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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
プロローグ
2/79

乱入者

 声が聞こえた方を見ると、声を出したのはクラスのムードメーカー、三枝さえぐさ仄香ほのかだった。


 「あたし、勇者だー!」


 両腕を天に突き上げて喜ぶ仄香。

 そっか彼女が勇者か。私じゃなくて少し残念だけど、いつも元気でみんなを笑顔にしてる彼女ならぴったりかな?


「あなたが勇者様ですね」


 マーリンが仄香に声をかける。


 「うん!ほらこれ見て!」


 仄香がマーリンに自分のステータスプレートを見せる。


 「確かに勇者様はあなたのようですね」


 「「「おーーー!!!」」」


 仄香のステータスプレートを見たマーリンが仄香が勇者であることを確認するとみんなから歓声が上がる。

 更に自分たちのステータスプレートを見るのをやめ、仄香の周りに集まりだした。


 「へー。仄香ちゃんが勇者なんだね。

 まあ仄香ちゃんならぴったりだと思うよ」


 どうやら凪咲も私と同じ意見らしい。


 「みんな落ち着いて!

 マーリンさん彼女がその勇者だということは、彼女に邪神とやらと戦えということでしょうか」


 「はい。その通りです」


 「はいって!危険はないですか!彼女はまだ子供ですよ!」


 上田先生がマーリンに攻めるように言う。


 「それは…‥その通りですが…‥こちらでも出来るだけ危険は少なくなるようしますが、この世界が滅びる危機なのです!どうか…‥力を貸してください!」


 マーリンが深く頭を下げ上田先生に必死に頼む。


 「そう言われても…‥生徒に危険なことをさせるわけには…‥」


 「そこをなんとか!」


 断る上田先生に尚も必死に頼むマーリン。そんな彼女を見て仄香が口をはさんだ。


 「せんせー。でも、こんなに必死に頼まれてるんだし、あたしやるよ!」


 「出目よ!危険なのよ!」


 「大丈夫、大丈夫!あたし、勇者なんだから!」


 止めようとする上田先生にに天に拳を突き上げてそう宣言した。


 「しかし…‥」


 それでも上田先生はどうするか迷っているようだ。

 確かにどんな危険なことがあるかわからないもんね。子供にそんなことをやらせるのは少し憚られる。生徒思いの上田先生なら尚更だと思う。異世界転生した主人公たちはよく戦えるよ。普通は怖いと思いそうだけど。そういえば仄香も全然怖がっているようには見えないけど、怖くないのかな。


 上田先生の言う通りみんなにあんまり危険なことはしてほしくないけど、少し気になることがあるのでマーリンに訊いてみる。


 「ねぇ、マーリンさん。元の世界にはどうやったら戻れるの?」


 こういうクラス転移モノだと元の世界に帰るにはこの人たちの言う邪神を倒さないといけないとかだと思うんだよね。

 私のマーリンに対する質問を聞いていた上田先生がはっとしたようにマーリンのほうを見る。多分仄香が危険な目に合うと思って元の世界への帰還のとを忘れていたんだろう。



 「元の世界に帰れるのは…‥一年後になると思います」


 「!?どうしてですか!?」


 マーリンの言葉を聞いた上田先生がマーリンに詰め寄る。


 「まあまあ先生。落ち着いて」


 興奮している上田先生の背中をポンポンと叩いて落ち着かせる。


 「私がマーリンさんと話をするから先生はお茶でも飲んでて。

 それでマーリンさん。どうして一年後なの?」


 上田先生を椅子に座らせお茶を渡す。

 それからマーリンに気になることを訊く。なんで一年後なんだろ?普通邪神を倒したらとかじゃないのかな。


 「それは帰還の儀式は召喚の儀式から一年開けないとできないからです」


 「邪神を倒してからじゃないと帰れないわけじゃないの?」


 「はい。帰還に邪神は関係ありません」


 「じゃあ邪神とは戦わなくても一年待てば帰れるってことだよね」


 「そう、ですが…‥できれば、力を貸してほしいのです」


 マーリンが暗い顔をしながら再び頼んでくる。

 なんでこの人、こんなこと教えてくれるんだろ?そんなこと聞いたらわざわざ危険を冒す必要なくなるよね。


 「どうしてそんなこと教えてくれるの?」


 「あなたたちは私どもが無理やりこちらに連れてきました。なので、あなたたちには出来るだけ嘘はつきたくなのです」


 すごいいい人じゃん。


 「そっか。

 戦うかは今は置いとくとして、その邪神はどんなのなの?」


 「それはワタクシから話させていただきますわ」


 私の質問にマーリンが答えようとしてくれたが扉を開けて部屋に入ってきた少女が話を遮った。

 部屋に入ってきたのは腰まである桃色の髪をした美少女だった。

 すごい綺麗な子。まるでお姫様みたい。しかも…‥胸部の主張がすごい。思わず自分胸に手を当て彼女の胸を凝視してまった。


 「申し遅れました。ワタクシはこの国の第三王女カレンですの」


 まさかの本物のお姫様だったよ。


 「邪神は半年後に復活するのです。そしてその復活する場所も判明していますの。ですので半年後邪神が復活するタイミングにその場にこの世界の戦力を集め邪神を打つ予定ですわ」


 「今はいないの?」


 てっきり邪神とそれに属するものと、今から戦うんだと思っていたよ。

 世界の危機もその邪神が復活するタイミングだけってことなんだね。


 「はい。それまでは邪神を倒すため皆様にはレベル上げをしてほしいですの」


「話はだいたい分かったよ。ちょっと私たちだけで話していい?」


「もちろんですわ」


 カレンとの話を終え、みんあと今後のことについて話すことにした。


 




 「それで、どうする?」


 上田先生に今後どうするかを尋ねる。


 「それはもちろん、できればあなたたちに危険なことはして欲しく無いけど•••••」


 上田先生はカレンやマーリンの方をちらっと見て少し言い淀む。私たちに危険なことをしてほしく無いけど、この世界のことも気になるってところかな。


 「せんせー!やろうよ!大丈夫だって!」


 仄香が強い意志を示す。

 彼女はあまり怖がっている様に見えない。むしろわくわくしている様に見える。


 「聖ちゃん。仄香ちゃんもやる気みたいだし、いいんじゃない。巫子ちゃんもいるんだし」


 凪咲が仄香に乗っかって邪神討伐に賛成する。

 私がいるから何なの?

 まあ私は吸血鬼で真祖だし。頼ってくれるのは嬉しいけども。


 「それで聖ちゃんは職業なんだったの?見せて」


 凪咲が上田先生にステータスプレートをを見せろとせがむ。 

 この子絶対邪神と戦いたいとか思ってるよ。まあ私も戦ってみたいとは思ってるしレベル上げともやってみたい。邪神復活は半年後だから、それまでにどれだけレベルがあげられるかも試してみたい。

 それから私も上田先生にのステータスがきになる。


 「えっと、これよ」


 上田先生にがステータスプレートをみせてくれる。


 名前:上田聖子

 種族:人族

 職業:聖女

 レベル:1

 特殊能力:聖女の祈り


 まさかの聖女!


 「聖ちゃんすごい!聖女じゃん!」


 「聖女?私は教師なんだけど…‥聖女ってなんなの?」


 こういった異世界モノに詳しくないだろう先生は聖女とかはわからないらしい。


 「聖女っていうのは、えっと、人を回復魔法なんかで癒してくれる人のことかな」


 凪咲が説明する。


 「それとこういう時の職業っていうのは、本当の職業っていうよりはゲームとかでいうジョブとかクラスみたいのだと思うよ。分かるかな?」


 「ごれんね。ゲートとかはあまりやらないからわからないけど、剣使いとか魔法使いみたいなもの?」


 「そうそう!そんな感じ」


 凪咲の説明で上田先生も理解したみたい。


 「じゃあ私とせんせーで勇者と聖女だから一緒に鍛えて邪神を倒そー!」


 完全に邪神と戦う流れになってる。

 私はこのままでいいので、そのことには気づいてないことにしよう。






 「話はまとまりましたか?」


 話を少し離れたとことで聞いていたカレンが話に入ってきた。


 「いえ、まだ…‥」


 「ほら、聖ちゃん。もう諦めて邪神討伐一緒に頑張ろう!」


 カレンの言葉を否定しようとした上田先生だったが、それを凪咲に止められてしまう。さらには強引に邪神討伐にもっていこうとしてる。


 「…‥はぁ、分かったわ。ただしやるのはやりたい子だけ。やりたくない子には絶対に強制しないこと。それとレベル上げというのをしっかりやるととよ」


 やった!

 ついに上田先生も折れた。これで楽しく異世界を満喫できる!


 「では邪神討伐に力を貸してくださるということで宜しいのでしょうか」


 「はい」


 「ありがとうございます!本当にありがちうございます!」


 カレンが深々と頭を下げて私たちにお礼の言葉を言ってくれる。彼女の顔を見ると目尻に涙をいpっぱいにため、とても嬉しいそうに見えた。


 「泣かないで。まだ何もしてないんだから」


 カレンの頭を撫でながら待っていたハンカチで彼女の涙を拭きなぐさめる。


 「それでも、本当にありがとうございます」






 しばらくしてカレンが落ち着いた。


 「すみません。泣いたりなんかしてしまって。少し恥ずかしいですの」


 「気にしなくていいよ。よっぽどうれしかったんだね」


 力を貸すと言ってだけなのに泣いちゃうなんて、邪神を倒した時なんかどうなるんだろ。少し気になる。


 「それで…‥その…‥あなたのお名前を聞いてもよろしいでしょうか」


 頬を少し赤く染めながら名前を聞いてくる。泣いたのがまだ恥ずかしいみたい。


 「いいよ。私は巫子。よろしくね」


 「はい!よろしくお願いしますわ」


 カレンは笑顔がすごく可愛い。それはもう、抱きしめたくなっちゃうくらいに。


 そんなことを思ていると部屋の扉が勢いよく開かれた。


 「ちっ。遅かったか」


 部屋に勢いよく入ってきたのは銀髪の少女だった。

 誰だろ?カレンほどではないけどこの子も美少女と言っても過言じゃない容姿。胸は私より少し大きい。


 「なぜあなたがここに!魔王・・メアリー!」


 まさかのやってきた美少女は「魔王」だった。

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