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最終話 世界の平和まもっちゃいました。

【どうしてそこまでするんだよ。ボクを消せば済む話だよね?】


 ハチベエが叫びました。


「ぐえへへへへへ。お主らのせいだ。お主らが余計なことをしでかしたからだ。」


 しばらく沈黙がおおいました。ビッチもハチベエも黙ってうつむいてます。

 ってかビッチまだいたの? 18話以降出てこなかったからどっか行ったかと思ったよ。


「あれ? 落ちてこないぞ…。なに! 何なんだ。こ、こんなことが。」


 天使、一人で勝手に顔を赤くしたり青ざめたりしてます。何があったの?


「お主の仕業か!」


 なんだか分かりませんが、たぶんそうです。


「落ちてきた月が近くを通った彗星に引き戻された。これも偶然だと? これも『運』だと? 認めてなるものか。」


 このときハチベエの目が光りました。


【月を落とすのは早計だったね。待っていたよ、キミが力を使い果たすこの時を。】


 ハチベエの周りに魔法陣が浮かび上がりました。


【おかげでこうしてキミを封印することが出来るよ。】


 天使は逃げようとしました。だけど魔法の鎖に縛られて身動きが取れません。

 始めっから、これやればよかったじゃん。

 天使はズルズル魔法陣に引きずられていきます。


「やめろ〜。やめろ〜。」


 もう最初のようなハナをほじる余裕はありません。

 あれ以上ほじったらハナ血出るからちょうどいいかも。

 怨嗟の声を上げながら天使は魔法陣に吸い込まれていきました。ナムー。


【おつかれ、カンナ。とりあえず終わったよ。】

「うん。」


 ビッチがひょこひょこ近づきます。


「カンナ〜、怖かったよ〜。カンナ〜、すごかったよ〜。」

「うん。」


【さあ、帰ろうか。】

「うん。」

「そうだね。」


 ビッチ、満開の『にへっ』スマイルです。

 その時、引きずるような足音が近づいてきました。だれ?


「お、俺の名を言ってみろ!」


 ビッチ、おずおずと口を開きます。


「ゴ、ゴールドさん?」

「ちがう。ヤスヒロ。」







【カンナ、今日もスイーツ? いい加減自堕落な生活やめようよ。】

「やだ。」

【モンスター狩りとかさ、なんか仕事したら?】

「怖いからやだ。」


 ビッチはもうここにはいません。あれからビッチはモンスターと天使をやっつけたときに、おこぼれでもらった大量の経験値でアホみたいに強くなってしまいました。

 『勇者アヤ』とか『英雄アヤ』とか呼ばれるようになったビッチは、いろんなひとにチヤホヤされて(おだ)てられ、ほだされ調子にのって各地に散らばる『魔の眷属』を次々とやっつけていきました。

 その活躍がこの国の王様の目に止まり、ビッチはイケメンと言ってはばからない大したことのない王子様と結婚してしまいました。

 ビッチは最後まで私を王宮に来るよう誘ってました。だけどビッチの下につくのは真っ平ゴメンなので「やだ」と丁重にお断りしました。


【カンナ、何度も言うけど天使は50年位したら復活するんだよ。それを止められるのはカンナだけなんだよ。それまでちゃんとモンスターと戦って強くならなきゃ。】

「やだ。」

【50年後どうするんだよ。】

「そのとき考える。」


「カ〜ン〜ナっ! おはよ。相変わらずだね〜。」


 ある日、王宮にいるはずのビッチが突然やって来ました。


【どうしたんだい? お姫様になったんだよね?】

「う〜ん、そうだけど。逃げて来ちゃった。」


 ビッチはビッチだから1人の男じゃ飽きたらなかったのでしょう。

 さすがビッチです。


【いいの? それで。】

「いざお姫様になったらさ、な〜んか違ったんだよね〜。」


 ビッチ、ケラケラ笑ってます。今ごろ王宮は大変なことになってるよね? 笑い事じゃないよね?


【それだけで出てきちゃったの。】

「それだけじゃないよ。だってあそこにはカンナがいないじゃん。やっぱりウチ、カンナと一緒がいいかも。な〜んてね。」


 『にへっ』とした笑い顔がにじんで見えました。

 ありがと。大好き、アヤ。






 そして150年後…。


【今回はあっという間だったね、カンナ。】

「うん。コツつかんだ。」

【帰ろうか。】

「うん。」

【帰ったら何する?】

「お墓参り。」

【毎日毎日よく続くね。】

「いいじゃん。」

【カンナ、1つ聞きたいんだけどいいかい。】

「いいよ。」

【いつまでテントで寝泊まりするんだい。お金ならあるだろ?】

「いいじゃん。別に…。」

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