第02話 2回目の人生スタート
いつの間にか、
こんな拙い作品を色々な人に見てもらって感激です。ありがとうございます。
これからも頑張りますので、よろしくお願いします!
目の前が真っ暗だ。
俺がこの世界に来て最初に思ったことがそれ。
それもそのはず。
母親のお腹の中にいたから当たり前なのだ。赤ん坊は7~10週頃から視覚が発達して来る、だから見えなかったのは当然。俺がその事に気付いたのは、耳が聞こえ始めた18週頃からだった。
―――今日で18週目だわ。だいたい半分ね。
外から品のある女性のが聞こえる。
そうか!!
赤ん坊が産まれるのは確か37週からだったなー。
俺は保健のテストだけは無駄に満点だったから、そういう知識はあった。
―――父上ですよぉー。
おうっ、急にビックリすがな。
―――あらあら、今動いたわ。あなたの声に反応したわよ。
―――私の事を呼んでるのかぁ~?
いやいや、ビックリしただけやし。
それから、だいたい20週後
俺は2回目の生を授かった。
「えっ、泣きません」
お腹を出たとき、メイド服を着たお姉さんが驚きながら言った。
しまった!! 外にいけば泣けると思ってたけど甘かった。しゃぁーない嘘泣きでもするか……
と思った瞬間――
いてぇぇぇ!! 突然、ケツを叩かれたり抓られた。
親ならまだしもメイドさんに俺のケツ……汚された!! もうお婿にいけないわ!!
俺は泣いてしまった。汚されて泣いたわけではなく単純に痛かった、力いれすぎ。
まぁ結果オーライだから良いんだけど。
「私の可愛い赤ちゃん、泣きやんで」
そう言うのは俺の母だろう。すっげえ美人だぁ。
はい泣き止みます! 美人の頼みは断りませんよ! まぁ俺の新しい母なのだが……。
「あらあら、泣きやんだわ。うふふ」
紫色の髪を揺らしながら笑う母は少女みたいで可愛いらしかった。
それから父との対面、これが若くてイケメン!
しかも黒髪……最初は日本人?
と思ったが全然違いますな。何せ金の瞳だし顔の作りも違うしなー。
さっきからずっと頬を、すりすりしてくるけどイケメンには変わりない。爽やかやすぎるわ。
美人の母とイケメンの父の血を受け継いだ俺も……たぶん美男子になる! そう俺は思った。
そして俺が産まれてから一週間後、事件が起こった。
いや別に事件と言っても誰かが殺されたり泥棒が来たり、そんな事ではないんだけど。
その事件が何なのかっていうとだな……
今、俺って赤ん坊だろ? それで両親の部屋で寝てるんだけど、
両親達が寝てるワイドキングサイズのベッドで2人目に励んでる。暗くて見えないけど声がね……。
軽くトラウマになっちまう。
今パソコンがあれば
両親が二人目作ってるけど、何か質問ある?
って某サイトで板を作れるくらいだ。
いや、そんなん作りたくないけどな……。
それから2年足らずで、めでたく妹ができた。
母に似た紫色の髪の毛に同じくアメジストのような紫の瞳。可愛いな~!
お兄ちゃん将来が楽しみだわ。
かく言う俺も父と同じ黒髪に金色の瞳。頑張ってイケメンになるぜ!
まだ2歳にもなってないけどね。
じゃあそろそろ、俺が産まれてから本を読んだりして学んだ、この世界の事を幾つか教えとくか。
その前に家族の名前を紹介し忘れてた。
まずは俺の名前からだ。
俺はもう「真田恭椰」ではなく
今は「クレイオ・ディ・プロセピナ」
プロセピナ子爵家の長男だ。
家の名前からも分かるように、うちは貴族だ。
父の名が
「マルトス・ディ・プロセピナ」
そして母
「レシーナ・ディ・プロセピナ」
んで妹が
「ララシー・ディ・プロセピナ」
家族は、この3人だけなんだけど……。
家にはメイドやら料理長などがいる。
それはまぁそのうち紹介するとして……。
それで本題のこの世界の事なんだけど。
まず、この大陸『セオリニア』というらしく。
人だけでなく魔物やエルフ、獣人などのデミ・ヒューマン、更には知能がある獣、賢獣と呼ばれているものがいる。
大陸平和なのかと思えば全然そうではないらしく、昔に比べるとまだ幾分マシになったらしいが戦争は続いている。
主に一部の過激派らしいけどね……。
そしてこの人間領には『テトリシン王国』『神聖ニュダルム王国』『帝政ロスフェア』の3つの国がある。
この3つの国は同盟関係らしいので戦争とかしていない。
人間同士で争ってたらどうしようかと思ったわ! 良かった。良かった。
俺が住んでいる所は『テトリシン王国』の中にある『クロディス』っていう街で俺の父の領地の中心部であり――だいたい人口は8千人ぐらいだ。
それに父が領地主なので家も敷地もデカい。なんせ山を切り開いてるから、山一個分が敷地みたいなもんだ。
窓からは裏庭とはいえない鬱蒼としげる森。
とにかく広く、当たり前だが東京ドームひとつぶんは軽く超えてる。
門から石畳の上を歩いて家に行くんだか、これが無駄に遠いんよ。
だから馬車に乗って屋敷まで行く。
まぁ家の自慢は、これくらいにして。
次は貨幣についてだ。
白金貨・黄金貨・金貨・銀貨・銅貨
単位はH。人間領の統一単位なんだって。
銅貨1枚→1H
銀貨1枚→10H
金貨1枚→100H
黄金貨1枚→1000H
白金貨1枚→10000H
日本円に例えるなら、
1H=100円
1才にもなってない時に親が冗談で教えただけなのに、俺が一瞬で覚えたから両親はビックリ!!
我が子は「天才」だの「神の子」だの言われたが、ちょっと騙して申し訳ない反面、少し得意げになってしまう。
親が喜ぶ顔は何か良いな!
前は碌に親孝行も出来なかったからな……。
それからすぐに文字をマスターしたのは、まずかったかもしれない。だって、日本の時に比べたらひらがなみたいに簡単だったし記憶能力も抜群なので……まぁチートですね。はい。
最初はそれなりの子でいようと思ったんだが、後々の事を考えると疲れそうだからな。
でも両親は俺に、
「私たち以外の前では普通の子でいなさい」
と注意された。
両親は俺が周りの注目を浴びせられるのが嫌なんだろう。
親心ってやつだな!
それからは屋敷の中でこっそり勉強するぐらい。
しかし如何せん体力がない。
そんなガッツリとはできず、いつの間にか寝てる。
それに母にベッタリされるから自由な時間がない。けど、それでいいと思う。
日本で生きてたとき母親に「小さい時は凄く可愛かった。小さい時は良かったわー」と散々言われてたのでな……。
子供時代は今しかないから、たくさん甘えている。
もう恥ずかしさとかはなくなった。慣れって怖いですな。
後は暦だな、地球で標準的に用いられるグレゴリオ暦と全く同じで1年=365日だった。
その辺は前の世界とややこしくならない様に神様が調整してくれたんだろ。気が利くわー!
少し違うとすれば早生まれという概念がなく、1月~12月に生まれたら子は、みんな同じ学年である事だ。
学年? 学校あるの? と思った人もいるだろう。
こっちでいう学校は、いわゆる『魔法学院』だ。この世界では、平民・貴族に関係なく皆が魔力を持つが魔力量が全然違うみたい……。
魔法学院には魔法使いの才能がある者は強制入学だが、貴族の者が大半を占めている……。
魔法が使える貴族の家系を辿っていくと世界ができた頃にいた魔法使いに行き着くらしい。本当かは知らん……。
貴族の全員が魔法使いになれるのかと言うと、そうではないらしく……その理由は貴族の中には平民上がりの者がいるので剣とかしか使えない貴族もチラホラいるみたいだ。平民と貴族の血を受け継ぐ子供は魔法使いの才能はあるが、片方が平民の血なので……魔力は普通より落ちる。
だから大体の貴族は、ちゃんと魔力を持った子供を作る為に貴族同士でしか結婚しない。これは常識みたいだ。
しかし平民生まれでも貴族と同じぐらいの魔力を持つ者が昔何人かいたらしいが、ここ数十年間いないっぽいな。
そして俺も10歳になると入学しなければならない。全寮制だからホームシックになりそうで嫌だな。
そんなこんなで、妹が産まれて4年が経った。俺は5歳になっていた……。