表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
29/79

現実主義吸血鬼の世界救済記

 学校の帰り道をカレンたちと歩いている時だった。

 突然足元に魔法陣のようなものが出現した。


 「「「「「えっ!?」」」」」


 私たちは全員驚いて足を止める。

 少し思考が停止してしまったがすぐに再起動させる。


 「またっ!?」


 異世界に行って日本に帰ってきたと思ったら、まさかのまた異世界に連れていかれるのか。

 地球では魔法なんてものは無いから十中八九異世界召喚で間違いないだろう。

 魔法陣が光を放つ。


 こうして異世界に行くことになった。






 「皆、大丈夫?」


 眩しさに閉じていた瞼を上げてみんなに声をかける。

 しかし返事は帰ってこない。

 何かあったのかと心配になり周りを見渡すが、皆の姿はなかった。

 居るのは私を召喚したであろう人達のみ。


 もしかして、召喚されたの私だけ?


 「「「おー!」」


 周りから歓声のような声が上がる。


 「ようこそおいでなさいました、勇者様」


 一人の男の人が私に話しかけてくる。

 異世界召喚定番で言葉も分かる。


 それにしても私が勇者?

 仄香と間違えて呼ばれたんじゃ…‥。


 「えっと…‥」


 どう答えていいのか迷い言葉に詰まってしまう。

 ここは「呼んでくれてありがとう」かな?

 それとも「勝手にこんなところに連れて来るな」と怒った方がいいのかな?


 「混乱しているのですね。説明しますのでこちらにおいででください」


 混乱というかなんというか…‥。

 初めて異世界に行ったときはテンションも上がったけど、今は一人で何か寂しい。

 勇者になれたのも嬉しいけど、皆が居ないのなら自慢もできない。


 「そうですね。とりあえず話を聞きます」






 別の部屋に案内された私は出されたお茶を飲みながら話を聞く。


 「まずは一言、こちらの都合で勝手に呼び出して申し訳ありませんでした」


 最初に謝罪の言葉を述べ、事情を説明してくれる。


 彼の華審によると、

 二年ほど前に突如この世界に魔王と名乗るものと魔族が現れた。

 魔王や魔族の力は強大で、世界に住まうあらゆる種族は大量にころされ、世界の半分を占領された。

 そして魔王はこれ以上の暴虐を辞める代わりに供物をささげろと要求したとか。


 「それで私にその魔王を倒せと?」


 なんともありがちな設定なのでそうだろうと訊いてみたのだが、


 「いえ、そうではなく…‥」


 私には魔王の討伐とかでなく、他の国の取り立てに召喚されたのだとか。

 この国は歴史こそあるものの、小国で国力も小さく、他国からの要求に断ることが出来ず、私を召喚した。

 勇者召喚の秘儀はこの国に伝わる秘術だそうだ。


 魔王を倒させるのかと思ったら、聞かされたのはそんな話。

 どこかで聞いた話だな。


 「それで私にその国にいけと」


 「はい…‥本当にすみません…‥」


 頭を深く下げる男性。

 ここはあの勇者のように地球の知識とかを使いながら国を立て直す?

 というか、元凶の魔王を倒せばいいのでは?

 王国再建なんて面倒なことよりは、よっぽど現実味があると思う。


 「それなら私が魔王を倒してあげるよ」


 「は?」


 私の提案にぽかんと口を開ける。


 「だから後のことは任せた」


 国同士の問題になんか関わりたくない。

 ちゃっちゃと魔王を倒して日本に戻ろう。






 「ふむふむ。ここに魔王が」


 何とか魔王のいる場所を訊きだせた。

 居る場所と言っても詳しい場所ではなく占領された場所だが。


 「そういえば得点とかないの?」


 召喚にはたいてい得点があるはず。

 カレンたちに召喚されたときもあったしね。


 「得点?」


 これは伝わっていないだけなのか、それとも得点はないのか。


 「召喚されたら魔法が使えるとかないの?」


 「あぁ、そのことですか。よくご存じで」


 おぉ!この反応はあるのでは!


 「少々お待ちください」


 部下に何かを命じて少し待つ用意言われる。

 そしてしばらく待っていると、命じられた人が何かの箱を持ってきた。


 「こちらに手を当て目をおつぶりください。そうすればあなたの魔法が分かるはずです」


 言われた通りに手を置き目をつぶる。

 そうすると頭の中に何かが思い浮かんでくる。


 空中浮遊


 そんな言葉が思い浮かんできた。


 「…‥って、意味ないじゃん!元から飛べるよ!」


 「ど、どうされたのですか…‥」


 思わずツッコニながら箱を地面にたたきつけてしまった。


 「ご、ごめん。何ともないよ」


 慌てて箱を拾う。

 よかった。壊れてない。


 「何かありましたか…‥」


 不安げな顔で訊いてくる男性に「大丈夫」と伝えながら、魔法の話に移る。


 「空中浮遊だって。私の魔法」


 「それは凄い!空を自由に飛べるのですか!?」


 男性と一緒に周りにいた人も驚いてる。

 私にとっては元から出来ることなので何も凄いことはない。


 「ありがと。それじゃあ、そろそろ行くね」


 「待ってください…‥!」


 止めようとする皆の声を背中に受けながら魔王の元を目指し飛び立った。


 




 「やっぱりおそいなぁ」


 今は魔法で空を飛んでいる。

 羽を出さなくても飛べるが、こっちの方が断然に遅い。


 「これだと本当に意味のない魔法だ」


 背中からコウモリの様な羽を出し元からある飛行能力の方に切り替える。

 スピードは比べるまでもなくこっちの方が速い。


 「魔王を倒すとして、そのあとどうやって戻ろう」


 魔王になんか負ける気もしないのでそっちの方が心配だ。

 召喚した人たちに訊いたのだけど帰還の方法は知らないとか。

 過去に召喚された勇者もこの地に永住したと伝えられているらしい。


 「ルー君なら帰れるのになぁ」


 魔王ルシフェルは私に会いに来てくれるために世界を渡る力を得た。

 私に会うためだなんて嬉しい!可愛い!

 ルシフェルに貰ったお守りもあるし、この世界に来ようと思えば来れるだろうけど。、いつになるか分からない。

 日本にもちょくちょく来ているが、こちらから連絡が取れるわけではないのでルシフェルの気分次第になってしまう。


 日本に来てくれれば皆から話を聞いて迎えに来てくれるかもだけど、日本にいつ来るこも分からないので、いつ帰れるかも分からない。


 一か月以上あくこともあるので、それも覚悟しとかないとかな?


 そうだ。メフィストは出来ないかな?


 『無理ね。我に世界を渡る力なんてないわ』


 困ったときいつも助けてくれる私の可愛い邪精霊ちゃんも今回は無理のようだ。


 『力になれなくてごめん』


 『ううん。大丈夫だから。いつも頼ってばっかりで助かってるから気にしないで』


 珍しく落ち込んでしまったメフィストを慰める。

 それでもまだ少し落ち込んでいるようなので召喚して小さな可愛い頭を指で優しくなでる。


 「ふんっ」


 よかった。いつも通りに戻ったみたい。

 顔を赤く染めながらそっぽ向いてしまったが落ち込んだ様子は消えたようだ。






 「やっと着いた」


 私の眼下には大きな大きなお城がある。

 あれから一週間飛び回った。

 魔王に占領された場所はすぐに見つけたが、魔王のいる場所には苦労した。

 

 途中、魔族から話を聞きだし、ようやくこの魔王城についたのだ。


 「…‥もう少しこのままでよかったのに…‥」


 メフィストが小さな、小さな声で呟く。

 この一週間、一人で寂しく飛び回っているのも悲しかったのでメフィストには話し相手になってもらっていた。

 精霊を召喚し続けていると永続的に霊力が吸われるし、メフィストの場合は邪精霊なので寿命も吸われるのだが、私には特に関係なかった。

 寿命はともかく、霊力をずっと吸われていて大丈夫なのには自分でも驚いたけど。


 「ありがと。話し相手になってくれて」


 さっきの言葉は聞かなかったことにしてお礼を告げる。


 「我に話のためごときに一週間も付き合わせるんじゃないわよ!」


 そうツンな言葉と共に消えていった。


 『一週間は短かったけど、楽しかった』


 そしてデレな言葉が漏れ聞こえて来る。

 いつも通りツンデレ可愛い。

 時々聞こえるデレな言葉が私に聞かれていないと思っているところも可愛い。

 

 それは置いといて、魔王退治に行きますか。

 

 私はお城に向けて全速力で飛んでお城に突っ込んだ。





 ―――凪咲side―――


 「あれ?なんともない?」


 激しい魔法陣の光につぶっていた目を開けると、もとの場所だった。

 てっきりまたの異世界召喚かと思ったけどそうではなかったらしい。


 「巫子?」


 何の魔法陣だったのかと考えているとカレンちゃんが疑問の声を発した。

 周りを見渡すと巫子ちゃんが居なくなっている。


 「あれ?ミコは?」

 

 仄香ちゃんは自体が理解できずに首を傾げている。


 「巫子…‥巫子…‥」


 カレンちゃんは今までに見たことがないほど慌てている。

 巫子ちゃんが居るときは好きすぎて動揺することが多いが、居ないときは彼女は基本冷静だ。

 そんな彼女がすごくあわあわしている。


 少し面白い。


 「落ち着いてカレンちゃん。巫子ちゃんならきっと大丈夫だよ」


 冷香ちゃんがカレンちゃんを落ち着かせる。

 彼女は大体の状況を理解したようだ。


 多分、今回は巫子ちゃんだけが召喚されたのだろう。

 あの子には巫子ちゃん大好きなメフィストちゃんもついてるし大丈夫だろう。

 すぐに戻ってくると思う。






 そう思っていたのだけど、あれから一週間、何の連絡もない。

 

 「巫子…‥」


 カレンちゃんもどんどんと元気がなくなっている。


 流石に一週間何もないと私も心配になってくる。

 まぁ、体の心配とかではないんだけど。


 「もしかしたら、異世界が気に入ったのかもねー」


 仄香ちゃんが何気なく言う。

 「流石にそれで帰ってこないことはない」と妹の冷香ちゃんが否定しているけど私はそれが心配だ。

 

 巫子ちゃんは結構たらしな所もあるし、自分では否定しているけどロリショタコンなところがある。

 「お姉ちゃん帰らないで」とか言われたら帰ってこないかもしれない。


 流石にそこまでではないと思うけど…‥心配になる。


 そんなことを考えていると、突然金髪のショタが現れた。


 「…‥巫子お姉ちゃんは…‥」


 少し緊張した様子で訊いてくるショタ―――魔王ルシフェル。

 どうやら遊びに来たらしい。


 少しは慣れてくれたようだけど、巫子ちゃんほどではない。


 「実はね…‥」


 巫子ちゃんが居ない理由を伝える。


 「…‥お守りの反応が、別の世界にある…‥」


 お守りとは巫子ちゃんがこの子に貰って肌身離さず持っているあれのことだろう。

 あれを貰った時の巫子ちゃんの顔、すごくニヤついていた。 


 「…‥…‥」


 目をつぶり何か集中しているルシフェル君。


 「…‥迎えに、行ってくる…‥」


 それだけ呟いて彼の姿は消えた。

 ルシフェル君が迎えに行ってくれるなら安心だね。

 「お姉ちゃん帰ろ」と言われたら絶対に帰ってくる。

 一週間もいなくなって心配もさせられたし、帰ってきたらからかおう。





 ―――――


 魔王城の壁を体当たりで突き破り中に侵入する。


 「ほう?何者だ?」


 声をかけられた方を見ると玉座に座る偉そうな人がいた。

 もしかして魔王かな?


 「私は勇者!魔王を倒しに来た!」


 「余を倒しに?それは面白い!やってみよ!」


 そう言われたので早速倒そうと足を前に出そうとしたところ、突然目の前に金髪のショタが現れる。


 「ルー君!?」


 「巫子お姉ちゃん!」


 私が声をかけると同時に私の名前を呼びながらルシフェルが抱き着いてきてくれた。


 「‥‥迎えに、来たよ…‥」


 上目づかいで言ってくるルシフェル。

 可愛いすぎる!

 これは反則だと思う。


 「どこから現れた!」


 魔王がルシフルを怒鳴りつける。

 その声にびくっと身体が震えるルシフェル。

 

 こんな可愛い子を怖がらせるなんて!


 「ちょっと待っててね」


 ルシフェルの頭を撫でながら伝える。

 

 足に力を入れて魔王の懐に飛び込む。

 力を思いきり入れたせいで床が砕けて下の階に穴が開いてしまった。

 ルシフェルも巻き込まれそうになってたけど、とっさに飛んで回避したみたい。


 ルー君ごめん!


 「なっ!?」


 急に目の前に現れた私に驚いて一歩後ずさる。

 その隙をついてお腹に一発拳を入れた。


 「ぐはっ!」


 声を漏らしながら飛んでいく魔王。

 更に追撃をかける。


 「魔王様を守れ!」


 魔族たちが割ら師と魔王を遮る様に立ったが、怪力に任せた脚力で高速で移動し魔族たちの横をすり抜ける。


 「とどめ!」


 起き上がろうとしてきた魔王に本気の一撃を入れる。

 その衝撃で私の腕は筋肉も千切れ、骨もバキバキのボロボロになって痛い。


 そんな私の本気の一撃を食らった魔王は塵になって消えた。


 「これで倒せたかな?」


 呟きながら後ろを振りぬくと魔族たちが塵になって消えていくところだった。


 「巫子お姉ちゃん凄い!」


 私の勇士を見たルシフェルが抱き着いてくる。

 「凄い凄い」と言ってくるルシフェルの顔がとても可愛いかった。


 けど、少しやりすぎたかもしれない。

 お城が半壊している。


 まぁいっか。

 魔王はもういないし。

 

 最後に外を見てみたけど大量にいた魔族が全て消えていた。

 後のことはこの世界の人たちに任せて帰ろう。

 自分たちの世界なんだし。


 「帰ろうか、お願いね」


 「うん!」


 こうしてルシフェルに連れられて日本に帰った。


 


 帰ってきた私に泣きながら抱き着いてきたカレンはともかく、他の皆はそこまで心配しているようには見えない。

 少し寂しい。


 何故か凪咲にはからかわれ続けたし上田先生にも無断欠席で怒られた。

 魔王も倒してきたんだしもうちょっと労ってほしかった。


 皆に労って貰えなかった分はルシフェルとイチャイチャしましたけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ