シーン1
部長の声「今日は私たちの公演を見てくださり、ありがとうございました!」
部員の声「ありがとうございました!!」
大きな拍手がが鳴り響く。
幕が上がる。
拍手が静かに止む。
千鶴、明日香、優菜が下手から歩いてくる。
スマホのカメラの明かりをつけている。
千鶴「いやー、やっぱり演劇は楽しいわ!」
明日香「小さな公演もいいもんだね。......っと、電気どこだ?」
明日香、部室の電気を点ける。
明転。
優菜「でも疲れたなぁ」
千鶴「まぁ、人数いないし顧問1人だから宣伝から受け付けまでうちらでやったもんね。その分、達成感もあるけど」
明日香「でさでさ!次の舞台の台本どうする?」
優菜「気が早いなぁ...」
明日香「早くないよ!だって次が...最後の演劇なんだよ。引退公演」
琴葉、開けっ放しのドアからこっそり入ってきて3人の背後にまわる。
千鶴「やっぱり、既成の台本探してそれをやると思う」
優菜「そうだよねー」
明日香「誰か台本書けないかなー」
優菜「オリジナルにこだわる?」
明日香「だって...最後じゃん。誰かの劇じゃなくて、うちらの劇をやりたいじゃん!」
千鶴「それはすっごい分かるわ。でも私は書けないよ」
琴葉「私、書いてみよっか?」
3人「ぅわ!!!」
琴葉「明日香がいきなり『部室で反省会するよ!』とか言い出すから顧問に許可とってきたんですけど。私に感謝して」
3人「はい!ありがとうございます!」
琴葉「星羅と真冬は都合合わなくて帰ったよ。問題起こさないでくださいね、って伝言」
明日香「ナマイキな後輩だ」
優菜「で、琴葉...台本書けるの?」
琴葉「んー。書いたことは無い。でも、書いてみたい」
千鶴「まぁ琴葉、ネットで小説書いてるしね!」
琴葉「お、おいそれは...!!!」
千鶴、ハッとして琴葉を上手に連れて行き、コソコソ話しかける。
千鶴「な、内緒だったっけ...!?」
琴葉「うん、約束した」
千鶴と琴葉にのみ光を当てる。
明日香と優菜はストップモーション。
(回想)
千鶴「へーっ、琴葉って小説書いてたんだ!」
琴葉「うん。内緒ね?誰にも言ってないんだ」
千鶴「もちろん!信じてくださいよー。他言したら腹パンでも何でもしてくださーい」
琴葉「了解」
元通り明転。
明日香と優菜も動き始める。
琴葉、無言で千鶴に腹パンする。
千鶴「いったい!!え、なに!!」
琴葉「約束果たしただけです」
明日香「こーとーはぁ」
琴葉「生きてる事に感謝しな」
千鶴「ありがとうございます...!」
明日香「琴葉っ!」
明日香、スルーされ続けることにムカついて耳元で叫ぶ。
琴葉「うるさい!」