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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
本編
23/79

吸血鬼の手記  【異世界編】

 邪神討伐後のとある日。

 とある国で吸血鬼たちが暴走しているという話を聞いた。


 「暴走っていうのは、具体的に?」


 話してくれていたカレンに詳しい話を訊こうと質問をする。


 「吸血鬼族の人が突然、人間の血を吸って回るらしいですの」


 「突然?」


 はい。それまではいつもと変わらず普通だったものがです。

 それも何人もですの」


 突然に暴れだす。

 本来こっちの世界の吸血鬼は人から血を吸ったりはしない。

 それだと吸血鬼とは言わないんじゃ、と思うかもしれないがそんなことは私に言われても知らない。


 ともかく本来必要のないはずの吸血行為を無差別に突然理性なく起こすというのだから危険だ。

 暴れていた人たちは今は捕まえて牢に居れているそうだけど、牢の中で理性なく暴れているらしい。

 暴走する吸血鬼の数も段々と増えてきていて、各国に救援を要請しているとのこと。


 この国もその要請を受け、そこで吸血鬼でもあり真祖な私に何か知らないかと話が来たのだ。


 「ごめん。何にもしらない」


 「そうですの…‥」


 カレンが俯いて追い込んでしまう。

 

 「落ち込まないで、美人が台無しだよ。私も調べてみるから」


 頭を撫でながら慰める。


 「はい!ありがとうですの!」


 よほど嬉しかったのか頬を赤くしながらお礼を言われる。

 私もどうして暴走しているのか気になるし、その国に行ってみることにする。






 「ここがその国か」


 カレンから場所を聞き、空を飛んできて三日後、ようやく件の国についた。


 「お腹すいたな」


 三日間、何も食べずに全速力で飛んでいたためお腹がすいた。

 吸血鬼のことを調べる前にまずは腹ごしらえをしよう。


 




 「ごちそうさまでした」


 適当に入ったお店だったけど普通に美味しかった。

 おなかも満たしたことだし、ついでにここで情報収集しておこう。


 「暴走した吸血鬼について?」


 店主らしき人に話を聞いたところ、吸血鬼が最初に暴走したのは先月ぐらいだとか。

 それから暴走する吸血鬼が増えていき、今は正常な状態の吸血鬼も隔離されているらしい。

 

 確かに突然暴れだすなら仕方のないことかもしれないけど、可哀そうだ。


 「ありがとう」


 店主にお礼を言ってお金を払う。

 情報(岱)?代わりに少し色を付けておいた。


 「さて、まずは吸血鬼たちが隔離されている場所を探してみますか」






 あれから少し色々な人に訊いて回ったのだけど、 誰も知っている人はいなかった。


 「どうしようか?」


 無作為に探しても見つかるかは分からないし少し息詰まる。

 話を聞いていて分かったのは、吸血鬼たちは隔離されているのになぜか街に暴走する吸血鬼たちが現れるという。

 ここ王都ではその数が一番多いと噂されているらしい。


 「お城にでも行ってみようかな?」


 国のことなんだし王様とかが一番詳しいだろう。

 でもいきなり行っても入れてくれるはずないか。

 カレンにでも紹介状とかを書いてもらうんだった。

 まあダメもとで行ってみることにする。






 「と、言う状況です」


 ダメ元で行ったお城は何故か中に入れて話を訊くことが出来た。

 何でお城に入れてくれたのかと訊くと、カレンのお父さん、私たちが召喚された国の王様から話が通っていたらしい。

 そのおかげで、こうしてお城の中にも入れて宰相から話を訊くことが出来た。

 帰ったら王様にお礼を言わなくちゃね。


 宰相から訊いた話をまとめると、街で噂されていることで大体はあっているらしい。

 国中の吸血鬼も全て何か所かに分けて隔離していたのだが、どこからか暴走する吸血鬼が現れるらしい。


 隔離されるのが嫌でどこかに隠れていた吸血鬼じゃないかと尋ねたけどそれはないと言う。

 捕まえた吸血鬼を調べたところ確かに隔離した吸血鬼だとか。

 

 「ありがとう。とりあえず、その隔離されているところに行ってみるよ」


 隔離場所も訊くことが出来たので今から向かうことにした。






 「ここが、その村か」


 王都から一番近い吸血鬼たちが隔離された村に飛んでやってきた私はゆっくりと降り立つ。


 「なんだお前は!」


 私に気づいた青年が駆け寄ってきたので、宰相から貰った手紙を見せて責任者の所まで案内してもらった。


 「ミコ様ですか。それで何様でしょう」


 吸血鬼だというこの村の責任者の男性に色々と話を訊く。

 彼は王都の貴族で、この騒動が出た時この村を任されたとか。

 隔離に不満はないのかと尋ねたら、村からは出られないがそれ内に待遇がいいらしい。

 食糧やお金も殆ど何もしないで手に入ると笑っていた。

 仕事が好きな人にはつらいだろうが、職場に居場所がなくなることもないらしく、長い休日だと割り切っていた。


 「それから一つ大事なことがあるのですが…‥」


 この人、最後にすごいい大事なことを教えてくれた。

 ちょうどお城の方にも連絡しようとしていた事らしく、さっき村の人の人数を確認したところ、自鳥足りないそうだ。

 気づいてから村中を探し回ったが、やはりどこにもいないらしい。


 「分かりました。ありがとうございます」


 お礼を言って、コウモリの様な羽を広げすぐに飛び立つ。

 もし、そのいなくなった人が暴走して街に現れたらまた被害者が出てしまう。急がないと。


 私がこの村に来た時見ている人もいなく、飛んできたことを知らなかったのか、羽を出すと皆驚いたような顔をしていた。

 何か言っていたようだけど、私が吸血鬼だとバレると面倒なことになりそうなので逃げるように王都に向かった。






 「まだ何も起きてないか」


 上空から王都を見渡すが、来た時動揺平和そのものだった。

 もしかしたら他の街に行ったのかな?

 それとも暴走とかは関係ない?


 いろいろなことを考えていると悲鳴が聞こえてきた。

 悲鳴の聞こえてきた方へ急いでいく。


 「スト――ップ!」


 暴走しているであろう吸血鬼が女の人に襲い掛かかっていたところに割って入る。

 危ない。ギリギリだった。


 「ありがとう」


 「いいから早く逃げて!」


 お礼を言ってくる彼女に逃げるよう促す。

 すると彼女は躊躇いながらだが逃げて行った。


 「血を、よこせ!」


 今度は私に襲い掛かってくる。

 前に出してきた両手を私も両手を出し捕まえる。


 「正気に戻って!」


 「血を、よこせ!」


 言葉をかけてみるがやはり届かない。

 仕方ないか。

 怪力で男を持ち上げ思いきり地面にたたきつけ意識を奪う。

 

 「ほう、あなたも吸血鬼の様ですね」


 突如後ろから声をかけられた。

 滅多く気配を感じなかったので驚いて肩を少し振るわせてしまう。


 「そうだけど、私は正常だよ」


 心を落ち着かせながら後ろを振り向き、私は暴走していないことを伝える。


 「分かっていますよ。ですが、これから正常ではなくなります」


 「それはどういう…‥」


 何か怪しい格好をした男がそう呟いたとたん、彼のもっていた本から黒い影のようなものが出て来た。

 その影は私にまとわりついてくる。


 「その影は吸血鬼の核を歪めるものです。核を歪められた吸血鬼は理性を失い人の血を求める獣になるのです」


 成程。

 この人が犯人だったのか。

 自分から教えてくれるとは実にありがたい。

 けど、意識が朦朧としてきた。


 「大丈夫か!吸血鬼が出たと訊いたが!」


 どうやら兵士たちが来たようだ。


 「ちょうどいい。あの者たちの血を吸いなさい」


 そう男に言われ私の身体は勝手に動く。

 まずい。意識も朦朧としているし、そのままだとあの兵士たちが。

 精神攻撃の類は一切効かないはずなのに、体の制御が出来ない。


 「捕らえろ!」


 隊長らしき人に命令された兵士たちが私に受かってくる。

 六人いるが彼らでは私は止められない。

 このままだと王都中の人の血を吸いつくしてしまうかも。

 私を止めたいなら聖属性の攻撃を回復できないほど連続でし続けなければいけない。

 暴走した私、めんどくさい。


 向かってきた兵士の一人を押し倒し血を吸おうと口を開く私の身体。

 やばい!これは本当にやばい!

 この人を殺しちゃう!

 どうにかしないと!


 そんな時私の目の前に小さな影が現れる。


 「何やっているんだ」


 現れたのは私と契約している邪精霊のメフィスト。

 

 「油断しすぎ。今回だけ助けてあげる」


 そう言って私の額にそっと唇をつけるメフィスト。


 「か、勘違いしないでよ!これは治すために仕方なくだから!仕方なく!」


 顔を真っ赤にしながら消えてしまったメフィスト。

 いつも通りツンデレで可愛い。

 そんなツンデレ可愛いメフィストにはいつも助けられてるし、今度何かお礼をしよう。


 『ありがとう』


 お礼を言う前に消えてしまったので頭の中で彼女に伝える」


 『ふん!』


 わざわざそんなことを言ってくる。

 それと言葉の後ろに「褒められた!」と聞こえた。

 この子、偶に心の声もれるんだよな。


 「離れろ!」


 別の兵士が仲間を助けようと私の背中から剣を突き刺してきた。


 痛い!


 慌ててその場から離れる。

 背中から刺さったままの剣を思いきり引き抜く。

 その時も激痛が走ったが、すぐに傷も治り痛みもなくなった。


 「馬鹿な!何故正気に戻っている!」


 本を持つ怪しい男が私に怒鳴りつけてくる。

 そういえば自由に体が動くね。

 流石はメフィスト。ありがとう。


 「それは秘密かな。それよりあなたを捕まえさせてもらうね」


 そう言ってから、彼の懐に入り水落に一撃入れる。

 さっき剣で刺された八つ当たりで、少し強めに殴っておいた。


 「吸血鬼!その男から離れろ!」

 

 兵士がまた私に剣を振るってくる。

 その剣を軽やかに躱し、距離を取る。


 「落ち着いて。もう正気に戻ったから」


 「本当か…‥」


 「こうやって話せてるのが証拠でしょ」


 「そのようだな」


 何とか分かってくれたかな?

 一応県が納めてくれみたいだ。


 「それなら何故その男を?」


 「これはこの人が黒幕だからだよ」


 そう言いながら男のもっていた本を手に取る。

 すると本から何かが伝わ手来た。


 伝わってきた内容によると、この本を書いた人は人間たちに酷い目にあったそうだ。

 非人間族を目の敵にし、吸血鬼であったこの本の作者もその家族や友達も殺されたそうだ。

 作者は殺される前にこの本に呪いを込めた。


 この本の力を使えば吸血鬼に多大なる恩恵が与えられる。

 だが、それを今回はこの黒幕に悪用され吸血鬼を狂わせたのだろう。


 毒にも薬にもなる本。

 どこかで聞いたような話だ。


 黒幕の男の目的が知らないがこれで今回の騒動は解決だろう。

 男をお城に引き渡し帰ることにする。


 その際にお礼の品々と共に何故か吸血鬼の呪いの本を貰った。

 何でもこの本の呪いは強いらしく、触った人によっては危険なんだそうだ。

 それならどっかに封印でもしておけばいいと言ったんだけど、私が持ってるの一番の安全だとかで押し付けられるように渡された。

 多分だけど、面倒ごとを押し付けたんだと思う。

 まあ、軍事利用するよりははるかにいいので仕方なく受け取った。

 

 呪いの本とか全然いらないんだけどなぁ。

 もう大丈夫だとは思うけど私も暴走いたわけだし。


 『巫子になら暴走して強引に血を吸われてもいいかも』


 何かメフィストから危ない心の声が漏れ聞こえてきたけど気にしないでおこう。

 この子ってこんなMなとこあったっけ?

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