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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
34/79

世界最高の吸血鬼、異世界に転移する

 「あなたに勇者の暗殺を依頼します」 


 暗殺?はい?

 一体どういうことだろう?


 私はいきなり目の前の美人な女性にそう頼まれた。


 これって、どういう状況?

 昨日確かにカレンと自分の部屋で寝たはずだけど…‥。

 ここどこ?

 それから、この美人は誰?


 「聞いていますか?」


 状況を理解できずにポカンとしていた私に首を傾げながら訊いてくる。

 

 「あ、えっと…‥状況が理解できていないんだけど…‥」


 いきなりこんな知らないところに連れてこられて訳が分からない。

 もしかして、またまた異世界?

 

 「そうですね。それでは依頼の前に状況を説明しましょう」






 目の前の美人さん―――自称女神様に訊いた説明はこうだ。

 やはり、またまた異世界らしい。

 ホントいい加減にしてほしい。

 どうして私ばかり転移するの?

 確かに最初は楽しかったけど、何回もされると飽きるし、どうせなら皆も一緒に連れてきてほしい。


 そしてここは異世界に行く前の神様のいる世界。

 本来なら死んだ人間が来るところらしいんだけど、何らかの手違いで私が連れてこられたらしい。

 

 …‥私、寝ている間に死んだとかないよね?

 まあ、私は不死身だからないと思うけど。


 それから、本来呼ばれた人に依頼する予定だった勇者の暗殺を私に頼んできたと。

 全くどういうことだろう?

 この女神様、ちょっと適当だよね。

 説明も雑だったし。

 

 「状況は理解できましたね。それでは転移を始めます」


 ちょ、ちょっとまって!?

 いきなりすぎない!?

 というか、その暗殺、承諾とかしてないけど!?


 「あぁ、これが勇者です」


 私の額に女神様が指をあてる。

 その瞬間に勇者に関する知識が流れこんできた。


 うん。成程。だから暗殺してほしいのね。

 理由は分かったけど、だからって承諾したわけじゃない。


 「そっれでは」


 だから待って!?

 それから、転生(転移だけど)特典貰ってないけど!?


 そんな文句を言う前に目の前が眩しく光り目をつむった。






 「ここは?」


 目を開けると知らない場所だった。

 多分というか間違いなく異世界だろう。

 

 はぁ。

 もしかして、勇者を暗殺しないと帰れないとか?

 面倒なことになって来たな。

 何もしないで魔王ルシフェルを待っているという手もあるけど、どうしよう。

 あの子ならきっと迎えに来てくれると思うけど、いつになるかは分からない。


 そう思っていると私に話しかけてくる人物がいた。


 「何だお前?何処から現れた?俺を誰か分かってんのか?」


 …。

 あの女神様、急かしすぎじゃない?

 

 私に話しかけてきたのは勇者その人。

 これは早く暗殺しろってことだろうか?

 というか、これじゃあ暗殺とかできないでしょ。


 「おい!?聞いてんのか!?」


 暫く無言にしていると、怒鳴ってくる勇者。

 

 女神様から貰った情報によると、この勇者、昔はちゃんとした英雄だったらしい。

 けど、いつからか落ちぶれてしまったと。

 そして、神を恨むようになり、神に牙をむこうとした。

 だから暗殺依頼が私に来たんだけど…‥そんなのこの世界の人に任せればいいじゃん。


 そう思ったんだけど、既にそうなっていた。

 この勇者、既にこの世界の住人に殺されているのだ。

 だけど、アンデットとして甦り、そしてその際に強大な力を得てこの世界の人々では対処できなくなったのだとか。


 それなら私にも特典が欲しかった。


 「あー、えっと、女神様から頼まれてきたんだけど…‥」


 「あのクソ女神の!?畜生!

 ならお前も殺してやるよ!」


 「ぐふっ!!??」


 そういうなり私の胸に剣が刺された。

 

 速い!?

 全く見えなかった!?

 

 「ははは!俺の剣は誰も躱せない!」


 これは…‥ただ速いだけじゃないな。

 多分他の方法だろう。


 「な!?何故死んでない!?」


 胸に突き刺さった剣を抜いてへし折る。

 死なないけど痛みはあるからね。

 それから服も穴が開いて血でべっとりだし。


 「く、クソ!?」


 またいつの間にか私の身体に剣が刺さる。

 しかも、今度は一本ではなく何本も。


 痛い。

 ものすごく痛い。

 全身が剣に刺されて痛い。

 痛みで涙も出てくる。


 そんな時、私の目の前に見知った顔が現れた。


 「巫子お姉ちゃん!?」


 急に現れたのはルシフェル。

 もしかして、私を迎えに来てくれた?


 「だ、大丈夫、だよ」


 痛みに耐えながらも焦るルシフェルの頭に手を乗せ撫でる。


 「だ、誰だ!?それに、何故死なない!?」


 いきなり現れたルシフェルと死んでない私に驚く勇者。

 そんな勇者を無視して体中に刺さる剣を抜いていった。


 「クソ!?」


 またくる!

 どうやってるか分からないけどいい加減やめてほしい。

 痛いのは痛いのだ。


 だけど、今度はそうはならなかった。

 

 「な…‥」

 

 勇者も驚いている。

 失敗?

 

 「…‥巫子お姉ちゃんを…‥イジメるな!」


 珍しく怒っているルシフェル。

 もしかして、この子が止めてくれたのかな?


 「な、なんなん、ぐふっ!」


 天高く飛んでいく勇者。

 ルシフェル容赦ないなー。


 「帰ろう?」


 「うん。ありがとう。ルー君」


 こうして私はルシフェルに連れられて日本に戻ってきた。

 勇者のことは、あの女神様に任せよう。






 ――――――――――

 「あれ?あの子、地球に戻ってない?」


 世界を壊そうとしていた勇者を暗殺してもらおうと呼んだ子がいつの間にか地球に帰っていることに気づいた。

 どうやって、帰ったんだろう?

 まだ勇者が死んでないのに。


 まあいいわ。

 もう一度呼べばいいのだから。


 改めてあの子を召喚する。

 あの子が来たのは偶然だけど、また新しい子を呼ぶのは大変だからあの子にする。


 「あら?」


 失敗した?

 私の目の前には誰もいない。


 「巫子に何か用か?」


 と、思っていたら精霊が一人目の前にいた。

 今度は精霊を召喚しちゃったのかしら。

 私、召喚こんなに出来なかったかしら?


 あれ、でもこの精霊、あの子の名前を言ったよね?

 それに「何か用か」って。

 これって、この子が意図してきたのかしら?


 「えっと、あの子、巫子は?」


 「巫子は寝てる。二日連続で迷惑だ」


 迷惑って、勝手に帰られる方が迷惑じゃないかしら?

 帰るなら勇者を殺してからにしてもらわないと。


 「あの勇者なら我が処理しておく。だから我を送れ」


 まあ殺してくれるならだれでもいいのだけど。


 「それならお願いするわ」


 目の前の精霊を勇者の前に送る。

 今度は勝手に帰らないように見ておきましょう。


 そして、勇者が死んだ。

 魂までも完全に死んだ。


 …‥あの精霊何者?

 あの勇者をああも簡単に…‥。

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