第一話 継承 ~次代の者へ~
小説書いてます。所々全然誤字脱字はあるので、まだまだ未熟者ですが2話目以降も是非見て行ってください。よろしくお願い致します。
『必ず、殺してやる――――ッ!!!!!!』
鬼も桃太郎も誓ったのである、苦しみから解放されるために。
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家族の悲しい声が聞こえる。『死なないで』とか、『翔くん』とか『お兄ちゃん!』など様々だ。
永遠と『ピー』と鳴り響く病院の機械の音が耳に響く中、意識を手放した。
「ご臨終です・・・」
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むかし、むかし。
とある世界の山奥の。三十人ほどの集落に、おじいさんとおばあさんが住んでいた。
二人は貧しいながらも楽しく、小さな小屋で暮らしてたのだが、ある日おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った。
いつもと変わらない風景。
上流から澄んだ水がさらさらと流れてくる。籠を持ったおばあさんは早速洗濯に取り掛かる。
「最近洗濯がきつくなって来たなぁ」
独り言を呟くおばあさんの周りには誰もいない。微風が辺りの木々をザワザワと音を立て揺らし始めた。それをおばあさんが洗濯の手を止め、目を細めて見つめている。雲一つない晴れた空に突如、近くで雷が落ちる。轟音と共に爆風が轟いた。
「なにが起こったのじゃ?」
その場で腰を抜かしたおばあさんの頭は混乱していた。目の前で雷が落ちることなんて今まで経験したことが無かったのである。すると、上流から何かが流れて来た。それは、40センチほどのピンク色の塊で、例えると桃の様だ。
「おやー、おったまげたのう。これは大きい桃じゃ!」
おばあさんは、桃を拾い上げようと手を伸ばす。桃なんていうご馳走は何年ぶりだろうか?この集落は貧しく、質素な生活だった。桃を食べたのなんて村の結婚のお祝い以来だ。
「これを持って帰ったらおじいさんが喜ぶかのう」
桃はおばあさんの近くに流れてきて、手の中に入る。そこで違和感を覚える。昔、触った桃の感触とは違う。形は桃だが近くで見れば、表面は筋肉質で、ドクンドクンと脈打っていた。まるで肉の塊だ。表面は生暖かい。おばあさんは手にしている物が桃じゃないと知った時、本能的にそれを手放した。
「うわ!!!!!なんだい、これは?????」
手放したその塊は、表面の血管の様なものが浮き上がり、それは蒸気を上げて『パカッ』と真ん中から裂ける。
「ふうぇ ふっうぇ~!」
中にすっぽりと納まる形で、出て来たのは赤ん坊だった。体には筋肉の筋のようなもので塊に繋がれている。おばあさんはそれを見て腰を抜かさんばかりに驚いた。
「おお、よしよし。やれやれ今日は腰を抜かすことばかりじゃ。きっとこれは神の落とし子じゃな。」
集落に伝わる話では、神の落とし子が空から降ってくるという話がある。その赤ん坊を家に持ち帰ると、おじいさんは激しく動揺した様子だったが、自分の子供が何十年も前に殺されたことを思い出し、その子が生まれ変わりではないかと思うほど喜んだ。おじいさんは赤ん坊に『桃太郎』と名付けた。
それから13年の月日が経ち、赤ん坊だった桃太郎はやがて立派な少年になっていた。
育ての親のおじいさんとおばあさんはもう、足腰が弱り歩行もままならないが、『桃太郎が元気に育ってくれることが何より』というのが口癖だった。
だが、そんな平穏な日々は突然出現した鬼によって、終わりを迎えることとなる。
『次回予告』焼け落ちてゆく里を見て、桃太郎は必死で応戦しようとするも、おじいさんとおばあさん止められた。そこで、初めて己の生い立ちを知る・・・