和也、、、出会い
あたしの預けられていた施設は、
カトリック系の宗教団体が、運営していた
、、、だから週末には、必ず、、
ミサに参加させられた。
小学生だったあたしには、
難しくて退屈な時間だったけれども、
寮では、普段分けられている男の子たちと、接することもできる唯一の機会だったから、、、
割とまじめに出席していた。
・・・、でもたまに、友人の弘子と一緒にミサを抜け出して、、、
部屋にこっそり戻って隠れてたことも・・・あった。
同じことを考えている人も、
他に何人かいたようで、抜け出す途中に、
中等部のお兄さんやお姉さんを見かけた。
弘子は、あたしと同じで小さい頃から預けられていたから、
割りと気が合う、友達でお互いに
・・・ませていたと言うか、、
・・・妙に大人びていたと思う。
ミサにいても、興味の対象は、中学生とかで
「ねえねえ弘子、角から3番目人とかっこいいよね!」
とか、言うと
「えーでもおたくっぽいよ!」
とか二人で言いたい放題だった。
寮では、食事の量はきちんと決められていて、いたけれども
たまに、残りものがあると
「残ってるからもっと食べてもいいよ!」
といってくれる食事係のおばさんもいて、
そういう時は、おなかいっぱい食べられた。
あたしは特にスパゲティが大好きだったので、
残りがあると全部!!平らげた、
只その量が尋常でなかった。
あまりにもたくさん食べるので、
先生が心配して病院に連れて行かれて検査された。
レントゲンを取ったら、、、
お医者さんがびっくりして、信じられん!!、、、というような顔で
レントゲン写真を見ながらつぶやいた、、、
「胃が、いっぱいになって背中のほうに伸びている!!!!」
スパゲティを食べるときだけ、ギャル曽根みたいなおなかだった・・・
付き添う、施設の先生も、言葉を忘れたように、ダンマリしてた、、、
施設の暮らしは、、、それなりに楽しいこともあったし、
自分の境遇が不幸と思ったこともなかったけれども、
正直つらいことも何回もあった。
普通の家庭で育っていれば当然わかっているようなことも
知らなかったりしたし・・・
例えば同級生との会話で「それで親戚の従妹がね・・・」
と、話しているときに
「親戚ってなに?」とか
「従妹、、?、、、って!、、なに?」
と尋ねると、
「りなちゃんそんなこともしらないの?」・・・と馬鹿にされた。
そもそもそんなもの産まれたときから居ないのだから分かりようもない。
そしてある日のこと、学校の帰り道一人で歩いていたら
なんだか急に悲しくなって、
道端でうずくまって泣いていたら誰かが声をかけてきた。
「どうかしたの?大丈夫?」
涙を手で拭いながら顔を上げた、、、見覚えのない人だったが・・
「なんでもないです!だいじょうぶ!」
少し警戒感もあったのだろうと思う、早々に立ち去ろうと立ち上がると、
「女子寮の子だよね?」、、、そう声をかけてきた。
・・・施設の人間でなければ
{女子寮}とは聞かない。
警戒心の解けたあたしは、思わずこう尋ねた。
「お兄ちゃんだれ?」
「なんで、あたしの事知ってるの?」
不思議そうな、顔で見上げたあたしに、
膝に手を当てると、少しかがんで
包み込むように、にっこり微笑んだ
「何度か見かけたよ!ミサを抜け出したときにね!」
と、にっこり微笑んだ。
・・・和也との出会いだった。