第6話 訓練-前編-
第3話に地図(手書きでめちゃめちゃ下手糞)を載せときました。イメージ程度の意識でご覧下さい。
また、キーワードを若干ですが弄りました。”ハーレム”→”後にハーレム…?”ですね。まだまだ先となりそうなので。
共同作品の『チカラを与えられし者』も宜しくです!活動報告にURL貼ってありますよ~。
訓練場に移動した俺は、早速ハルオの指示に従って訓練を開始する。
「さて、先ずは自分の魔法を理解しろ」
ハルオにそういきなり言われ、俺はステータスを確認する。
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名前:蒼田海(通常)
種族:人間[異]
職業:忍者
LV:1
技術:【暗殺眼[常]】【忍び足[常]】【気配隠蔽[故]】【消身[故]】【神速[故]】【知恵者[常]】【分析[故]】
魔法:【最上位闇属性魔法】→【闇爪】【ブラックホール】【闇黒砲】【纏闇】
称号:【異世界渡来者】【極闇】【ただ一人の闇忍者】【闇隠の弟子】【冷静思考】【未来の最凶】
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確認した所、以前と変わりはない。
言われた通り魔法の欄を見ると、4つの魔法が使える事が分かった。
1つはハルオの体験談にも出てきた【闇爪】だ。
生憎ハルオみたく頭の中に使い方が出て来るような事は無く、緊急時じゃないとそういう様なことは出来ないのかと思う。所謂火事場の馬鹿力というやつだ。
先ずは【闇爪】というやつを使ってみようと思う。
「これってどうやって使うんですか?」
「取り敢えず声に出してみたら使えるぞ。強いイメージ力があれば威力が増強する事もあるが、最初は無理じゃろう」
ハルオに言われた通りに使ってみるとする。
こんなに発動条件が緩くて大丈夫なのかと思ったが…
「【闇爪】!」
その心配は皆無だったようだ。
そう声に叫んだ途端、空中に真っ黒で巨大な爪が出現し、周囲を圧倒させる。
大きさは自身の手の数倍…それこそ3、4倍程はあり、その闇の爪は標的として用意された人形のような物を容易く切り裂き、その傷口から黒いエネルギーが流れ込む。
これが負のエネルギーだ。
「ふむ、中々な攻撃だ。最初なのにこれ程の威力…脅威じゃ」
「恐縮です」
「さて、先に1つ技術について行くが、【分析】をその人形に使ってみれ」
ハルオにそう言われ、俺は身代わり人形に向かって【分析】を使う。
そうするとこのような表示が思考の中に映し出された。
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名称:疑似人間
創作者:竜峰春雄
アイテムランク:B
状態:破損(大)・闇負
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内容はステータスと同じ様なものだ。
ハルオの説明によると、名称はアイテムの名前の事で、創作者はそれを創った人の名前。
アイテムランクとはE・D・C・B・A・Sとなっており、左から右にかけてレアとなる。
このランクは性能と希少性を総合したものだ。
最後に状態。これは文字通りアイテムの状態だ。破損は小・中・大とあり、大を超えると破滅となる。
闇負は状態異常の1つで、身体から永遠と体力や魔力が枯渇していく。稀に浸食された部分が痙攣し動かせない時もある。
因みに疑似人間とは人型の人形だ。
「さて、ちゃんと状態に闇負があったか?」
「はい、ありました」
「そうか。これはこの闇属性魔法で重要な状態異常だからな、覚えておくといい」
「分かりました」
「うむ、では次に行こう」
それから俺は今覚えている全ての魔法を試し打ちした。
【ブラックホール】とは地球に居た時の宇宙にあるものと変わらないものらしく、お手頃サイズ…というのはちょっとしっくりこないが、極端に小さくなったものだ。
これを使ってみると正に”闇”というようなものが出て来た。
【ブラックホール】は全てを無に帰す、収納、吸収の3つの事が出来るという。
無に帰すとは簡単に言えば消滅させるという事。基本の使い方はこれなんだとか。
実際疑似人間…人形に向かって使ってみると、【ブラックホール】の闇の部分が段々と渦巻いて行き、闇の粉塵のようなものがその人形へと飛び、一瞬で【ブラックホール】に吸い込まれていった。
恐らくもう消滅した筈だ。このアイテムは既に存在しない。何とも恐ろしい魔法だ。俺はそう思った。
次に【闇黒砲】だ。暗黒ではなく闇黒らしい。
これは単純に暗く黒いものを飛ばすのではなく、闇を飛ばすのだろう。
魔法詳細にも書いてあったが、どんな魔法かは大体把握出来る。
何となく日本に住んで居た時のイメージもあり、恐らく手から出るのだろうと予測する。
先ず初めにドラ○ンボールのかめ○め波を撃つようなポージングで人形に向かって手を向ける。
そして、
「【闇黒砲】!」
そう叫んだと同時にその組んだ手から直径8~10cm程の大きさのビームが勢い良く飛んで行く。
当たった人形は一瞬で砕け散り、
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名称:疑似人間
創作者:竜峰春雄
アイテムランク:B
状態:破滅・闇負
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こんな状態になった。破滅という事は、既に壊れているという事だ。恐ろしい。
「ふむ、素晴らしいな。何かをイメージしたか?レベル1でこれだけの威力は凄いぞ」
相変わらずハルオはベタ褒めしてくる。…本人曰く真剣に褒めているのだが。
「じゃあ今から沢山強化版の人形を出すから、お前の本気を出して殲滅してみろ」
若干真剣な眼差しに切り替えこちらを見て来たハルオは挑戦的な笑いで沢山の人形をどこからか取り出す。
そのアイテムを【分析】してみると、
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名称:疑似強人間
創作者:桐山彰
アイテムランク:A
状態:通常
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非常に凄かった。
何が凄かったかと言うと、ランクだ。
最大Sランクだが、上から2番目のランクだ。しかもハルオの体験談に出てきたあの”彰”だ。
「彰さんが造ったんですか…」
「造ったんじゃない、創ったんじゃぞ?」
非常に自慢げにそう告げて来る。心の中で俺は”お前が創ったんじゃないだろ!”っと突っ込んでいる事だろう。…声に出す等愚かな事はしないが。
「でもこんな豪華な物をこんなに壊しても良いんですか?」
「ああ、構わんよ。彰は土忍者だったからな、この手の物は沢山貰っておる」
そう、そこには10体もの人形…いや、強人形というべきか…がずらりと並んでいる。
しかし折角用意してくれたんだからと納得しハルオに言われた通り自分の本気を出してイメージをする。
今回は自分の指10本からビームを出すようイメージし、スタンバイした。
「【闇黒砲】!」
そう叫ぶと、先程とは違い、10本の指全てからビームが扇状に発射される。
それ一つ一つがさっきと同じ位の太さと威力で飛んで行く。
全てが終わった頃には強人形とでも言うべき物の破片があちらこちらに散らばっていた。
思わず【分析】をしてみると、破滅が4体、破損(大)が6体といった結果だった。
Aランクアイテム相手でもこれほど破壊力が出るとは誰が予測しただろう。
しかもそれを行った方もレベル1。俺でも吃驚だ。
先程までは挑戦的な笑みを浮かべていたハルオも、今では引き攣った笑みへと変わっている。
「これ程とは…嬉しい誤算じゃ」
ハルオは純粋に喜んでくれているが、俺はふうと安堵した瞬間に全身から出て来る疲労感と変わった脱力感に襲われ、へなへなと座り込んでしまった。
「安心しろ。それは魔力切れだ。魔法を使い過ぎたからな。少し回復してから続きをやるとするか」
ハルオはそう言い、俺を抱き上げ俺の部屋へと運んでくれた。
個人的にはまだ出来たが、それでも疲れてるじゃろと言われ、大人しく休憩を取る事にした。