和也がいた日々
和也と出会ってから、今までは退屈だった週末のミサが、楽しみで楽しみで仕方なかった。
あくびが出そうな神父様のお話も、短く感じられた。
同じ建物の中!同じ空気の中!、、、和也がいる!!
それだけでも、
うれしい!
うれしい!
うれしい!
「ね~リナ!?!、、、リナったら!!!」
隣のひろ子が、少しイライラした様子で、顔を覗き込む。
ムッとした顔を、するひろ子にも思わず満面の笑みで返事を返す。
「な~に?どしたの?」
すると、、、「駄目だ、、こりゃ~・・・・!?ごちそうさま!!」
そう言いながら、呆れたように前に向き直ってため息をつくひろ子、、
それが、、、毎回毎回恒例に、なりつつあった。
直接会話できるのは、始まる前と、終わった後のホンの短い時間だったけれども,,
充分だった。
色んな事を話したい、対して、面白くもない、、平凡な出来事も
和也と話すだけで、身がはじけるような、楽しさに変化した。
「ねえ、ね、!!!今日ね!***だったんだよ!」
他愛のない、何でもないようなことにも・・・
和也は、
「へ~??それから?めっちゃ!面白いよ!!」
{ふん!ふん、それで?どうなった?」
時にむずかしそうに、
時に笑いながら、、
ときに、顔を赤らめながら、、、
ときに、あたしの目を、貫くような視線で、、、
あたしを、み・つ・め・た、、
そうされると、、、胸が、、熱く、、、なった。
不意に、恥ずかしくなり気持ちを悟られまいと、
下むきになってセーターの裾を、つまんだりしていると、、
和也は決まって、
「リナは、カワイイなぁ、」
と、独り言のようにつぶやくとあたしの頭を、優しくなでた。
あたしは、嬉しいのに
「ええい!無礼者!」
と、時代劇でおぼえた言葉で和也の手を払いのける!
すると、和也は、少し意地悪くなって
「え~ぇ?じゃ、、もうなでてやらない!」
と、腕組みしたままつれなく背をむける。
「やだ~、、怒らない??で!」
「あやまるからぁ~」
今度は、必死になってあたしよりも少し大きな背中にしがみつくと、、、、
フル、フルと震えていた、、??
前に回り込み下から顔をのぞきこむと、
笑いを、必死にこらえている、、、そんな時間が過ぎていった。
そんなある日、
「よし!リナは、今日から俺の妹だぞ!」
と、いきなり彼が言った、
「妹って? 同じ家族じゃないと、妹じゃないんでしょ?」
と、あたしがキョトンとした顔でたずねると
「いや・・その妹じゃあなくて、」
はて、困ったという表現の和也に
「ほかにも、イモウトっていうのがあるの?」
とあたしが、尋ねると
大笑いしながら説明してくれた。
本当にやさしい、{あたしだけの}おにいちゃんだった!
そんな日々が続き、3年が過ぎた。
あたしは中学生になり彼は、施設を出て働いていた。
施設の中で会うことは、できなくなったけれども
日曜日には、外出が許されていたから外で先生の監視を気にせず、
彼に会えるのはむしろうれしかった。
その頃には、お兄ちゃんというよりは恋人同士に近い感情を、持っていたと思う。