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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
46/79

ヴァンパイアループ

 太陽の光がキラキラと輝く晴天のとある日。

 邪神を倒して日本に帰るまでの暇な時間、私たちは海にやって来ていた。

 目的は釣り。

 今日のメンバーは私とカレン、凪咲に双子のの仄香と冷香のいつもの五人メンバーだ。


 「よーし!いっぱい釣るぞー!」


 仄香が天に向かって拳を突き上げる。

 それに続いて私と凪咲が元気に拳を上げ、カレンと冷香の二人は少し恥ずかしそうにしながら拳を上げた。

 

 「あれ?巫子の釣り竿、ワタクシたちのと少し違いませんの?」


 私のもつロットを見たカレンが可愛らしく首を傾げながら私に問うてくる。


 「ふっふっふっ。それはね、これはフライフィッシング用のだからだよ!」


 皆によく見えるように、釣り竿を前に突き出し説明する。


 「フライフィッシング?」


 あまり聞きなれない単語に皆首を傾げている。凪咲以外。


 何故急につりなのかというと、あの子たちが釣りを楽しそうなのを見て、私もしたいと思ったから。

 だから、私はフライにしたのだ。


 「分かった!フライを釣るんだね!」


 元気よく手を上げながら答える仄香。

 その言葉に皆で首を傾げる。今度は私と凪咲もだ。


 「お姉ちゃん。フライを釣るって何?」


 妹の冷香が姉に質問する。

 それに「当たり前でしょ」という顔をしながら答えた。


 「そんなの決まってるじゃん!

 フライ、つまり揚げ物の魚のことだよ!

 ミコのかそれ専用の何でしょ!」


 ドヤ顔で説明する仄香。

 私に視線を向けてきて「正しいだろ」と言わんばかりの顔をしている。

 

 だけど、全く意味が分からない。

 つまり仄香が言いたいのは、魚のフライを釣るって言いたいのかな?

 そうとしか聞こえないんだけど、そんなわけがない。

 魚のフライが泳いでるとかありえないし。


 「……お姉ちゃん」


 呆れた視線を姉に送る妹。

 否、妹だけでない、この場に居る皆が仄香に呆れた視線を送っていた。


 「えっと、フライフィッシングとはなんですの?」


 冷香が仄香に色々と説明している間にカレンが話を戻して再び私に訊いてくる。

 私も仄香のことは冷香に任せて説明することにした。


 「フライフィッシングって言うのはね……」


 あれ?なんだろう?

 普通の釣りとどう違うんだっけ?


 説明しようとしたんだけど、よくわからないので説明できない。

 釣り竿はこういうのっていうのは分かるけど……。


 「ぷぷ、にわか」


 凪咲が小さく笑いながら呟いた。

 反論したいところだけど事実なので反論できない。


 「そ、そんなこと言うなら凪咲がしてよ!」


 どうだ。確かに私はにわかかもしれないけど、それは凪咲も同じ。

 だから他人のことは言えないはず。


 「私は知ってるなんて言ってないけど?」


 そうでした。

 凪咲はただにわかって言っただけでした。

 フライについては何も言ってない。

 

 凪咲はいつも道理ニマニマしている。

 きっと私がああいうってわかってたんだ。

 また、やられた。


 「と、とりあえず、こういう釣り竿で釣るのがフライフィッシングだよ!」


 それしかいえないのでこれで押し通す。

 だけど、カレンと仄香は首を傾げる。

 冷香は何かを察したように、こんどは私に呆れた視線を向けてくる。

 凪咲はくすくすと肩を震わせていた。


 「フライっていうのは、このエサに見立てた疑似餌のことで、これを使うからフライフィッシングって言うんだよ」

 

 くすくすしながら私に変わって説明してくれる凪咲。

 そんな凪咲に驚きの視線を向ける。

 

 しってたの!?

 それならさっき教えてよ!?






 「よーし!いけー!」


 仄香が海に向かい釣り竿を振りかぶりキャストする。

 そんな仄香に続いて皆もキャストしていく。


 「それっ」


 私も皆に続いてキャストした。

 けれど、私のだけ全然飛んでいかない。

 ふにやふにゃと近くに落ちて行った。


 「あれ?」


 引き戻してもう一度。

 けど、結果はさっきと同じで全然遠くまで飛ばない。


 「巫子ちゃん、フライはおもりがついてないんだよ?」


 少し呆れたように言ってくる凪咲。


 そうだった。

 忘れてた。

 何かくるくるして投げるんだった。


 あの子たちがやっていたのを思い出しながら、ロットを前後に振る。

 だけど、全然綺麗に円を描けなくて遠くまで飛ばない。


 難しい。


 「釣れた!」


 私がキャストに苦戦している間に皆はどんどんと釣っていく。


 「巫子ちゃん、諦めたら?」


 魚を釣り上げながら言ってくる凪咲。

 だけど、諦められない。

 せっかくなんだし、フライで釣りたい!


 そう思いながらめげずに何度も繰り返して、ようやく遠くまで飛んだ。


 「やった!!」


 それからしばらく待つ。

 後は待つだけ。

 

 「来た!」


 暫く待って居ると魚がかかった。

 確認したと同時に思いっきりラインを引っ張る。

 吸血鬼の怪力もあって一瞬で魚は私の元までやってきた。


 「やった!……!?」


 嬉しくて喜んだんだけど、釣り上げた魚を見て言葉を失う。

 

 「やっぱり!魚のフライだ!」


 私の釣り上げた魚は仄香の言う通り、魚のフライ。

 周りがカラッと揚げられていて、今揚げたかのようになぜか熱々だ。


 「……」


 仄香以外、皆そろってフライを見る。

 それから視線を私に移して「どういうこと?」と視線で問いかけてくる。


 そんなの、私が訊きたい。

 

 何でフライが泳いでるのとか、

 何で今まで海の中に居たのに熱々なのかとか、

 不思議なことしかない。


 さすが異世界。

 科学では説明できないファンタジーなことが色々起るなー。


 そんな現実逃避しながらも、釣ったフライも美味しそうだなぁと思うのであった。

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