第8話 忍者装備
装備回です。
「随分と早かったな」
俺は今、隠れ家にいる。
速攻でオーク達を処理した俺は、特にする用事も無いと直ぐに戻って来たのだ。
「では早速見せてみろ」
そう言われ、俺は【ブラックホール】に収納していたオーク達の死体を取り出す。
中には大きく破損して腕が無かったり頭が存在しなかったりと、中々にグロい映像だが、特に気持ち悪いといった感情は抱かず、難なく床に並べている。
「ふむふむ、多いな」
「群れだった様で。オークリーダーも居ましたが吸収しちゃいました」
「構わんぞ。後で【分析】を使ってみれ。それと、この調子なら全然大丈夫そうだな」
「そうですか、有難う御座います!…では先に【分析】をしてみますね」
俺は先に断りを入れ、自分自身に【分析】を使ってみる。どれだけレベルが上がったのか要注目だ。
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名前:蒼田海(通常)
種族:人間[異]
職業:忍者
LV:28
技術:【暗殺眼[常]】【忍び足[常]】【気配隠蔽[故]】【消身[故]】【神速[故]】【知恵者[常]】【分析[故]】【気配感知[常]】【念話[故]】
魔法:【最上位闇属性魔法】→【闇爪】【ブラックホール】【闇黒砲】【纏闇】
称号:【異世界渡来者】【極闇】【ただ一人の闇忍者】【闇隠の弟子】【冷静思考】【未来の最凶】
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【念話】…相手の頭の中に自分の思念を伝える事が出来る。相手もこれを持っている場合はお互い会話する事も出来る。
LVがなんと28になっていた。
最初だから上がりやすいのかと一瞬思ったが、恐らくあのオークリーダーのお蔭だろう。
そしてそのオークリーダーを吸収した事によって一つ技術が増えていた。
【念話】は中々便利そうだ。もしかすると前ハルオが使っていたものはこれだったのかもしれない。
試しにハルオに向かって【念話】を飛ばしてみる。
『レベルが28になって【念話】っていう技術も増えていました!』
そうすると
『おお、そうかそうか。二人とも持っていたら会話が出来るな』
案の定【念話】で返って来た。やはりハルオが前使っていたのは【念話】だったらしい。
「さて、お前さんが問題なく戦える事が分かったから…そうだな…明日位には行って貰うか」
「え!?早すぎじゃないですか!?」
「なーに、案ずる事は無い」
【分析】し終わって一息つこうと思った矢先、ハルオから急な発表。
流石に早過ぎだと思ったがハルオには通じないらしい。しかし、それでも一つ吉報があった。
「お前に吉報をやろう。忍者としてその装備ではどうかと思うしな。お前に忍者装備(彰作)をやろう!」
そう言ってハルオは【ブラックホール】から何かを取り出した。
ちょっと量が量でゴチャゴチャしているが、沢山貰えるなら有り難い話だ。
「ほれ、先ずは防具じゃ。」
そう言ってハルオは防具…とはとても思い難い忍者服みたいなものを指差した。
それは日本で見たアニメ等でよくある忍者服を少し改造したもので、若干ローブっぽさもあった。
この世界で似合う様にといった配慮であろう。
「これはマジックアイテムというものじゃ。アイテム自体に魔力が込められており、そのお蔭で何らかの効果が発動する。このマジックアイテムを【分析】してみろ」
そう言われてしてみると…。
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名称:忍者ローブ
創作者:桐山彰
アイテムランク:S
状態:通常・魔帯(大)
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凄かった。効果等は分からないが、先ずランクがS。アイテムランクは最大がSな為、最高レベルの防具…いや、ローブだと言えるだろう。そして魔帯(大)。恐らくこれが魔道具の証拠だろう。(大)とあるので、期待が膨らむ。
「す、凄いですね」
「じゃろ?…お前の【分析】だとマジックアイテムの詳細を確認する事が出来ないからよーく覚えておけ」
最初に忠告をしておき、ハルオは俺にその効果を説明し始めた。
「先ずこのローブは見た目に反し防御力が高い。特に魔法防御力がな。その内【分析】が進化すると分かると思うが…物理防御力も並の防具よりも高いじゃろう。それからこれを着ると自身の俊敏度と反射神経が極められ職業が忍者の者だけ技術と魔法に補正が掛かる。そんなもんかな?」
成程、流石はSというだけある。効果が多い上に破格だ。
こんな薄っぺらいローブのどこに防御力が隠されているのか知らないが、兎に角強いという事は分かった。
「さて、次にこれじゃが…儂のお下がりじゃが我慢してくれ」
そう言ってハルオが次に取り出したのは靴だった。
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名称:忍者シューズ
創作者:桐山彰
アイテムランク:S
状態:通常・魔帯(大)
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やはり凄かった。恐らくはさっきのローブと合わせて使う物っぽい。
そして一つ思ってしまったが、彰さんのネーミングセンス…いや、何でもない。
「さて、これの効果は俊敏度が物凄く上がるのと、二つの技術が付与される。…勿論装備している間だけじゃがな。それでもかなり強力な技術じゃから上手く使いこなすと良い」
そう言われ、俺はローブに続きシューズも履く。
そして自身に【分析】を使ってみると、やはり技術が増えていた。
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名前:蒼田海(通常・技術&魔法補正)
種族:人間[異]
職業:忍者
LV:28
技術:【暗殺眼[常]】【忍び足[常]】【気配隠蔽[故]】【消身[故]】【神速[故]】【知恵者[常]】【分析[故]】【気配感知[常]】【念話[故]】【空蹴[故・与]】【壁登[故・与]】
魔法:【最上位闇属性魔法】→【闇爪】【ブラックホール】【闇黒砲】【纏闇】
称号:【異世界渡来者】【極闇】【ただ一人の闇忍者】【闇隠の弟子】【冷静思考】【未来の最凶】
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【空蹴】…空を一時的に蹴り、空中を移動する技。
【壁登】…重力の一部を操り、壁を一時的に登れるようになる技。
よく見てみると[与]という文字が付いているし、詳細を覗いてみると相当使える技だと思った。
「シューズも凄いですね…試してみても良いですか?」
「じゃろ?…良い事にはいいが、天井に気を付けろよ」
そう言われて試しに使ってみた。
天井にゴーンだけは気を付け、【空蹴】を使ってみるとおよそ10秒間、歩数で言うと20歩程出来た。
思っていたよりも効果が高く、嬉しい誤算だった。
次に地面にバーンだけは気を付け、【壁登】を使ってみると、どこぞのアニメのようにスタタタタタッと壁を登る事が出来、更にその場で同じく10秒程留まる事が出来た。
「これは…凄いですね」
あまりの凄さから感嘆の声を上げてしまったが、ハルオは満足げに頷いていたから良かった。
「さて、次に細かいものを渡そう」
そう言ってハルオは何だか色々なマジックアイテムを取り出し始めた。
そこに存在するのは幾つかの暗器のようなものとアクセサリーだ。
「これは”癒魔転換の腕輪”というものじゃ。【分析】してみろ」
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名称:癒魔転換の腕輪
創作者:ダンジョン
アイテムランク:S
状態:通常・魔帯(中)
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そう言われてしてみると、Sなのは変わりないが色々と変わっていた。
「これは超激むずダンジョンから入手した貴重品じゃぞ。使い方は少々癖がある。嵌めて、腕輪に魔力を注ぎ込むとそれが吸い取られて生命力…つまり治癒の効果が体中を巡る。逆にこの腕輪から魔力を吸い取ると生命力が吸い込まれる代わりに魔力が注ぎ込まれる。つまり生命力と魔力を転換できる腕輪ってわけじゃ」
成程、確かに癖がある。上手く使えば戦闘力が格段に上がるのは間違いないが、使う場所を間違えれば命取りとなる。ここぞという時しか使えないな、俺はそう思った。
「次に暗器じゃ。先ずは忍者の定番手裏剣と苦無じゃ」
ここでいう手裏剣とは、定番の十字型の刃物である。飛び道具として有用性を持つ。
苦無とは主に2種類あり、大苦無と小苦無がある。大苦無は主に壁を登ったり地面を掘ったりする物で、小苦無は手裏剣みたいな感じで使う。
「大苦無は投げたりせんし貴重じゃから3本で我慢せい。手裏剣と小苦無は…これをやる」
ハルオはそう言い、俺に謎の筒のような物を渡した。
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名称:忍者の右腕
創作者:桐山彰
アイテムランク:S
状態:通常・魔帯(大)
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やはりネーミングセンス…はどうでもいいとして、何だか意味が分からない。
「これは飛び道具を疑似的に製造出来る物じゃ。作りたい物をイメージして魔力を送ってみれ。すると作れるぞ」
俺はハルオに言われた通り、手裏剣をイメージして少し魔力を送ってみた。すると手裏剣がものの一瞬で出来上がった。しかし10秒もすると消えてしまったが。
「これは魔力の込め具合によって飛び道具の保つ時間が変わる。物凄く魔力が大量に必要だが、無限に形を保てるようにする事も出来る」
例え10秒といえど殺傷能力は充分にある。大苦無は無理なようだが、魔力残量に気を付ければそれこそ忍者の右腕となり得る。
「さて、最後にメイン武器を持ったら旅立って貰うとするかな」
そう言い、ハルオは【ブラックホール】から何かを探し始めた。
武器と言うのだから剣とか杖とかそういうのを予想していたが、ハルオは何時も予想の斜め上を通る。
そう渡されたのは、剣でも無く、杖でも無く、ましてや斧の類でも槌の類でもない。
そう、指輪だ。
腕輪でアクセサリーとか言っていたが、こっちの方がアクセサリーなのではないか?
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名称:闇操の指輪
創作者:竜峰春雄・桐山彰
アイテムランク:S
状態:通常・魔帯(大)
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何時も通りSだが、今度は共作だ。
「さて、これは嵌めているだけで闇の魔法と忍者の技術が格段に上がる。そして、その真価は…儂にも分からん」
これだ。自分で創っておきながら分からない。その効果は俺にも予測不可能だが、悪い物では無い筈。
使っていく上で分かるだろう。
そう思って俺は改めて礼を言う。
「沢山の貴重アイテムを有難う御座います」
「いやいや、いいんじゃよ。それはそうと明日から行って貰うから早急に準備を進めて体を休ませよ。金は支給せんから道中で魔物を狩るといい。それと週に一回定期連絡をしろ。しなかったら緊急事態とみなすからな。それとここと儂の存在は他言無用じゃ」
「ええ、分かりました」
俺はそう言って自室に戻る。
明日から冒険の始まりだ。
次の課題は…【名を轟かせよ】やってやろうじゃないか。
修正
旧)最初の試練は…
新)次の課題は…