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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
31/79

 「可愛いー!」


 とある日の昼休憩、ご飯を食べ終わってカレンたちと話をしていると教室が急に騒がしくなった。


 「なんだろ?」


 騒がしくなっている方に視線を移すと人がすごい集まっている。

 

 「ちょっと見てくる!」


 仄香が人だかりができている方へ駆けていった。


 「子イヌ!子イヌがいる!」


 戻ってきた仄香が目をキラキラとさせながら報告してくれる


 「子犬?なんで学校に?」


 仄香の言葉にテンションを高くするみんなだが冷香が冷静に呟く。

 冷香の言う通り学校に子犬が入ってくるのもおかしいので私もきになる。


「ほらほらー!みんなも見にいこうよー!」


 仄香が冷香の手をつかみ強引に引いていく。


 「ワタクシたちも行くですの?」


 カレンが首を傾げて訊いてくるがあまり行きたくない。

 

 「巫子ちゃんは動物に嫌われてるからね」


 本当は何故学校に子犬が居るのか気になるので見に行きたいのだけど凪咲の言う通り私は動物に嫌われているから行きたくない。

 動物たちは私を見ると何故か吠えてくる。

 物語なんかだと、よく吸血鬼と狼男が争っているのが多いけど、それも私と同じ理由かもしれない。


 「じゃ、私たちは見てくるね」


 凪咲がカレンの手を引いて行ってしまった。

 カレンは申し訳なそうな顔だったが子犬が気になるのか抵抗もなくついて行った。


 私も見たかったなーと思っていると私の目の前に子犬が出てきた。

 毛の色は茶色と言うか金色に近い綺麗な色で犬種も今までに見たことがない。

 その顔にある目が私と会う。


 吠えられる!


 そう思った私は即座に目をそらす。

 吠えられると悲しくなってくるかち行くのも嫌だったのに、どうしてそっちの方から近づいてくるんだろう。


 ぺろ!


 吠えられると構えていた私の頬を何かが舐めた。

 何かと視線を向けると子犬だった。


 私に近づいて、それも頬をなめてくれる動物は珍しい。

 私のことを怖がってないのならと調子に乗り頬ずりまでしてしまった。

 すると子犬が私から飛びのいてしまう。


 やりすぎた?


 そんなことを考えていると子犬が「わん!」と小さく鳴いたかと思うと子犬の身体は光だし大きくなっていった。

 大きくなった姿はよく知る人物、魔王ルシフェルだった。


 「えっ!ルー君!?」


 「巫子お姉ちゃん!」


 驚く私に抱き着いてくるルシフェル。

 何でこっちの世界に?


 「お守りを…‥目印に…‥来たの」


 私の腕の中で目をウルウルとさせるルシフェル。

 お守りってルシフェルが別れるときにくれて肌身離さず持ってたこれのことかな。


 「うん…‥巫子お姉ちゃんに…‥また…‥会いたかったから」


 やっぱりルシフェルは可愛い。

 私に会うためにわざわざ世界を超えて来るなんて。


 「ショタコン巫子ちゃん落ち着いて」


 嬉しさのあまり頬ずりしていたら凪咲が久々にショタコン扱いしてくる。

 何度も言うけど私はショタコンではない。


 「来てくれたのは嬉しいけど、あっちに帰れるの?」


 もっとルシフェルを愛でたいところだけどこれ以上していると凪咲のショタコン扱いが酷くなるので気になることを訊いておく。


 「うん…‥ちゃんと…‥帰れるよ」


 そっか。帰れるのか。

 それはいいことなんだろうけど、もし帰れないのならこれからずっと一緒に居られると思ったから少し残念だ。


 「これからは…‥いつでも来れるから…‥来ていい?」


 上目づかいで首を傾げながら可愛く訊いてくる。

 もちろん答えはYES!いつでも好きな時に遊びに来ていいと伝える。


 それにしてもいつでも世界を行き来できるとは、流石は魔王なのかな。


 「…‥おりがとう!…‥巫子お姉ちゃん…‥大好き!」


 大好き大好き大好き大好き大好きだいすき…‥…‥…‥


 満面の笑みで呟かれたルシフェルの言葉が頭の中をいっぱいにする。


 「…‥巫子ちゃん…‥顔がすごいことになってるよ…‥」


 呆れた凪咲の失礼な言葉もルシフェルの「大好き」で頭がいっぱいの私の耳には入ってこなかった。

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