1章5話 反撃
「レギュラの軍勢め…もう来たか」
「まだ逃げる算段もついていないというのに…」
敵兵を見て狼狽する一部の家臣たちを尻目にアウレリアは城の高台へと登り敵の位置を確認する。
「あいつ、何をするつもりだ…?」
いぶかしげにアウレリアを見るレインとジニウス。
「…精神を集中させて」
大きく剣を振り上げるアウレリア。
「ま、まさかここから攻撃するつもりか?」
「レイン、それはないって! いくら近づいてきたっていっても距離はまだある––」
剣に魔力を集中させ振り下ろした一閃はベルヘルムの軍勢を一撃で飲み込んだ。
これまで聞いてきた大砲や爆発魔法…そのどれよりも大きな轟音を体全体でジニウスは感じていた。
「…す、すごい」
「勝てる…! 勝てるぞ!!」
「ああ、オーガス家はまだ終わってなどいない!!」
思わぬ救世主の登場により盛り下がっていた士気が一気に高まる。
「アウレリア!」
先ほどまでとは目の色を変えたレインがアウレリアに詰め寄る。
「…なんでしょう?」
「俺とジニウスの剣の師匠になってくれ!」
「レイン!?」
「さっき見たろ。あの力を使えるようになれば俺たちはレギュラだけじゃない他の<グラン・パワード>にだって負けはしない」
「わかりました。私にできることであなた達の力になれるのであれば喜んで引き受けましょう」
「それじゃあ早速っ…!」
「すいません。先ほどの攻撃で魔力を大きく消費してしまって…」
「ああ、そうだった。それじゃあ明日からよろしく頼みます。…師匠!」
アウレリアは軽く頭を下げ城内へと消えて行った。
「彼女がいれば反撃にうってでれる。ベルフレム軍の侵攻を阻止してる他の城の救助にだって…」
「うん。もう奪われるだけの毎日は終わりにしよう」
翌日、アルクス大陸の中央部にあるアズール城内にてオーガス征伐に向けた準備を進めるレギュラの元に知らせが届く。
「レギュラ様。急ぎご報告が」
「…なんだ。言ってみろ」
「城攻めに向かった先遣隊ですが…城から放たれた謎の攻撃で壊滅したもよう。今、残存の兵より情報を集めております」
「…ほう。クライヴの奴、隠し玉を用意していたか」
「奴らの地では良質の魔晶石が取れます。もしかすると新たな魔法具を開発したのでは…?」
「たとえそうだとしても問題ない」
「と、いいますと…?」
「お前も知っているだろう。魔法、魔晶の力は<グラン・パワード>やパワードといった血筋の中でも一部の人間しか使えないことを」
「そうでした。我々の圧倒的な"数"の前ではいかなる兵器を用意したところで…」
「とはいえだ。無用な犠牲は望ましくない。情報を集め策を講じさせろ」
「はっ!」
配下が去るのを確認したレギュラ。
「クライヴ…。"ソウル"の力を使ったのか…?」
少し考え笑みをこぼす。
「だとすると…面白い。オーガス家には滅びてもらうとするか」