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2つ目の願い

「2つ目の願いは、俺の声が聞こえないような場所に居てくれってのでどうかな」


 まあ、つまりはそういう事。

 これで3つ目まで言わなくていいし、どうしようもない時の為の3つ目も残してある訳で。だいたいの事なら悪魔が俺の部下に居るというそれだけで解決出来てしまいそうだしね。


 そんな余裕の発言の筈だったのに、全く意に介さないかのような素振りで。

「吾輩はどこに居てもお主の声を聞こうと思えば聞けるのだが……」


 なんてとんでもない事を言うのだ。


 じゃあ2つ目の願いは言わずに取っておくか?

 ……意志の弱い俺だから、絶対すぐ頼ってしまいそうだしな。

 やっぱり遠くに居てもらったほうがいいとは思うけど、それを願い事にしたらどう願えばいいのか。


「じゃあ、もうしょうがない。2つ目の願いはサキュバスを通して伝えるから、

 それまで目の届かない所に居てくれない?」


 予定はそんなに変わらない。


 要するに、悪魔が俺の部下にいるという現実を作り出す事が出来れば。

 それが最大の要点だし。

 変わらない筈だ、よな。





「まあ、よかろうて。

 後は部下のサキュバスをよこすから好きに使ってやってくれ」


 そう言うなり、パソコンのモニターに吸い込まれるように、戻っていった。


 ――――1時間前。


 バイトの時間にもまだ早いし、シフトも夜からに変えてもらったばっかりだし、何か暇つぶしが出来ないかとノートパソコンを開いて、メールフォルダを開いて。

 迷惑メールばっかりのフォルダを何気なしにだらだらと眺めていた。


 普通ならこんな捨ててもいいようなメールアドレスなんて殆ど見ないのだけど、今日は時間があったからたまたま。

 本当に偶然、そのフォルダを見つけたのだ。


『クリックするとサキュバスさんとムフフな事が起こるよ!』


 まあ、普通は見ないよね。こういうのってさ。

 時間があって、それでいて何かウィルスが入ってたら初期化しちゃえばいいやってなくらいの気持ちで。後はサキュバスというワードに惹かれて。


 多分、十中八九、エロゲーだろうと思いそれでも優良で無料ならどうかなー? くらいな、もう本当に気構えもなしにクリックしたのだ。

 そしたら、別のウィンドウが開かれて悪魔サイトでの契約してアカウントを取ってくださいという、やっぱりかって感じのモノが表示された。


 契約内容は思いっきり読み飛ばして、はい、同意します。


 そしたら、あの悪魔の年齢不詳な感じのメフィストが現れたんだ。

 もしかしたら、サキュバスの単語に惹かれて開いてる時点でもう未来は決まってたのかも知れない。


 ――――そうしてパソコン画面を目の前に、色々なタイプのサキュバスなのであろう女の子を選ぶ時が来たのだ。



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