蒲公英みたいな希望
誤字脱字等のご指摘ありましたら教えてくださいお願いします。
あれから投石器だけじゃ不安になり、出勤鞄ことデカめのメッセンジャーバックを漁った。
コミュ障の人間が仕事に慣れるまでは時間がかかる。もちろんストレスもかかる。
そうなると会話をしなくていい上リラックスできる趣味にのめり込む。
俺の場合釣りだ。鞄の中にはオモチャみたいな小型の釣竿に釣り具屋で売ってた小型ナイフにプラスチックの小物入れに釣針と重り、小さな浮きを入れて仕事上がりに電車乗って近くの港で波の音聞きながら釣るのが好きだった。
成果?坊主だけど海見ると落ち着いて仕事頑張ろうって思えたよ。
だけどまさかこんなところで役に立つとは、思わなかった。
釣り用のナイフを鞘から抜く。
鞘はベルトに挟んで、ナイフは落とさないようちゃんと握る。油断はしない。
草花の合間から小さな茶色の耳が見える。敵ならヤバイ。
周りを気にしつつ、後ずさり。相手はこちらへ来ない。むしろ逃げてくれた。
呼吸を整え、歩き出す。
ドア枠達とお別れしてそろそろ1時間経つ。歩く視界にようやく草原から樹木生い茂る林が見えて、草丈も膝辺り。舗装はされていないが細い道も見える。
ようやく人に会える気がしてそろそろ嬉しいけど緊張した。