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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
39/79

vampire op.Destiny  【異世界編】

邪神討伐から少し経ったとある日。


 「ねぇねぇ、ミコちゃん聞いた?新種の魔物の話」


 「何それ?」


 凪咲の突然の話題に首を傾げる。

 

 「えっと、隣の国で出たらしいんだけど、その魔物音楽が嫌いなんだって」


 凪咲の言葉に少し納得する。

 新種の魔物自体は確かに珍しいけどこの子が興味を持つようなことじゃなかったから何でこんな話をしだしたのか少し疑問に思ってたんだけど、それなら納得だ。


 音楽が嫌いな魔物。

 多分、あの作品を連想させたから私に言ったのだろう。


 「気になるでしょ?」


 「うん。凄く気になる」


 と言うことで私たちはその新種の魔物を見に行くことになった。







 隣国の新種の魔物が出ると言う近くの町までやってきた私たち。

 今日は私と凪咲、双子の仄香、冷香の四人で来た。

 王女様のカレンもついてきたそうにしていたが、今日は外せない用事とかで来れなかった。


 「それで、どこに出るの?」


 「これからそれを聞きに行くんだよ」


 仄香の疑問に妹の冷香が答える。

 大体この地区とは聞いてきたが詳しい場所は分からないのでこれから聞き込みに行くところなのだ。






 「ここ?」


 「うん。この辺りが一番出るんだって」


 聞き込みの結果、近くの荒野で出ると分かったので私たちはそこにやって来ていた。


 「それで、現れるまで待つの?」


 仄香の疑問に凪咲が持ってきていたキーボードを取り出しながら答える。


 「違うよ。これでおびき出すの」


 そう言いながらキーボードを弾く凪咲。

 曲はベートーヴェンの運命。

 この曲にした理由はもちろん、あの子からとっているのだろう。


 「来た!」


 曲を弾き始めてしばらくしたころ冷香が声を上げる。

 彼女の指さす方を見ると青紫のゴリラのような魔物が三体、こちらに向かって来ていた。


 「よし!やるぞー!」


 剣を構えて突っ込んでいく仄香。

 それを見た冷香も、仄香に試練魔法をかけていた。


 「ほら、出番だよ。ポンコツ吸血鬼」


 「ちょっと、ポンコツって何!?」


 いつの間にか手に持っていた指揮棒を振りながら私に指示を出してくる凪咲。

 それはいいのだけど、流石にポンコツはやめてほしい。


 「そんなことより早く」


 指揮棒を振りながら急かしてくる。

 仕方がないので今はそれに従うことにする。 

 だけど後で絶対に仕返ししてやる。


 せっかくなので持ち前の変身能力を駆使して服を変えてみる。

 赤を基調としたバトルドレスをイメージしてみた。

 

 突っ込んでいき愛用の巨大なハンマーを振りかぶる。

 振り下ろした直後、ゴリラの魔物は私のハンマーを躱した。


 「何処狙ってるの。ポンコツ吸血鬼。ちゃんと狙って」


 後方から指揮棒を持った凪咲から言葉が飛んでくる。

 こっちは命がけ(嘘)で戦ってるのに酷い。


 まぁ、この魔物。思ったよりも動きが早いだけでそんなに強い魔物ではない。

 凪咲もそれが分かっての言葉だろう。

 本当に危険なら、彼女ならふざけてないで手伝ってくれる。


 「よーし。二体目ー!」


 仄香は早くも二体倒してしまっているみたいだ。

 これは負けていられないな。


 




 「意外と楽だったね」


 私が最後の一体を倒した後、皆で集まって話をする。

 

 「ミコちゃんは苦労してたけどね」


 仄香の言葉に凪咲が余計なことを言う。

 それから私はそんなに苦労はしていない。

 最初の一発こそ躱されたけど、その後の攻撃はしっかりと当てた。

 思っていたより速かったと言うだけで攻撃が当てられないような速さではなかったのだ。


 「ところで、何その恰好?」


 私の姿に首を傾げる冷香。

 それに対してはあの作品のことを説明した。


 「そんなことより凪咲」


 「な、何…‥?」


 怪しく口角を上げて近づく私から距離をとる様に一歩引く凪咲。


 「代償、貰おうと思って」


 「代償…‥?」


 「うん。代償」


 鬼歯を見せつけながら近づいていく。


 あの子を使う時も代償が必要なんだから凪咲にも払ってもらう。

 これはさっきの仕返しだ。

 

「私はポンコツだからエネルギー()がいっぱい必要なんだよ。

大丈夫、腕とか寿命とかは取らないから」


 「ちょっと、待って」


 凪咲を押し倒して血を吸う。

 

 「ミコちゃんの、変態…‥」


 

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