第7話 訓練-後編-
前言撤回!ごめんなさーい!!(←これが分かんない人は活動報告見てね)
投稿が最近遅くてごめんなさい。頑張りますので応援お願いします。
俺は目が覚めた。
暫く頭がぼんやりとして、今どういう状況か探る。
少し経つと自然と記憶が戻って来た。俺は「う~!」と伸びをし、ベッドから起き上がる。
そう、今は朝。昨日は自分の持つ魔法と技術について精一杯訓練した後、疲れて直ぐに眠ってしまったのだ。
俺の魔法や技術は自分でも驚くほど凄かった。…とはいえ、自分の魔法と技術について何も知らなかったのだが。使ってみると大体は詳細に書いてある事が起こった。一回イメージして使っておく事で、次回使う時にセンスがあれば効果に補正があるとかないとか。
さて、今日は訓練その2といった所だ。というよりは実戦だ。
昨日使い方と効果を覚えた魔法と技術を使い、近くの森で魔物を狩って来るらしい。らしいというのは昨日何となくで聞いただけだからだ。
俺は早速と言わんばかりに朝食の席へと向かう。
朝食の部屋に着いた時、既にハルオは席に着いて待っていた。
「お早う。よく眠れたか?」
「お早う御座います。ええ、お蔭様で」
他愛のない話をしつつ、用意された朝食を口の中に頬張る。
まだ二日しか経ってないが、慣れたものだとしみじみ思った。
朝食を食べ終わった所で、早速ハルオが話し始めた。
「さて、前にも言ったがもう一度おさらいしよう。
儂はある目的の為にお前を呼び出した。そしてそれは教えられないが先ず最初にやるべき事はギルドで冒険者として活動する事じゃ。そのためには一度実戦を挟み、危なげないようじゃったらメルシアナ王国へ行って貰おう。…という事で昨日も言った通り近くの森でオークを狩って来てくれ」
やはりこの人はどうかしている。
起きて30分と経ってないのに、更には地球から転移してきてまだ二日で戦闘経験等皆無な俺にこうもいきなりオークを狩って来いとは…。
ハルオから聞いた限りではこの魔星では低ランク魔物として扱われているらしいので、そこまで脅威ではないが、それでもつい二日前まで平穏な日本で暮らしていた俺からすれば恐怖を覚えてしまうのも仕様が無い。
そんなこんなこれからの戦いについて思案していた俺だったが、「何事も経験じゃ!」というハルオの悪魔の囁きによって秘密基地から放り出されたのだった。…慈悲としてなのか粗悪品の武器を貰ったのは言うまでもない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺は今、近くの森に来ている。
領土的に言えばドラゴン山脈の所。悪く言えば無法地帯だ。
しかし朝早いからか、それともこの地に元々人が寄らないのか、今まで誰一人と見ていない。
それは兎も角、早速森の中へと入って行った。
進んで5分位のところで初めての動きがあった。
森の傍らの叢がカサカサ動き、中から醜い何かが3体出てきた。
これが俗に言うゴブリンである。
何となく予測が付いていた俺だったが、念の為に【分析】を使いその醜い何か達を調べる。
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名前:無し(通常)
種族:ゴブリン[亜人]
職業:戦士
LV:8
技術:【棍棒術】
魔法:無し
称号:【無能】【最弱種族】【協力狩猟】
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名前:無し(通常)
種族:ゴブリン[亜人]
職業:戦士
LV:5
技術:【棍棒術】
魔法:無し
称号:【無能】【最弱種族】【協力狩猟】
********************
名前:無し(通常)
種族:ゴブリン[亜人]
職業:警邏
LV:7
技術:【棍棒術】【気配抑制】
魔法:無し
称号:【最弱種族】【協力狩猟】
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やはり察した通りゴブリンだった。
3体の内2体は定番の戦士。即ち棍棒をただ振り回すだけの奴等だが、最後の1体は違う。
上位種とまではいかないが、レアな職業だ。警邏とは警戒して見回りをする事。つまりレンジャーだ。
恐らく叢から飛び出してそのまま襲おうと考えたのだろうが、生憎”警邏”よりも強い”忍者”の為、バレバレだったが。
俺が内心、ゴブリンが警邏をやる事自体間違いなのだが…と思っていた事は秘密である。
さて、不意打ちが失敗したと感じたゴブリン達は俺に向かって突進だが突進とはいえない攻撃をしてきた。
俺は技術を使うまでも無いと、転移してきた時に授かったのかよく分からないが、授かった元々の身体能力で軽々と躱す。そしてさりげなく気になった技術と称号の分析も忘れない。
【棍棒術】…常時発動型。棍棒の扱いがそこそこ上手くなる。
【気配抑制】…故意発動型。取得済み技術【気配隠蔽】の退化技術。気配を少し抑え込む事が出来る。
【無能】…魔物の中で最も知能の低い魔物。
【最弱種族】…最弱の種族。最弱だが、【協力狩猟】に少し補正。
【協力狩猟】…弱いが故に協力的に行動する。数で押し切れるかもしれない。
これは…酷かった。
実にそこそこの技術ばかりだ。
称号に至っては哀れみしか感じない。
ハルオが自分の体験談を話していた時、同じ人型を倒すという事に嫌悪感を抱いたと言っていたが、そんなものは俺は一切感じない。【無慈悲】さえ持っていないのにと頭を過ったが、よくよく考えてみると称号の【冷静思考】のお蔭かもしれない。
そんな事を思ったが、俺はもういいかと戦闘に集中する。
再び棍棒を持って突進して来たのを確認し、大きく跳躍してストンといった音さえたてずに着地する。
ゴブリンにはそれが目視出来なかったのか、キョロキョロと首を振って俺の姿を探しているが、もはや遅い。容赦なく俺はハルオから貰った長剣を横薙ぎに振るい、ゴブリンの体を3つ斬った。
それはゴブリンの体を真っ二つに切断し、返り血が俺にかかりまくったので、顔を顰めてしまったのは仕方がない。
ゴブリンを難なく処理した俺は、どんどん進んで行く。
途中でゴブリンが何体か出てきたが、今回の目標はオーク。即座にぶった斬った。
そう言えばと思い、【ブラックホール】で吸収してみたが、倒した時よりも少し経験値が増えただけで終わった。運や適性があれば技術を習得できるらしいが、生憎棍棒の適正は無かったようだし【気配抑制】は、その進化形の【気配隠蔽】を持っているので習得する事は出来なかった。
この【ブラックホール】は【最上級闇属性魔法】を習得している者しか覚えられなく、更にその中でも一握りしか習得できない超希少なチート魔法だそう。
ただでさえ他の属性よりも習得し難い闇属性なのに、最上級と来たもんだ。確率で言えば【最上級闇属性魔法】の習得率は凡そ0.00001%…つまり1000万人に1人だ。
そこから【ブラックホール】を覚えている人は…考えないでおこう。
そこから少し進むと、遂にそれが見えた。
それの数は4。そう、オークだ。
奴等は豚のような頭を持ち、姿形は人だ。
それらは草を踏んで段々と俺に近付いている。
数的には向こうが有利な為、強者の余裕というのを醸し出しているつもりのようだ。
その時間のアドバンテージを上手く使い、【分析】を使う。
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名前:無し(通常)
種族:オーク[亜人]
職業:戦士
LV:12
技術:【棍棒術】【腕力上昇】
魔法:無し
称号:【余裕】
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こんな感じなのがあと3体いた。
技術や職業等は同じで、LVだけが違う。
【腕力上昇】…常時発動型。腕力が少し上昇する。握力も含む。
【余裕】…自らの力を過信し強者の余裕を醸し出す癖がある。場合によっては力へと、場合によっては愚行へと転がる。
そこそこだった。腕力上昇は是非欲しい所だが、成功率は低いらしいし期待はしていない。
相手が余裕をこいてるなら都合が良い。【消身】を使い不可視にする。
オークはいきなり姿を見失った事により、先程のゴブリンと同じ様にキョロキョロしていたが、そんな事は関係ないと言わんばかりに纏めて斬った。
少し硬かった為途中で刃が止まってしまったが、命は断ち切られる。
オークはこんなものかと思い、【ブラックホール】に収納し、そこを立ち去ろうとした時、叢からまたもオークが飛び出してきた。しかし今回は前回の比ではない。10は居るだろうと思う量だ。下手すると低ランク冒険者ではあっさりと殺られてしまうだろう。
しかし俺は【冷静思考】のお蔭か、焦る事無く【消身】で姿を消し、初めて使う魔法【闇爪】で逆に相手を蹂躙して行く。
凡そ1分後。そこには肉片しか散らばっておらず、辛うじて何か分かると判断したものを収納して行く。
そしてやっと帰れると思った矢先、少し先にただならぬ気配を感じた。気配を感知する俺でも分かるものだ。
<【気配感知】を獲得>
と思っていたら獲得してしまった。とまあそんな事は置いておき、そこに向かう事にする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺が颯爽と移動する中、一つの影が森の奥から出て来た。
俺の技術である【分析】を使うと、それがオークリーダーだと直ぐに分かった。
恐らくは先程闇に葬ったオーク達のリーダーであろうと。
オークリーダーとは通常のオークよりも一回り大きく強靭な肉体を持っている。
俺は持っている技術の中で、【神速】を使用し一気にオークリーダーの背後へと回る。
そして背後からオークリーダーの頭部目掛けて【最上位闇属性魔法】の【闇爪】でオークリーダーの頭部を刈り取り、闇に葬る。ここまでの時間は僅か5秒。これが俺の職業の強い所だった。
俺は【ブラックホール】を使いオークリーダーを吸収。そのまま隠れ家へと走り去った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【気配感知】…ほぼ全ての種類の気配を正確に感知する事が出来る。
因みに章設定しときました~!