてるだけだから!
そんなわけで順調にゴールが見えてきた時、
「……こ………え………ん」
何かが聞こえた気がした。
あはは。気のせいだよね!
「……お………ちゃ……」
気のせい!
気のせいに決まってる!
「……ミコ…………ん」
何か今私の名前が聞こえた気もするけど気のせい!
だけど、その私を呼ぶような声は数回続いた。
そして、私の腕が急に何者かによって引かれる。
「ご、ごめんなさい!!!
別に何も悪いことしてないのに、突然腕を引かれたことに対する恐怖心から反射的に謝ってしまった。
「ミコ……お姉ちゃん……」
そして今度ははっきりとその呟きが聞こえた。
……。
あれ?
聞き覚えのある声のような?
その聞き覚えのある声に、思わず瞑っていた瞼を開けると、そこには涙目の金髪ケモミミショタ――魔王ルシフェルが居た。
「無視……しないで……」
うるうると今にもこぼれてしまいそうなほど目に涙をためたルシフェル。
そんなルシフェルに慌てて言葉を返す。
「ご、ごめん!ルー君だって気づかなくて!
本当にごめん!泣かないで!」
慌ててて口からは言い訳の言葉が出てくる。
そんな情けない私に対しルシフェルはうるうるとした瞳のまま訪ねてくる。
「ボクのこと……嫌いに……なってない?」
「もちろん!!!大好きだよ!」
そんなのあり得ない。
私がルー君のこと嫌うなんてこと、絶対にない。
だから、ありたっけの気持ちで本心を伝える。
「………ほんと?」
「もちろん!大好きだよ!」
「……えへへ」
不安そうな顔で再度訪ねてきたので再び大好きと伝える。
そうすると、ルシフェルは照れたように微笑んでくれる。
可愛い。
その微笑みにドキッとしてしまう。
「ごめんね、不安にさせて。本当に大好きだから」
三度本心を告げてから照れて頬を赤くしたルシフェルの頭を優しくなでる。
そうすると更に可愛く微笑んでくれて、その微笑みに私は更に心臓の鼓動を早くした。
「……邪魔じゃ、ない?」
暫く和んだ後、中断していた書類仕事に戻った。
しかし、さっきまでとは状況が全然違い、現在私の膝の上にはルシフェルが座っている。
「全然。むしろルー君がちかくて幸せではかどるよ」
「……そう?」
「うん。でも、ルー君が嫌なら降りてもいいよ?」
「……ううん。……ボクも……ミコお姉ちゃんと居ると……幸せ」
……。
やばい。嬉しすぎる。
それに、可愛すぎる。
下から私の顔を見るように覗き込んでくるのも可愛い。
ケモミミがぴょこぴょこと動いてるのも可愛い。
ルー君、可愛すぎる。
これはあの社畜さんの気持ち、凄く分かるわ。
こんな可愛い子に癒されてたら、何日でも何時間でも仕事出来る。
「ルー君、大好きだよ」
「……ボクも……大好き」
心臓がかつてないほどの鼓動しているのを感じながらも私たちは少しっ頬を赤くして、微笑みあった。
な「やっぱりショタコン……」




