01・着せられた制服
人間が考えていることはよくわからない。
もう朝が来てしまった。
布団から出るのができないが、決して眠いわけではない。
学校に行くのが嫌すぎる。
このまま布団の中で、学校を卒業できないだろうか。
今日、僕は新しい学校に"転校"する。
なぜ僕がこんな目に合わなければならないのか。
転勤が決まったおやじを今でも恨んでいる。
だが、いつまでもいやいや言っている歳ではないことも自覚はしている。
もうすぐ16になる。
もう子供ではない。
もう高2だ。
布団を出た時には、時間がギリギリだった。
何が新しい制服に胸が躍るだ。
仕方なく来ている制服にそんな感情を抱くわけでもなく、、、
どんな学校生活が待っているのだろうか、
どんな生活でもいい。
僕ははじめましての人と話すことが極めて苦手だ。
それさえ超えてしまえば。
考えながら歩いていると母から声をかけられて新しい校門をくぐった。
「はい、全員席につけよ」
先生らしい声が聞こえてきた。
椅子を引きずる音が廊下まで響き渡ってくる。
その音につられてか、鼓動が早まってくるのが、
自分でもわかる。
「みんなに今日は一つ発表があります」
「転校生のことですかー?」
えっ、何で知ってるんだ。嫌な予感がする。
「なんだ、みんな知ってるのか。
なら話が早いな。入っていいぞ」
待てよ、まだ心の準備ができてねぇよ。
ふざけんじゃねぇよ。
この怒りを抑え込み、何とか笑顔を作る。
明らかに不自然だが、、、
入るしかない空間に、自分の足を進めた。
目の前に広がるのは、やはり好きな景色ではなかった。
大勢の前に立つのは得意ではない。
先生が黒板に自分の名前を書いているが、
みんなの目線は自分のほうに向いているのを感じる。
「今日からこのクラスに転校してきた薮井浩介君だ。
みんな仲良くするように」
大きく息を吸った。
「はじめまして。薮井浩介です。よろしくお願いします」
なれないですが、少しずつ更新していこうかと思います。