表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

第三話 黒ずくめの女 ~恨みの誓い~

あれから、3日が経っていた。


桃太郎は奴らを倒すことを決めたのである。あの日あの夜、二人は殺されたのだろう。後から込み上げてくる二人への想いに泣きたい気持ちを抑えようとしても、抑えられない。


命がけで桃太郎を逃がしてくれた、おじいさんとおばあさんを胸に、二人が与えてくれたチャンスを逃さないためにも、復讐を誓った。


集落の外でも鬼は、そこらじゅうに蔓延(はびこ)っているようだ。


集落から一歩も出たことが無かった桃太郎にとって外の世界は鬼以外にも興味を()かれるものが沢山あった。(そび)え立つ超巨大な木、空飛ぶ光るクリオネ、巨大なキノコ、空に浮かび上がるカラフルな色の輪、挙げればきりがない。


それから森を進み続け、桃太郎は一人の男と出会った。


「誰だ!!!!」

精神が覚束ない桃太郎の前には、謎の女が堂々と立っていた。


「ほう、ガキ!その刀・・・」

20代と思われるその女は、桃太郎の腰に付けたおじいさんの形見の刀を凝視した。


「なっ何か、文句あるか?」

その女は黒ずくめに桃太郎と同じく刀を腰に差していて、いかにも怪しい雰囲気を(ただよ)わせている。スカートは紫と黒の組み合わせで、如何(いか)にも魔女という感じだった。


「五神家の末裔か何かか?お前、名はなんという?」

桃太郎は謎の発言に混乱した。


「俺は、桃太郎だ。集落が・・・」

そう言いかけたが、再びあの惨事を思い出すと胸が思い切り締め付けられる。


「そうか、鬼がまた・・・か。ところで、その刀は何処で手に入れたのかい?」

その女は桃太郎の方に近づく。その行動に警戒するも、桃太郎は自分の腰を再度確認する。漆黒の刀がおどろおどろしく光っていた。


「これは、じいさんの形見で。何かこの刀について知っているのか!?」

もしかして、何かの鍵を握る人物ではないかと直感する。


「落ち着けガキ!まあ、心当たりはあるさね」

はぁというため息をついてから、話し始めた。


「その刀は鬼の魂から作られたのは知ってるね?」

それは、別れ際におばあさんが語ってくれたことだった。鬼の魂、血、肉、骨から作られたという。


「ああ、聞いたよ」


「それは、元々五神家が持つ対鬼人用兵器の一本だ」

それから、女は鬼の存在について語り始めた。そこには桃太郎が知り得なかった事までもが次々に口から語られる。


「鬼とは本来この世界に存在しなかった存在だ。地獄(ゲヘナ)と呼ばれる死人の苦しむ世界の住人がこの世界に現れたのが始まりだ」

驚愕(きょうがく)の内容に思考が追いつかない桃太郎は、鬼が何故人間を襲うのかという疑問が脳裏に浮かぶ。


「なんだと・・・じゃあなんで、鬼は関係のない俺達に危害を加える!」


「そんなことは、知るかい。こっちが聞きたいくらいさ。私も昔、両親を目の前で鬼に殺されたんだよ。それ以来、鬼をこの手で滅ぼすことを決めたのさ。」


「あんたは一体―――ッ!?」

何故この世界の真実を知っているのか、『鬼を殺そうと決めた』と言い放った事にその女は桃太郎に無縁では無い何かを匂わせた。


「ああ、言い忘れていたな。」

女は感情を元に戻し、自らを名乗った。


「私の名前は八神鈴(やがみりん)だ」

そう言って桃太郎に手を差し伸べた。


「っよ、宜しくおねがいします。」

一瞬迷いはあったものの、その女の手を取った。


八神と名乗った人物は、桃太郎に様々な事を教えてくれた。そして、五神家というのも。五神家は初代『鬼殺しの桃太郎』直系の子孫の家系らしい。


それから桃太郎は、八神の弟子入りを果たした。これから待っている地獄の特訓の毎日を、知る(よし)も無かったのである。

『次回予告』八神鈴に弟子入りした桃太郎は3年もの間、地獄の特訓の日々を送る。そして桃太郎の復讐の日は着々と進むのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ