耕太の考え
自室にて。
俺はこれでも目いっぱい考え抜いたつもりだ。悪魔との交渉なんてものはゲームでやっているけども、そもそもゲームなんだし現実に起こるなんて思ってもなかったし、どれが正しいなんてのはないんだろう。ゲームの印象しかない悪魔だけど。
でも、悪魔というのはまさに見た目通りの印象というか記憶にある姿のままだ。
この悪魔、名前をメフィスト族の代表だとしか名乗っておらず、そしてそこから察するに。
メフィストという悪魔に関係していて、それでいてある程度の力があることは十分に理解できていた。
まあ、呼び出せたのはほんの偶然だ。
本当に気まぐれで呼び出せたようなもので、ラッキー? と言っていいか分からないけども呼び出せたのだから、ここは本当に自分の意思で、ハッキリやりたいことをやろうと思う。
「それじゃ、最初の願いは……アンタの部下で一番優秀な奴を俺の部下に付けてくれ」
これはもうググっただけじゃない、オリジナルの発想だ。
そして、これが聞き届けられたなら、そいつに命令しても願い事の数にはカウントされない……と思う。
それなら? ずっと忠実な悪魔の部下が俺に出来る……筈だよな。
「ふうむ、面白いのう」
「出来るのか?」
「出来るが、そうだな……どんな部下が優秀だとかは、その判断を下す人間次第だからな」
「え? よく分からない」
「要するにだ、お主の好みを聞いてやろう」
「それは願い事にカウントされるのか?」
「そこまでケチな事はせんわい」
あれー? 悪魔って言ったらさ。もっとこうずる賢くてそれでいて人間の考えなんかお見通し的な、それでいていつも嘲笑っているかのような?
なんていうかこれは友好的過ぎじゃねえ?
まあ、確かに、不老不死とかいう願いじゃなくなった訳だから魂の確保は出来たのかもなんだけどさ。それだって、3つ目を言わない限りは大丈夫だろうし……。
この余裕がなんとなく、いやむしろ逆に気味が悪い。
この事態は素直に受け取っていいのだろうか? 等と考えていたら、
「そんな悩む事もないと思うぞ?」と、テキトーな事を言ってくる。
なんだろうなぁ、不安だけど。
……そりゃそうか、悪魔との交渉中なんだから。
とは言え、俺のプランではこれで間違いなく悪魔の部下が付く訳で、どう考えても完璧。
ならいっそ、完全に部下としての悪魔の能力に期待するしかないか。
後は容姿だが……出来れば女性型の悪魔がいい。
「サキュバスってのもサキュバス族みたいなのあるの?」
「ん? ああ、あるぞ」
「ならやっぱりサキュバスかなぁ」
サキュバスとはエロい夢を見せてくれる替りに生気を吸い取るという悪魔だ。RPGとかだと中盤くらいに出て来るな。
でも、中盤に出てきたにも関わらずずっと最後まで使っちゃうんだよねぇ。
やっぱりその設定がいいんだよね、うん。
「では、1つ目の願いはサキュバスを部下に付ける……これでいいのだな」
こうして俺はサキュバスを部下にして、悪魔使いとなるのだ。