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第2話 モスクワでの会合にて

ー1978年 11月7日 午後7時30分 モスクワ ワルシャワ条約機構本部ー


「ではこれより、ワルシャワ条約機構加盟国代表による緊急会合を開幕します。」


ソビエト連邦最高指導者のレオニード・ブレジネフによる一言で幕を開けたワルシャワ条約機構加盟国代表を集めた会議は、加盟国の首脳の顔が勢揃いだ。


名国首脳の顔は堅く、これからどうすればいいのかなどで不安が多かった。


「にしても、これほど緊張感が溢れる会合が行われるのは第二世界大戦以来ですな。」


ポーランドのヘンルィク・ヤブウォンスキがちょっとした話題を作りだすと、ハンガリーのロションツィ・パールが真面目な回答をする。


「おい、これは重要な会合だぞ。そんな呑気な気分で良いのか?」


「まあまずは落ち着け、緊急会合なのにここで仲間割れなんかしだしたらきりがないだろう。」


そう東ドイツのエーリッヒ・ホーネッカーが場を静めると、首脳は気分を改めて会合の本題である西側諸国との通信が出来ないこと等の話題を出した。


「ええ...この会合に参加している誰もがご存知かと思われるが、本日午前8時頃に条約機構加盟国で地震らしき現象が発生したのと同時に西側諸国からの通信が途絶え、更に地震らしき現象が終わって数分後に上空が黒い正体不明の雲が覆い、地上に日光が届かないといった歴史上例を見ない事態が発生した。私の見解では西側諸国が何かしらの攻撃を仕掛けてきたのではないかと思われる。」


そうブレジネフが重々しく言うと、条約機構加盟国の首脳は行く末を心配するかのように頭を抱えた。


「まさかこんな事態に陥るとはな...」


「おいおい嘘だろ......」


「西側諸国は遂に気象兵器を使い出したのか?」


首脳は思った事を次々と口から吐き出した。


ブレジネフも心境は同じだったが、あまり口に出さずに話題を続ける。


「我々条約機構は先の見えない課題に突き当たっている、それが良い方向に動くか悪い方向へと動くかはまだ分からない。だからといってこのまま決断を下さないのは全てを失うのと同じだ。なのでもし加盟国からの意見があれば言ってくれ。」


そう言うものの、加盟国首脳は未だに頭を抱えている状態だ。


すると、ルーマニアのニコラエ・チャウシェスクがひっそり手を挙げ、意見をブレジネフに向けて言った。


「こういうのはどうでしょうか、西側諸国との通信が途絶したことですし、いっそのこと条約機構の周辺を探索するというのは如何です?」


黙って聞いていた首脳部は、チャウシェスクに目を向けると少し驚いた表情をしだすと、東ドイツのホーネッカーが反応する。


「おいチャウシェスク、それって本気なのか?くまなく探索して見つかったのは見たことも聞いたこともない未知の世界だったら、どう対応するつもりなんだ。もしその未知の領域なんかに国が見つかって言語が地球上に属していない言語だったら尚更だ。」


「いや、その手もあるかもしれないな...」


「は...はい?同志ブレジネフ書記長、何て仰いました?」


「その手もあるなと言っただけだが...何か言いたいことがあるのかホーネッカー?」


ホーネッカーは少し焦りながら返答した。


「い...いえいえ、何でもございません。ただ先ほどの意見に賛同しただけですのでご安心を。」


「ふむ...そうか...よし、他の者の意見はあるか?無ければ今回の会合で我々の決断を下す。」


だが室内は誰も言いたそうな表情をしていなかったので、ブレジネフは決断を下す。


「今回の緊急会合の決断は、条約機構加盟国総出で周辺を探索する事に決定する。ポーランドは北部、東ドイツは北西部を、ルーマニアとブルガリアは南東部あるいは南西部、チェコスロバキアやハンガリーは西部を、そしてソビエトは東部を探索する。皆はもし未知の領域に関する情報を獲得したら全加盟国にそれを共有するように。いいか?」


「「「了解です!」」」


こうして、ワルシャワ条約機構が異世界へと飛ばされてから数時間も経たないうちに周辺の領域を探索する事が決定し、この会合から約2日後には指定された各方面に偵察機を向かわせ、本格的な探索活動を開始する事になる。



遂に条約機構の探索が始まりました!

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