プロローグ
初投稿作品です。
読みにくいとか、言い回しが変だとかたくさんあると思いますが気に入ってくれる人や続きが気になるという人が居てくれると励みになります。
どうぞよろしくお願いします。m(__)m
ーーーー「ねぇ…どうして泣いてるの?」
ノイズだらけの視界の中、月明かりに照らされた少女が尋ねる。
何度も繰り返し訪れる夢はいつもここで途切れる。
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「起きろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
といつもの調子で飛び乗ってくるのは妹のベルだ。
「なんだよベル…毎度の事だがお前はもう少しおしとやかにだな…」
と言い掛けたところで
「にーちゃんが起きてこないからベルが起こしにきてるんでしょ!感謝しなさい!」
と遮られる。
これが朝に弱い俺の日常。
俺の名前はハル。ハル・グレンフィールド。皇国ルドメキアの辺境の村に住む17歳、あそこで愚痴愚痴いってるのがベル。俺の妹だ。
欠伸をしながら窓の外に目をやると
「ハールぅーー!!遅刻するわよー!!」
と元気のいい透き通った声が聞こえてくる。淡く青い腰まで届く髪をなびかせ、両手で鞄を前に持った少女が眉間にシワを寄せてこちらを見ている。
俺は右手で頭上に弧を描きいまだに愚痴愚痴言ってるベルを横目に支度を済ませ、外へ出た。
待ちくたびれた様子の少女を前に
「わりーわりーエル。明日からはちゃんと起きるよ」
といつもの調子で言うと
「その台詞、一体何回目かしら?もういい加減耳にイカよ!」
と並んで歩きながら間髪入れずに彼女は言う。
「この状況で非常に申し上げにくいのですがエルさん。それを言うならタコだ。そして生き物ではないほうのな!」
っと言ったところで後頭部に鈍い痛みが走る。
「何もかも殴ることないだろ!」
「殴ってなんかないわよ。鞄が重くて身体がふらついたただけ」
彼女は淡く青い髪を耳に掛けながらそう言い放った。
「今日は精霊術の試験の日なんだからしっかりやんなさいよ!」
「あーそうだっけ。俺ってば全く駄目だからな、精霊の声もまともに理解できないのにそれを使役するなんてなぁ…」
と溜め息をつく。
俺は精霊術が苦手だ。というか全く駄目だ。それに引き換えエルは完璧とも言える精霊術を使いこなす。
と言っても実践で使用できるほどのものではないし、学校で学ぶ範囲の物だが。
「アンタなんでそんなに精霊に嫌われてんの?なんかやらかしたんじゃない?」
「そんなこと言われてもわかんねーよ…てゆーかなんで必修科目に精霊術があるかなー…」
「アンタ精霊術以外の座学もてんでだめじゃない」
と彼女は笑う。
俺は身体を動かすことは得意だが、それ以外は彼女の言うとおり全然だめだ。
校舎にたどり着き、早速精霊術の試験が開始される。
「次、ガーランド!エルザ・ガーランド!」
担任のカタリナ先生がエルを呼ぶと
「はい!」
と彼女はいつもの透き通った声で返事をすると前に出て、眼を瞑り両手をだらりと下げ掌を前に向けた。
すると五色の小さな光が彼女の周りをなぞるように飛び回り、やがて一つの白い光へと収束し彼女の胸元で輝いた。その時ーーーー
ドン!と大きな衝撃が周囲に走り彼女を起点に地面が抉れ、ハルを含む生徒達は吹き飛ばされた。
エルは白い大きな光に包まれながら宙に浮く。
ハルは両手を地面に付け、首を横に何度か振った後白い光へと目をやる。
「なん…だ…これ。どうなってんだよ…」
とハルが口にすると
「魔力の…暴走…?」とカタリナがその目を凝らした。
その直後、エルの身体を包んでいた光は次第に輝きを失い、宙に浮いた彼女の身体は地に着き、力なく崩れ横たわった。
「エル!エル!しっかりしろよエル!」
ハルは横たわる彼女の元へ走り寄っていった。
「う…ん…。ハル?…あれアタシ、どうして…」
彼女は何も覚えていない様子で、意識も朦朧としていた。
今思えば、これがすべての始まりだったのだ。