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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
プロローグ
4/79

ダンジョン攻略

今はダンジョンに来ている。

 ダンジョンはお城(私たちが召喚された場所)から少し離れていたがそこまで離れていたわけではなかってため、みんなで徒歩で向かったのだが、歩いているときに周りの人たちから「勇者様たちだ!」と騒がれ、中にはこっちに手を振ってくる人なんかもいて賑やかにダンジョンについた。


 ダンジョンはゲームなんかのものと大体同じ。

 地下へと進んでいく形で、今は40階までしか攻略されていない。なんでも40階のボスを倒さないといけないらしいのだが、なかなか手ごわいらしい。

 ボスは10階ごとにいて、倒しても一週間ほどで復活する仕組みらしい。

 本当にゲームっぽいよね。


 何故私たちがダンジョンに来ているのかというと、それはもちろんレベル上げのためだ。

 怖がってお城に残っている子もいるが大半は「楽しそう」とダンジョンに来ている。

 来ているのは私たちだけでなくマーリンなんかのお城からの護衛付きだ。ちなみにマーリンはレベル70ぐらいらしい。

 ダンジョン攻略は基本的みんなでやるのだが、ステータスプレートを使えば5人組のパーティーが作れるのでそれがメインになる。


 私のパーティーは私と凪咲、上田先生、仄香、冷香れいか

 仄香が勇者で上田先生が聖女だから一緒になり、

 冷香は仄香の双子の妹でいつも仄香の面倒をみているから一緒になり、

 凪咲は特殊能力の鑑定で勇者と一緒になり、

 私は盾役で一緒になった。


 勇者を一番鍛えようとなり、そうなるとっその分危険も増える。だから出来るだけバランスよく強くなるようにした結果の勇者パーティーだ。


 仄香の特殊能力は「勇者の力」。「勇者の力」は自分の身体能力の超強化がメインで、あとは聖なるもモノの効果がアップとかもある。


 上田先生の特殊能力「聖者の祈り」はゲームなんかでいうヒーラーとほとんど変わりないがその効果は桁違い。こっちも聖なるモノの効果がアップする。


 凪咲の「鑑定」がなぜこのパーティーに入るきっかけになったかというと、「鑑定」の能力が物や生物を鑑定できるから。まあ定番と言えば定番の効果なので説明はいらなかったかもね。

 補足で説明しておくと物を鑑定したときに分かるのは名前と状態。生物を鑑定したときに分かるのは名前、種族、レベル、能力、状態etc.だ。生物の場合、相手のレベルが高すぎたりしたらわからない場合がある。


 冷香は職業が魔法使いで特殊能力が「無詠唱」。

 この世界の魔法は必ず詠唱が必要だが「無詠唱」の効果により必要なくなる。

 「無詠唱」はそのままなので細かな説明は省く。


 これで前衛が私と仄香。後衛が凪咲、冷香、上田先生だ。


 えっ?なんで精霊使いの私が前衛なのかって?

 言ったでしょ。盾役だって。

 私はどんな傷もすぐに治るから体を盾にみんなを守るんだよ。

 ちなみにっ武器はハンマー。

 何故って、それは吸血鬼である怪力を一番生かせるぶきだからだよ!


 それに…‥精霊使いとしては全然役にたたないから…‥。


 精霊使いは精霊と契約するか周りにいる微精霊を遣うことで精霊術が使える。

 だけど私は精霊と契約していないしダンジョン内には殆ど微精霊がいないそうなので精霊使いとしてはできることがないのだ。

 試しにダンジョンに入ってから精霊視を発動させてみたが微精霊が見えなかった。

 お城で試した時は空中に色んな色の光の玉のようなものがふわふわ浮かんでいるのが見えた。イメージ通りできれいだった。

 精霊視の説明はそのままなので割愛する。






 一階を探索していた時、ゴブリンらしきモンスターに遭遇した。


 「あっ!あっれて、ゴブリンじゃない!?」


 「おー!そうかも!ちょっと待ってね」


 私の言葉に反応した凪咲が鑑定をする。


 「やっぱりそうだよ!レベルは3!」


 「すごい!ゲームっぽい!」


 「ちょっとお姉ちゃん。構えないと危ないよ!」


 興奮した仄香を冷香が落ち着かせる。

 仄香はテンションがすごく上がってるみたいだけどその気持ちも分かる。凪咲もテンションが上がってる。冷静なのは上田先生と冷香だけみたい。


 「でもゴブリンのくせに私たちよりレベルが高いとか生意気じゃない?」


 凪咲が私に同意を求めてくるけど私たちはまだ何も倒してないんだし仕方ないと思う。少し気持ちは分かるが。


 「あなたたち何普通に話してるの。モンスターが来たわよ!」


 上田先生の言葉にゴブリンのほうに目を向けると、持っていたボロボロの剣を振り上げこっちに向かって来ていた。


 「あたしがやる!」


 仄香が前に出てゴブリンの剣を左手の盾で受け止めた。


 「思ったより全然軽いじゃん!このまま」


 右手で持っていた剣をゴブリンに振るう。剣で切られたゴブリンは血を流すことなく塵の様になっ消えてしまった。

 あっさりと倒したがレベル1ではこうも簡単に普通は倒せないとあとでマーリンンに聞いて知った。勇者の力のおかげらしい。


 「おー!ホントにゲームっぽい!」


 この光景にさらにテンションの上がる私と凪咲と仄香。

 ダンジョン内のモンスターは倒すと塵になるのだが「なんで?」と聞くと「そういうもの」と言われたので全く仕組みが分からない。流石ファンタジーだ。


 「ドッロプはなしかー」


 地面をキョロキョロと見ていた仄香が呟く。

 ここもゲームっぽくモンスターを倒したらアイテムがドロップすることがあるらしい。


 「レベルは…‥流石に上がってないか」


 ステータスプレートを見ていた凪咲が呟いた。

 レベルもゲームと同じ様にモンスターを倒すと上がりパーティーを組んでいると獲得経験値が全員に均等に分配される。


 「よーし!じゃあ次にいこー!」


 そんな感じで私たち勇者パーティーの初戦闘は無事に終わった。






 ダンジョンを進む途中、事件が起きた。

 それは5体目のモンスターを倒した後のことだった。


 「あっ!レベル上がってるよ!」


 いつも通りモンスターを倒した後にステータスプレートを確認していた凪咲から嬉しい報告があがった。


 「本当ね」

 「やったー!」

 「お姉ちゃん嬉しいのは分かるけど落ち着いて」


 凪咲の言葉を聞いたみんなも自分のステータスプレートを見てレベルが上がっているのを確認し、各々喜ぶ。

 冷香も仄香を落ち着かせているが顔がすごく緩んでいるのでみんな同様レベルが上がったのが嬉しいのだろう。


 私もみんなに続いてステータスプレートをみたのだが、


 「あれ?上がってない?」


 私のステータスプレートのレベル表示は1のままだったのだ。


 「みんな本当に上がってるの?」


 「うん。ほら、上がってるけど…‥ホントだ。巫コちゃんだけ上がってないね」


 私の言葉を聞いた凪咲が自分のステータスプレートを見せながら私のステータスプレートを除き込んでくる。凪咲のステータスプレートのレベル表記は確かに2になってた。


 「な、なんで、私だけ上げってないの?」


 あまりの衝撃にわたわたと同様してしまう。

 レベルが上がってると思ってわくわくしていた分、衝撃が大きかったのだ。


 「ほらほら、お年寄りなんだから落ち着いて」


 「お年寄りじゃないわ!」


 はぁ、はぁ。

 凪咲の失礼な言葉に思わず大声で叫んでつっこんでしまった。

 確かに私は数百歳を超えているけど決してお年寄りではない。ないのだ。

 強いて言えば永遠の16歳なのだ。


 まあでも、凪咲のおかげで落ち着いた。深呼吸をして息を整えてお礼を言う。


 「ありがと。落ち着いたよ」


 「いえいえ。これからも何かあったら今みたいに巫子ちゃんであそ、いじって落ち着かせてあげるから安心して」


 「今、遊んでって言いかけたよね!しかも言い直してもいじってだからあんまり変わらないし!」


 お礼を言ったのに、またからかわれてしまった。

 でも、やり方はともかくとして私が困ったときにこうやって一番に助けてくれるのが凪咲なんだよね。

 私は凪咲のこういう所が好きだ。恥ずかしいし、言ってもそれでからかわれそうだから絶対に言わないけどね。


 「巫子ちゃんだけレベルがあがらなかったのって吸血鬼だからじゃない?」


 凪咲にそう言われたけど冷静になって考えたらそうとしか思えない。種族が違うんだしレベルが上がるための必要経験値が違ってもおかしくない。


 「うー。そうかも。吸血鬼はレベルが上がりにくいのかも…‥」


 残念なことを知ってしまった私はみんなに背中を押されながらとぼとぼとダンジョン攻略に進むのだった。






 それから私たちはダンジョンを攻略しながらどんどん進み、ついに最初のボスがいる10階にたどりついた。

 みんなのレベルは10。私は1。全く上がっていない。

 私のステータスプレートが壊れていて表示が変わらないのかと思いもしたが、そうではなかった。

 何故ならレベル以外の場所に変化があったからだ。




 それは4階に入ってモンスターを倒した後、期待を込めてステータスプレートをみたがレベルは1のままだった。


 「まだ上がってない…‥えっ」


 ステータスプレートを見た私は思わぬ変化につい驚きの声がでてしまった。


 「どうしたの巫子ちゃん?レベルあがってた?」


 私の声を聞いた凪咲が何かと尋ねてきたのでステータスプレートを見せて答える。


 「これ、見て」


 「まだ上がらないんだね…‥えっ」


 ステータスプレートを見た凪咲が私と同じ反応をする。


 「どうしたのー?」


 私たちの反応を不思議に思った仄香たちがステータスプレートを見てみんな同じ反応をする。


 うん。そうなるよね。

 何故私たちが驚いているのかというと、

 職業に大槌使いが増えていたからだ。


 いやいや。確かにずっとハンマー使ってたけど。だからって職業に追加とかされるの?

 みんなも私になんともいえない視線を向けるのやめて!

 今までモンスターは全部ハンマーで振り回して潰してただけだから、、みんな私のことのうきんとか思ってるんでしょ!

 違うからね!私は数百年生きる知的な吸血鬼の真祖だから!

 凪咲が私の肩にぽんっと手を置いてきたけどやめてってば!




 そんなことがあったので私のステータスプレートは壊れてないと思う。


 そうだとしたら私のレベルはいつ上がるんだよー!?


 そんなことを考えながら私たちはボス部屋の扉を開いた。

 

 

次回邪神討伐です。

今回の続きは本編でする予定です。

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