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精霊使いの吸血鬼  作者: ののん
プロローグ
1/79

クラス転移

 私の名前は椎名しいな巫子(みこ)

 公立白百合高校(女子高)に通う二年生。

 吸血鬼の真祖だ。

 年齢はわからない。物心ついた時からこの17歳くらいの見た目だった。だからどこで生まれたのかも分からない。

 けど物心ついてからは数百年は経ってるので少なくても数百歳はいってると思う。

 数百年って曖昧なのは正直ちゃんと覚えてないから。なんとなくそれくらいかなー、という感じ。


 そんな今の私の趣味は漫画やアニメといったオタクカルチャー。

 そして今の私の夢はズバリ!「異世界転移」!!

 異世界行って世界の危機から世界を守ったりして私TUEEEとかしてみたい。

 私ならできると思うんだよね。なんたって私は真祖だし、さらにそこから異世界転移特典のチートとかもらったらできる気しかしない。

 ちなみに真祖の力は、吸血鬼といえばの「吸血」、どんな生物にだって負けない「怪力」、天を自由に行く「飛行」、などなど。

 「吸血」は相手から血や生命力といったものを吸うもの。

 「怪力」は腕力や脚力といった力がものすごく強くなるもの。

 「飛行」は背中にコウモリのような羽を出して空を飛ぶもの。

 どれも定番の能力だ。


 あと私には吸血鬼の弱点であるニンニクとか十字架とか日光とかは全然大丈夫。何故って言われても分からないから。効かないものは効かないのだ。多分真祖だからだろう。





 教室が白い光で包まれる。その光はどんどんと激しくなっていき、目を開けていられ無いほどまで眩しくなった。


 「きゃー!?」

 「な、なに!?」

 「まぶしっ!?」


 みんなの悲鳴や戸惑った声が教室に響き渡る。


 今は一限のホームルームの時間だった。

 私たちは担任である上田聖子(せいこ)先生の話を聞いていた。

 そんな中教室は光に包まれたのだ。





 暫くして閉じていた目を開く。

 すると私の目に入ってきたのは私たちがさっきまでいた教室ではなく、全く見覚えのない部屋だった。

 私以外にもクラスのみんながいる。他にも見たことのない人もいた。


 •••••これって•••••もしかして•••••もしかしての•••••異世界転移!

 絶対にそうだ!これは異世界転移!しかもクラス転移だ!

 クラス転移ということはこの中に勇者や聖女といった存在がいるかも!


 クラスの他のみんなが戸惑っているなか、私はすごくテンションが上がっていた。


 「ね、ねぇ、これって、もしかしてクラス転移じゃない?」


 「うん!私もそう思う!」


 テンションが上がっていたのでつい即答で同意してしまう。

 私に話かけてきたのは、今の一番の友達の夏野凪咲(なぎさ)。中学からクラスもずっと一緒ですごく仲がいい。漫画やアニメなんかもたまに一緒に見たりする。私ほどでは無いけど彼女もそういったオタクかカルチャーが好きだ。

 なので彼女も私と同様、クラス転移に気づいたのだろう。


 「えーと、皆さま。色々と困惑していると思いますが、説明しますので私について来てもらえますか」


 私たちを召喚したであろう人たちの中から代表して40代ぐらいの女性が歩み出てきた。

 みんな動揺してどうしたらいいか分かって無いようだし、ここは恐らく一番冷静であろう私が対応しようと前に出ようとする。私はこれでも最年長者だしね。


 「ちょっど行ってくるね」


 凪咲に声をかけて前に出ようとした時、


 「その前にいいですか」


 私より先に前に出たのは上田先生だった。

 えっ、ちょっと。ここは私の活躍する場面じゃないの?!


 「どうやったかは分かりませんが私たちをこんな場所に連れてきたのはあなたたちですね。そんな何者かもわからないあなたたちに、はいそうですか、と素直についていける訳がありません」


 「たしかに。それはあなたの言う通りでしょう。しかし、私どもにあなたたちに危害を加えるつもりは全くありません。それを証明しろと言わ頭無理ですが、信じてくれると嬉しいです」


 「•••••わかりました。完全に信じるわけじゃないですけど、私たちもどうなってるのか分からないので、ひとまず信じることにします。

 それと、話というのはここじゃ駄目なのですか?ついていくのは流石にこわいです」


 上田先生すごく冷静だね•••••。

 普通いきなり知らない場所に連れてこられたら取り乱してもおかしく無いと思うんだけど•••••流石は教師ってことなのかな?


 「ここでも出来ないわけではありませんが、少し長い話になりますので」


 「なら、私一人じゃダメでしょうか」


 うわー、先生がかっこよく見えるよ。

 一人でついて行くってのいうのは、私たちを心配してだからだよね?

 さっき怖いって言ってたけど、もしかして私たちに何かあったら怖いって意味だったのかな?そうだとしたら、上田先生、本当にかっこいいんだけど。これで結婚どころか彼氏もいないなんて、よっぽど出会いがなかったんだね。


 「皆様に関わることですので、できれば皆様全員に聞いてもらいたいかと。それに、こんな場所にいるよりも、暖かいお茶を用意していますので。よろしければそちらで」


 「•••••分かりました」


 上田先生はすこし考える素振りをしてから了承の返事を女性に返した。


 「ありがとうございます。では案内しますね。こちらです」


 女性が部屋から出て行く。

 ここは多分、儀式的なものをするための部屋なんじゃないかと思う。地面に魔法陣的なものがあるしね。

 女性に先頭にローブを着た人も数人部屋から出て行った。


 「みんな聞いて。みんな何が何だかわからないと思うけど、みんなのことは先生である私が絶対に守るから安心して」


 上田先生が動揺している生徒たちを落ち着かせるようにカッコいいことを言う。


 「今は何が起きているか分からない状況なのであの人についていくことにします。なので、みんなは絶対に私から離れないで。それじゃ行くわよ」


 先生を先頭に平常を取り戻しつつある生徒たちもついていく。


 「聖ちゃんって、やっぱりアニメとかあまり見ないのかな?」


 「そうなんじゃない?異世界とか言っても全然通じなさそうだし」


 「だよねー」


 私と凪咲も話をしながらみんなについていく。

 大丈夫だとは思うかだ一応後ろから襲われても大丈夫なように、私が最後尾を行く。私なら死なないし、怪我もすぐに治るからね。






 召喚された部屋を出て暫く歩き、他の部屋に案内された。

 部屋に入ると大きなテーブルがあり、そこに椅子もたくさんあり、座るように促される。


 「それではこれからお話させてもらいやすが、まずはお茶でも飲んで落ち着いてください」


 代表の女性の人がお茶を勧めてくれる。

 そのお茶を飲もうとした子もいたけど、すかさず上田先生がそれを止めた。


 「待って!まず、私から飲むわ」


 上田先生がお茶を最初に飲もうとする。多分、毒見かなんかだとは思うけど本当に毒なんかが入ってたら危ないのでお茶を飲もうとするのを止め、私が先に飲む。


 「先生。私が飲むよ。毒見なら私に任せて」


 「でも•••••生徒にそんな事は任せられないわ」


 「私なら大丈夫だから」


 渋々にだが上田先生も了承してくれたので口元にコップを運びお茶を一口飲む。

 私が真祖だって知ってるから任せてくれたんだろう。


 うん。普通に美味しい!

 見た目通り紅茶で、この香りにこの味はダージリンだと思う。


 「大丈夫。普通のお茶だよ」


 「ふぅ。良かったわ。

 すいません。信じるなんて言っておきながら毒見なんて疑うようなことをして」


 上田先生は私の言葉に安堵のため息を吐いた後、代表の女性に誤った。


 「いえいえ、お気になさらず。疑うのも仕方のないことですから」


 女性に気にした様子は本当に無く話を続ける。


 「申し遅れましたが私はマーリンと言います。この国で宮廷魔術師長をしています」


 宮廷魔術師長ってことは、一番すごい魔術師ってことでいいのかな?


 「それではあなたがたをこの世界な召喚した理由を説明させてもらいますね」


 やっぱりそれは魔王を倒してくれとかだよね。

 この中に勇者や聖女なんかがいて。


 「あなたたちには邪神を倒すため力を貸してほしいのです」


 魔王じゃなくて邪神だった。まあ私たちにとっては大した違いはない。兎に角世界の危機をどうにかしてくれってことだよね。


 「その、邪神、というのは何か知りませんが私たちににそんな力は無いと思うのですけど、どうして私たちが?

 そもそもどうやって私たちをこんな所に連れてきたんですか?」


 上田先生がマーリンに疑問を言う。


 「すいません。焦って目的だけになりましたね。

 まず、あなたたちをここに連れてきたのは勇者召喚の儀式によるものです」


 「やっぱり!きっと私だね!」


 「えー。巫子ちゃんが勇者って変じゃ無い?吸血鬼なんだし」


 私の呟きにツッコミを入れてくる凪咲。別に吸血鬼が勇者でも良いじゃん!


 「その、勇者召喚、でなぜ私たちが?」


 「この中に勇者様がいるからです」


 上田先生の疑問に対してそう答えたマーリンは部屋に控えていた何人かの部下っぽい人たちに指示を出して私たちに何かを配らせる。


 「それはステータスプレートです。それで勇者様を見つけたいと思います」


 おお!ステータスプレート!すごく異世界っぽい!

 スマホくらいの大きさで魔力を流すとステータスが現れるらしい。


 「その魔力はどうやって流せば?」


 「そうですね。ステータスプレートに触れてもらい、そこに手から何か力を込めるような感覚でしょうか」


 みんなハテナ顔だったが各々手に取って言われたように試して見る。

 するとステータスプレートに文字が浮かび上がってきた。


 名前:椎名巫子

 種族:吸血鬼(真祖)

 職業:精霊使い

 レベル:1

 特殊能力:精霊視


 職業精霊使い?

 なんで精霊使いなんだろう?というか勇者じゃないんだ。残念。


 「巫子ちゃんは何だった?」


 凪咲が訪ねてきたのでステータスプレートを見せてあげる。


 「種族は吸血鬼なんだ。まあそれはそうだろうけど。

 職業、なんで精霊使いなの?吸血鬼と関係なく無い?」


 「いや私に聞かれても知らないよ。

 ところで凪咲は?」


 「私は、はい」


 名前:夏野凪咲

 種族:人族

 職業:料理人

 レベル:1

 特殊能力:鑑定


 「なんで料理人?」


 「さあ?」


 私たちが自分たちのステータスについて話していると誰かの喜ぶ声が聞こえてきた。


 「やっっっったーーーー!!」


 声を出していたのは三枝仄香だった。

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