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7/10

Truth


 夕食が豪勢だな。私――マルトス・ディ・プロセピナはテーブルに並んでいる中で一際目立っている魚の形をしたパイを見ながら思った。

 今日は娘の誕生日である。

 自分の子供が成長するのは嬉しい反面すこし悲しい……。

 まだ先なのは分かっているのだが、いづれは私達の元を離れてしまう。

 それを思うと――



「――それで、私は倒してやったのさ」


 食堂のテーブルを挟んだ向かいの席で、お義父さんであるオズワルド様が少し酔っぱらっいながら、私達の家に来るまでの顛末を話していた。

 こうして一緒に料理を囲むのは初めてなので些か緊張してしまうが、私たち夫婦の長年の望みであったので非常に嬉しい。


 妻も子供達も楽しそうでなによりだ。


 私は、そんなことを思いながら酒を口に含んだ。

 酒といっても私はあまり強いくないので、飲むときはたいてい果実酒だ。


 果実酒には色々こだわりがあるんだが……それは、またべつの機会にでも話そう。



 夕食が終わり、オズワルド様は旅の疲れと眠たさがピークに達したのか、私達と一言二言交わして部屋に帰ってしまった。


 それに続いて

 クレイオもララシーを連れて、どこかに行きだしたではないか。

 私は気になった……。

 この気持ちは、ただの興味だけでなく兄妹の微笑ましい姿を目に焼き付けておきたいというのも、あったのだろう。

 それはレシーナも同じだったらしく、自分に《隠密ステルス》の魔法までかけて気配を消しているみたいだ。


「そこまでする必要があるのか?」


 つい驚いて訊いてしまう。

 すると、レシーナの口からあまりに予想外の答えが返ってきた。


「ええ、雰囲気って大事だと思わないかしら?」


 …………。

 私は「そうだな」とだけ答えて、自分にも《隠密ステルス》の魔法をかけた。


 そうして私たちの、息子達を追いかける『ミッション』が始まった。

 私が先に進み、壁から息子達ターゲットを見定めつつ、後方のレシーナを手で合図をして呼ぶ。

 

 …………すごい楽しい。


 これを何度か繰り返すと、息子達ターゲットの動きが止まった。

 私達は壁に隠れて、2人の姿を眺める。


 クレイオは、ズボンのポケットの中から、腕輪のような物を出す。どうやらプレゼントを渡すみたいだ。


 いつもの私なら、二人の微笑ましい姿を見て和むのだが、

 その時だけ、ふと疑問が私の頭をよぎった。

 

 その疑問とは

 腕輪をどこで手に入れたのか? とかそのようなものではなく、それは本当に普通の腕輪なのか?というものだった。

 魔具なんてものを高々5歳の子供が持ってるはずがないと思いたいのだが、今までの私の息子の言動を見ると、そんな概念など通用しないことは経験済みなので、持っていても何ら不思議はないのだが……。


 そんなことを考えつつ、腕輪からクレイオの方に目線を変えると目が合った。


 まさか、魔法を使ってるのに気配に気付いたのか!?

 私は驚いて、横目でレシーナの顔を確認すると……クレイオの顔をじぃっーと見ていた。

 何故か寒気がする……。


 するとクレイオが突然、私達に背を向けて、その場を離れようとする。


 もちろん追いかけて、部屋に入ろうとするクレイオを呼び止めた――



 


    ――□■□――




―――気になって早く目覚めてしまった。

 あの後、あの腕輪が魔具なのかどうかをクレイオに確認したところ、やはり魔具だった……。

 まだ訊きたい事があったのだが、夜も遅かったので部屋に帰した。


 少し早いが訪ねてみるかな。

 私はベッドから、隣で寝ている二人を起こさないようにゆっくりと体を起こした。


 「あなた、どうしたの?」


 どうやら起こしてしまったみたいだ。


「いや、少しクレイオの部屋にでも行こうかと思ってね」

「私も行くわ」


 即答だった。

 レシーナも昨日から気になる事があるのだろう……。


 私とレシーナは、ララシーを起こさないようにして部屋を出た後、何故か急ぎ足でクレイオの部屋に向かった。


 足音がうるさかったのか、私たちが部屋に入るとクレイオは起きていた。


 レシーナは寝顔が見れなかった。と残念そうに言っていたが……。

 たぶんこれは、いきなり本題に入らず一拍はさんでから本題へ……。という業なのだろう。

 私は、いきなり本題に入ろうとしてしまうので、見習いたいものだ。



 それから話をしているうちに、私が強く言ってしまったからだろうか……。

 あの、産まれた時から泣いたことがなかったクレイオが泣いてしまった。


 すると、隣で私達の会話をずっと黙って聞いていたレシーナがクレイオのことを抱きしめた。


 私は直感的に、レシーナだけに抱きしめさせてはならない……自分も抱きしめなければ父親としての何かが終了する!! と思い、すぐに行動に移した。


 抱きしめていると、クレイオも段々と落ち着いたみたいで……。

「もう、大丈夫」と、恥ずかしくなったのか、頬をかきながら言った。

 そして私達から解放されたクレイオは、何か決心をしたような真剣な面持ちで口を開いた。


「聞いてほしいことがあります。大事な話です―――」



 そうしてクレイオの口から語られたのは、私の予想を超えていた話だった。



 その話をまとめると、

 1つ目、クレイオは前世の記憶があるらしい。

 2つ目、ステータスが年相応な部分もあるが、ずば抜けていること。

 3つ目、スキルが大量にあり、腕輪もスキルで作ったと。

 4つ目、最近になって『魔術士』の職業を手に入れ、今は『剣士』の職業の獲得を目指している。


 だいたいこのような事を言われた。

 にわかに信じがたい話だが、もし本当なら今までの言動に全て納得がいく。


 

 隣では、レシーナが険しい表情で「なるほどねぇ」と呟いている。

 その言葉に反応してクレイオが言う。


「……信じられませんよね。俺は、今まで父上と母上を騙していたんですから」


 息子のことは信じているが、少し信じにくいとういのも事実だ。


 しかしレシーナは、首を横に振りながら答えた。


「いいえ、信じてるわ。クレイオちゃんは私には嘘をつかないもの。だから、ちゃんと言ってくれてありがとう。……あとね、どうして今年のララシーの誕生日だけプレゼントを渡すことにしたの? 去年の私の誕生日にもプレゼント欲しかったわ。クレイオちゃんどうして?」


 レシーナの言葉にクレイオは困惑している様子だった。それにしても、よほどクレイオからプレゼントが欲しかったようだね。私のプレゼントでは満足してないのだろうか……。


 ああ、レシーナを見てると信じるとか信じないで悩んでる私の器がすごく小さいような気がする……。


 ふと、トントンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。

「失礼します」と入ってきたのはシエラだった。


 シエラは私達の姿、主にレシーナを見て一瞬で緊張した顔になる。


「旦那さま、奥さま、あの、お取り込み中、申し訳ありませんがそろそろお時間です……」

 

 それを聞いたレシーナは、コホンと咳払いをした後「まぁ、いいわ。クレイオちゃん行きましょう」とだけ言って、一緒に部屋を出て行った。



 ひとり残された私も少し悲しい気持ちを抑えながら、そそくさと部屋を後にするのであった……。

 



いや~。文章力が乏しいため、時間がかかりますね……。



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