04・自己紹介
薮井浩介 SNS上で活躍中の主人公
神谷樹 違和感を覚えた明るい男子
「ねえねえ、このKOUって浩介君だよね?」
活発そうな女子が話しかけてきた。
「まあ、そうだね」
SNS上の自分の写真を見せてきた。
KOUは自分の芸名だ。
頑張っても隠しきれないだろう。
「やっぱり!すごいね!芸能人さんだ」
この子の大きな一言で人だかりができてしまった。
「いまもやってるの?」
「SNSの更新だけね」
「カッコイイーな、ねえねえ連絡先交換しようよ」
「いいけど、拡散とかしないって守ってくれる?」
「わかった!絶対守る」
少しだけ、いや、だいぶ信用できない。
でもここで断ってしまったら、
地獄が待っているかもしれない。
仕方なく交換した。
それから周りのみんなとも樹とも。
「私ね、白川姫香っていうの。
みんなからは姫ちゃんって呼ばれてる」
活発な女子が名乗ってきた。
「そんで、こっちが神田桃子でこの子が
鈴木美弥っていうの、よろしくね」
「よろしくね、浩介君」 「よろしくー」
元気のいい三人女子グループか。
間違いなく女子の頂点のグループであろう。
ひとまず仲良くしておくか。
「よろしくね、姫香さん、桃子さん、美弥さん」
「おいおい、女子だけずるいぜ、
俺とも仲良くしてくれよ」
次に来たのは、樹と一緒にいる男子だ。
「俺の名前は橘涼ってんだ。
ヨロー」
明らかにこの子も明るい子だ。
「俺と涼は小学からの幼馴染なんだ」
「そうなんだ、二人ともよろしくね」
なんだ、明るい子ばっかじゃんか、
友達出来るか不安だったけど
みんなたくさん話しかけてくれたし、
うまくやっていけそうかも。
樹に感じた違和感もきっと気のせいだろう。
芸能活動やっていることもからかわれず、
むしろすごく興味を持ってもらえた。
あまり心配しすぎるのもよくないかなと思った。
悪目立ちせず、うまくやっていこう。
けどなぜだろう、
この五人のほかにも話しかけてくれた子は
ちらほらいたけど、
ずっと一人で弁当を食べている人も何人かいた。
その人たちは、ちらちらこちらを見ながら
すごい負のオーラをまとっているかのような
表情をしていた。
けどどうでもよかった。
今は自分がうまく受け入れられたことに満足だった。
そのあとも自分の話題で周りは盛り上がっていた。
教室の空気が二分割に分かれていることにも気づかずに。
継続は力なり
いつまで続くかわかりませんが、見守ってください。