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この件はくれぐれもご内密に  作者: tema
第六章 第二次アフリカ大戦、勃発
38/81

国際社会、諦めずに頑張る


-2045年10月25日 15:10-


『まだ宣戦布告もされてないのに、大変な騒ぎよ』

アトケがアイスクリームを食べながら言う。

コンゴ政府AI(B・B)へのサイバー攻撃が100万回を超えたわ』

最後の1掬いを食べてしまい、悲しそうに匙を見るアトケ。


『ちなみに記念すべき100万回目は、英国の真理省』

ブフォッ。

横でサイムがむせる。


ようやくアトケに赦して貰えたらしいが、完全に尻に敷かれている。

げほげほ、げーほげほ。

アイスが気管に入ったらしく、激しく咳き込むサイム。

そのスキにアトケが、サイムの器とカラになった自分の器を入れ替える。


『武力行使は、いつになりそう?』

やはりカラになった器を見ながら、アサラトが言う。

『ダミーデータが多すぎて、判らないわね』

幸せそうにアイスを舐めるアトケ。


「あっ!」

黒い腕に器を攫われた櫻井が叫ぶ。


『本当に判らないの?』

アサラトと2人で櫻井のアイスを食べながら、ジュリアが言う。

『だって調べてないもん』


『まぁねぇ、オルトゥが、あんなに張り切ってるからねぇ…』

櫻井の器もカラにしたアサラトが、諦めきれない目で匙を眺めた。


========


『さぁ張ったハッタ。米国か英国か、はたまた独逸、露西亜か!』

食堂で景気よく声を張り上げてるのは、オルトゥである。

尤も、声自体はピャァピャァと鳴き声で、言葉は手話で伝えている。


何処の国が一番槍を突きつけてくるか。オルトゥが胴元となり、トトカルチョの真っ最中である。

表示によると、一番人気は米国。ついで英国。

「日本は何位だい?」

櫻井が聞いてみると、オルトゥは首を捻り携帯端末(ノート)をめくる。


『お客さん、お目が高い』

キラリ、と目を輝かせて囁くオルトゥ。

『誰も入れてないよ。大穴間違いなしだ』

つまり、当たりそうもないということだ。


それでも愛国心(?)に目覚めた櫻井は、1,000コンゴ・フラン(FC)を日本に投じた。

だいたい200円弱である。

隣ではやはり愛国心に目覚めたのか、サイムが10,000FCを英国に投じる。

『いや、これにはちゃんと根拠がある』

思慮深げに言うサイム。


そう言えば、サイムの恋人アトケがその気になれば、英国軍のシステムにも侵入できるはずだ。

そう思った周りのSボノボが、英国に投じだす。


これは英国の教え子から聞いた話なんだが、とサイムは言う。

『ロンドンのテムズハウスが、不夜城と化しているそうだ』

真理省(MI5)が入っている建物だ。


『あそこには、軍情報部第5課--対テロ部隊が入っているらしい』

周りのSボノボたちの動きが停まった。

『そこが昼夜分かたず活動しているのは、攻撃の準備に違いない』

自信たっぷりに言い切るサイム。

その横で、英国に大枚を投じてしまったSボノボたちが、頭を抱えて転がる。


真理省が不夜城になっているのは、クラウドにアップされた機密情報を削除しているためだ。

クラウドへのアップを行ったのは、ハラムとアトケたち。

そのことは、全員が知っている。

興味の無いことはまるで知らないサイムを除いて。


========

-2045年10月26日 9:30-


『ニュースです。本日、国連安保理が決議3745を採択。戦争が開始されました』

食堂の壁一面に、TV放送が映し出される。

局は違えど、伝えている内容は同じだ。


『国民の皆さんは、できるだけ屋外に出ないよう--』

コンゴ政府AI(B・B)は、宣戦布告を受け以下の声明を発表し--』

--始まっちまった。

櫻井は現実感を持てぬまま、画面を追う。


子供の頃に観た、モノクロの画像。

爆撃機が、次から次へ降らせる爆弾の雨。

カラー映像で観たミサイルの発射シーン。

画面には映らない、何人もの、何千人、何万人もの犠牲者。


『臨時ニュースです!』

アナウンサーの絶叫が響いた。

『先程、キンシャサのヌジリ国際空港へ、国連軍の戦闘機が緊急着陸するとの連絡が入りました』

イナンガが、その局の画面と音声を大きくする。


画面の中で、フラフラと飛ぶ戦闘機は見慣れぬ形で、垂れ下がった尾翼が特徴的だった。

『何だあの戦闘機?』

誰かがつぶやいた。


『緊急着陸する国連軍の戦闘機ですが、原因は--え?ガス欠?』

ピャァッ!

声に振り向くと、パンロゴの手が『これだ!』と言っていた。


パンロゴの携帯端末(ノート)から、食堂の壁に画像が飛ぶ。

『マクドネル・ダグラス製、F-4ファントム。初飛行は1958--って何年前だよ!』

ざっと100年前である。


『よく飛んでるなー』

『原因は燃料漏れって、そりゃまー漏れるわなー』


アトケが唖然とした顔で言う。

航空管制装置(アビオニクス)があまりに古すぎて、侵入(クラッキング)できなかったんだわ』

最新の戦闘機は、コンゴ領空内に入るや否や、航空管制を乗っ取られUターンさせられたらしい。


『これは盲点だったわね』

アサラトが言う。

『100年も前の戦闘機を使ってるって、どんな国だよ!』

バラフォンがツッこむ。


モニタに映る戦闘機の翼。

そこに日の丸が描かれているのを見て、櫻井は頭を抱えるのであった。

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[良い点] ファントム無頼ww
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