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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
プロローグ
3/79

吸血鬼と真祖

 えっ!なんで魔王が来るの?

 もしかして魔王は邪神の手下で勇者召喚を阻止しようとしてたとか。さっき入ってきたときも「遅かった」って言ってたし。

 そうだとしたら私たち危ないんじゃ。レベルが上がる前に勇者を何とかしようとするかも。


 「どうしてここに?」


 マーリンが魔王メアリーに訊く。


 「どうして?勇者召喚を止めるために決まっているだろ。まあ遅かったようだが」


 こちらをちらりと見ながら目的を告げる。やはり勇者召喚を止めに来たらしい。

 このままじゃ私たち、特に勇者である仄香が一番危ない。

 なので私が前に出ることにする。

 私が勇者として出て、私を始末してほかのみんなは見逃してまらえるように何とかしてもらう。そうすれば何の被害もなく魔王に帰ってもらえるはず。

 今は帰ってもらって今度レベルを上げてから再戦すればいい。レベル1で魔王と戦うなんて無謀すぎる。


 「私が勇者だよ、魔王」


 「ちょっ、ぶっ…‥!」


 仄香が私の言葉を否定しようとしたが、それを凪咲が仄香の口を手で塞いでで止める。

 GJ!凪咲!多分凪咲は私のやろうとしてることを理解してくれたんだろう。


 「こんな子供が…‥」


 魔王メアリーが私を見て子供っていったけど、私はこう見えて数百歳だ。それにあなたも見た目は私たちより少し上にみえる。まあそれは見た目だけで私同様見た目通りの年齢ではないんだろうけど。


 「それで魔王が何のよう?勇者である私に用があるんでしょ?」


 あえて勇者であると強調して用を訪ねる。

 ちなみにカレンやマーリンは私のほうを不思議そうに見ている。いきなり自分のことを勇者といったことを疑問に思っているような顔だ。


 「用か。私は勇者召喚を止めに来と言っただろ」


 「それじゃあその目的が失敗したってことでかえってくれるの?」


 そんな訳はないだろうけど、そうなってくれたら嬉しい。私もできれば痛いのは嫌だからね。


 「そうだな。お前たちはこうしてこちらに来てしまったのだ。そうなればお前たちに言っておかないといけないことがあるな」


 言っておかないといけないこと?しかも「お前たち」ということは私だけじゃなくて召喚された全員ということだよね。「お前ら全員ここで殺す」とかだったらまずい。何とか私だけになる様にしないと!


 「お前たち…‥すまなかった」


 …‥へ?すまなかった?

 それって謝罪の言葉だよね?なんで謝られてるの?それともこの世界じゃ「すまなかった」は死ねとか殺すとかって意味になるとか?

 魔王メアリーの思いがけない言葉に呆気にとられ口をぽかんと開いたままになってしまう。


 「こも国の馬鹿どもが先走ってお前たちを召喚してしまった。私も止めたかったんだが、召喚すると知ったのもついさっきで止められなかった。本当にすまない」


 再度謝罪の言葉をくれるが全く意味が意分からない。


 「えっと、なんで謝るの?今から私たちを殺すから?」


 動揺してしまって直球に訊いてしまった。

 でも全然そんな雰囲気じゃないんだよね。


 「はぁ?なんで私がお前たちを殺さないといけないんだ。謝っているのはお前たちをこっちの世界に無理やり連れてきたからに決まっているだろ。なんだお前自殺願望者か?」


 「ち、違うわ!」


 魔王メアリーの思わぬ言葉につっこみをいれてしまう。

 自殺願望者なんて失礼な。確かによくアニメとかじゃ、不死身を得たキャラクターが自殺するために色んなことをする、ってのはよくある設定だけど、私に自殺願望はない。今を十分に楽しんでるからそんなこと思うわないでしょ!


 「というかなんで魔王が召喚したことについて謝るのさ」


 「それは魔王だからに決まっているだろ」


 「いや、だからなんでなのさ!」






 あれから詳しい話を聞いてようやく理解した。

 簡単にまとめるとこの世界では魔王は敵じゃないらしい。むしろその逆で万人から尊敬されるような存在であると。特にこの魔王メアリーは災害なんかの時に多くの人々を救ってきたのだとか。

 世界中では三人いる魔王の中で一番尊敬されているらしい。

 ちなみにレベル100以上になれば誰でも魔王になれるんだとか。


 「なるほど。だから謝ってくれたんだね」


 謝ってくれたのも単に私たちにことを思ってくれたからだったみたい。この人普通に見た目通りのいい人だった。

 

 それれからなんで殺されると思ったのかを説明した。


 「なるほど。そっちの世界の魔王は酷い奴なんだな」


 私たちの世界というか空想の話だけど、訂正するのもまたややこしいことになりそうだし、特に支障はないのでそのままのしておく。


「あとそれから私にも謝らせて。実は私、勇者じゃないんだ」


 メアリーが悪い人じゃなかったので、勇者だと嘘をついたことに謝る。


 「は?そうなのか?」


 「うん。本物の勇者はこの子」


 仄香をメアリーの前に突き出し紹介する。


 「なんでそんな嘘をついたんだ?」


 当然の質問が来たので素直に自分が吸血鬼の真祖だということを踏まえて理由を話す。


 「「「真祖!?」」」


 真祖であることを言ったら話を聞いていた私たち(上田先生やクラスメイト)以外の全員が驚きの声を上げる。


 「真祖というのは本当か!」


 メアリーが詰めいるように聞いてきたので、若干引きながらも「うん」と答えて証明のためにステータスプレートをみせる。


 「本当に…‥真祖だ」


 そんなに驚くことなの。確かに地球だったら驚くのも分かるけど、ここはファンタぎーな異世界なんだよ。吸血鬼や真祖の一人や二人、普通じゃないの?

 地球でそんなことを言っても厨二病と思われるだけかもだけも。


 「まさか真祖が存在したとは…‥いや、巫子は異世界人。

 こっちの世界には居なくても異世界なら居てもふしぎではない、か」


 いやいや待って。確かに私は地球から来たけど、私以外の吸血鬼なんて私は一人しかあったことないよ。こっちの世界のほうが存在して全然不思議じゃなさそうだよ。

 メアリーの言葉にこっちの世界の人はどこか納得したようだけど、地球から来たみんなは私同様何か言いたげな顔になってる。


 「ちょっと。巫子ちゃんせいで私たちの世界に吸血鬼が居るの、普通なことになってない?」


 凪咲が小声でそんなことを言ってくるけど、これってわたしのせいなの!?






 少しのガヤガヤがあったが、暫くしてメアリーが帰った。

 私のことをすごく興味深そうに見ていたが無事帰ってくれてよかった。ずっと、じーっと見られていて落ち着かなかったんだよね。

 …‥まあ今もカレンには見られているがきっと話をするためだろう。

 ちなみにメアリーが帰っていく際、「困ったときは私に何でもそうだんしろ」と言ってから帰った。無理やりこっちに連れてきたおわびに出来ることがあれば何でもしてくれるらしい。


 そういう訳でメアリーも帰ったことだし吸血鬼についてさっき聞いたことをカレンに確認する。


 「じゃあこっちの世界にも吸血鬼は居るんだよね?」


 「はい。吸血鬼ならいます」


 こっちの世界に吸血鬼は《・》いるらしい。

 では何故、驚いていたのかというと、真祖は存在しないからだとか。


 それに何の違いがあるのかを考えて一つの結論に至る。

 それは、不死かどうかだと思う。

 私と知り合いの吸血鬼でちがいを考えるとそこしかない。

 知り合いの子は確かに不老だ。でも、日光に当たると灰になって死ぬと言っていたし、他にもニンニクなんかのよく聞く弱点はだいたいそうだと言っていた。

 つまり不死ではないということ。

 今まで細かく考えたことはなかったけど、改めて考えるとそうなんじゃないかと思う。

 

 「真祖はお伽噺にのみ登場する存在で、真祖は吸血鬼の頂点に位置すると言われていますの」


 「吸血鬼と真祖の違いって不死性ってことでいいのかな?」


 さっきの考察で正しかったのか尋ねたみる。


 「はい。そうだと思いますわ。吸血鬼はほかの種族と比べ高い回復能力を持っています。しかし真祖はどんな傷も回復し、決して死なない存在であると言われてますの」


 それからカレンから聞いたはなしで真祖はすごいチートな存在だと分かった。

 けどそれはあくまでこっちの、それもお伽噺の話で私にそなチートがあるかは分からない。

 こっちの世界の吸血鬼は日光が苦手というだけで灰にはならないし、寿命も人族よりはずっと長いだけで不老というわけじゃなにらしい。


 今日はこれでいったん解散ということになった。

 カレンガ泣いちゃったり、突然魔王が来たり、吸血鬼のこととかで話が長くなったため今日はこれで休むということになった。そもそもみんなクラス転移で訳も分からない子も多く、疲れている子も多かったから早く休みたいと上田先生が提案したのだ。

 その提案にマーリンが用意してくれた部屋に案内してくれた。

 部屋は3人部屋を用意してくれていたので、私は凪咲と上田先生と同じ部屋にする。

 上田先生は最初「先生と同じだと気を遣うだろうから」と私たちと同じ部屋を断ろうとしていたが、私も凪咲も「気にしないから大丈夫」と言って同じ部屋になった。

 凪咲なんかはいつも「聖ちゃん」と呼んで普段から気を遣った様子もないので上田先生も気にすることないと思う。

 というか凪咲はもっと先生扱いした法がいいと思う。

 先生をちゃんづけってどうなの?

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