独竹漂
「ねねえこれ見てー!」
仄香がスマホの画面を見せてくる。
そこに映っていたのは竹に乗って川を渡る人だった。
「何これ?合成映像?」
凪咲が首を傾げながら訊く。
「違うよー!ホントーにやってるんだよー!」
凪咲に対して唇を尖らせやながら言う仄香。
「こっちの世界にも『水上歩行』が使える人が居るんですの?」
今度はカレンが首を傾げて質問する。
カレンの言っている水上歩行とはその名の通り水の上を歩く魔法らしい。
こっちの世界に魔法が使える人がいない(正確にはこっちの世界では魔素が薄くて使えない)のでカレンに違うことを伝える。
「これはホントーに竹一本で浮いてるんだよー!」
仄香がサムズアップしながら言う。
「独竹漂でしょ」
少し頬を膨らませていた仄香に言う。
「どうぞペアを?」
首を傾げる仄香。
「違うよ。独竹漂だよ。ほらここにも書いてるでしょ」
訊き返してくる仄香を訂正して彼女のもつスマホの独竹漂と書かれた部分を指さしながら答える。
「これ『どうぞーぺあー』って読むんだ。独竹漂かと思った」
いやいや日本語じゃないんだからそんなわけないでしょ。
「巫子ちゃんこれ知ってるの?それに中国も話せるんだ」
昔中国にも住んでいたことがあって、その時に見た。
最初は私も何かのマジックかと思ったけど本当に竹だけで浮いてて驚いた。
「知ってるだけじゃなくて私もこれ出来るよ」
少し自慢げに言う。
というわけで私たちは放課後、近くの川に来ていた。
私が出来ると言ったらみんなが見たいといったからだ。
「じゃあよく見ててね
三メートルくらいの竹を川に浮かべる。
この竹は私がちょっと飛んでいらないのを貰ってきた竹だ。
「「「おー!!!」」」
川に浮かべた竹に乗ってみせるとみんなから歓声が上がる。
「ふふーん!すごいでしょ!」
そんなみんなにどや顔になってしまう私。
「もっとすごいの見せてあげようか?」
調子に乗っている私はみんなにしたり顔で言う。
「次はこれに乗ってみせまーす!」
テンション高く私が出したのは横幅30センチくらいの発泡スチロール。
「さすがにそれだと沈んじゃうんじゃ」
冷香が心配そうに呟くが先ほどと同じように川に浮かべて乗ってみせる。
「「「おー!!!」」」
先ほどと同じように完成は上がったのだが凪咲と冷香はどこか疑いのような目を向けてくる。
「さっきの竹は仲が空洞で空気もいっぱい入ってるだろうし浮かぶのは分からなくもないけど、流石にその発泡スチロールに人を持ち上げるちからはないと思う。
巫子ちゃんなんかやってるでしょ」
流石にばれた。
「正解。実は私なら浮かぶものならなんでもできるんだ」
あっさりとばれてしまったので素直に白状して説明する。
私は体を自由に霧化できるからそれで体重をなくして乗れば何にだって乗れる。
第一独竹漂は中国の竹でやってるから日本の竹だと普通に乗ろうとしたら沈むと思う。
「物理的に人を乗せて浮かせるなら結構な浮力がいるからね」
「物理的って…‥巫子ちゃんが科学を語ったら色々な人に怒られそう」
説明した私に失礼なことを言う凪咲。
私は吸血鬼なんだから細かいところは気にしたらダメだと思う。




