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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
35/79

ハロウィン

 今日は10月31日。

 つまり、ハロウィン!


 「トリック・オア・トリート」


 皆に向かって手を出しながら言う。


 「はい、どうぞ。

 ワタクシもトリック・オア・トリートですの」


 差し出した手にお菓子を乗せてくれた後、カレンから合言葉を言われる。

 カレンは歯に鬼歯をつけ、黒いマントを羽織り吸血鬼の仮装をしている。

 ハロウィンの説明をした時、何の仮装をしたいかと訊いたら吸血鬼がいいと言ったからだ。

 私と同じになりたいと少し恥ずかしいけど嬉しいことを言ってくれた。


 「はい」


 そんなカレンにお菓子を返す。


 「ミコ、はい! 

 トリック・オア・トリート!」


 今度は仄香から貰い、お菓子を返す。

 仄香は狼の耳に狼の尻尾を付けた狼女だ。

 最初は「狼男にする!」って言っていたんだけど、妹の冷香に「お姉ちゃんは女の子でしょ」とツッコまれて狼女と言い直していた。


 「はい。巫子ちゃん。

 トリック・オア・トリート」


 今度は冷香から貰いお菓子を返す。

 彼女は三角帽子にローブ、魔女の仮装だ。

 異世界でも魔法使いとしての才もあったし、とても似合っている。


 「はい。巫子ちゃん。

 トリック・オア・トリート」


 最後に凪咲。

 彼女は先端がスペードの様な形をしている尻尾をつけたサキュバスだ。

 少し露出度が高い気がする。

 そんな彼女からもお菓子を貰ったのでお返しに返したのだが。


 「えっ?巫子ちゃんはイタズラの方がいいんじゃないの?

 私サキュバスだよ?」


 と、意味の分からないことを言ってくる。

 サキュバスだから何なんだ。


 「巫子ちゃん、エッチな女の子好きでしょ?」


 「な、何言ってんの!?」


 エッチな女の子が好きだなんて誤解だ。


 「そ、そうなんですの?」


 顔を赤らめたカレンな訊いてくる。

 それを慌てて否定する。


 全く、凪咲め。


 「巫子ちゃんの好きにして良いよ?」


 まだボケを続けてくる凪咲。

 だけど、


 ゴクリ。


 思わず喉が鳴ってしまう。

 露出もかなり高めで凪咲の綺麗な肌が見えていて、胸部にある大きな二つの膨らみもいつにもなく目立っている。

 更にはいつもは見えない部分の首元まで見えている。


 わざとだ。

 凪咲はこうすれば私が欲情すると分かっていてやっている。

 サキュバスと言うよりは小悪魔だ。


 だけど、欲情してるなんてバレたらもっとからかわれそうなので平常を装う。


 「ほら、お菓子が欲しいんでしょ」


 「なーんだ。吸わないのかー。

 今なら出血大サービスしてあげたのに」


 ニマニマした顔でそんなことを言う凪咲。

 そして、怪しい笑みをする。


 「じゃあ、カレンちゃんに吸ってもらう?

 今のカレンちゃんは吸血鬼なんだし吸われてみたら?」


 「なんでそうなるの!?」


 いくら吸血鬼の格好をしているからって吸血なんて出来るわけがない。

 それなのに凪咲の言葉を聞いたカレンが耳まで真っ赤にしながらゆっくりと近づいてくる。


 「そ、それでは、一口だけ•••••」


 「なんで本気にしてるの!?」


 珍しく凪咲のボケに乗ってくるカレンに驚いてしまう。

 

 「だ、ダメですの?」


 少し•••••かなりガッカリしたように訊いてくる。

 

 •••••これは、否定できない。


 「分かったよ。はい」


 首元を見せながらカレンに近づいていく。


 「あ、ありがとうですの。

 で、では、」


 そして私の首元に柔らかい感触が伝わってくる。

 少し吸われたかと思った後にその感触は私から離れて行く。


 顔を離したカレンは真っ赤になった顔を隠すように背を向けてしまう。


 私の方を見てずっとニマニマしている凪咲。

 仄香は何故か笑っっている。


 いったいどういう状況?


 「巫子ちゃん、キスマーク付いてるよ」


 この状況の説明は冷香が鏡を見せながら教えてくれた。

 私の首元には確かにキスマークが付いている。


 「••••••••••」


 「どうしたの?巫子ちゃん?そんなに赤くなって」


 「う、うるさいな!」


 今日はいつにも増して凪咲にからかわれている気がする。

 熱で暑くなった顔を誤魔化すように私はそんなことを考えていた。

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