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プロローグ

 高校の卒業式を明後日に控えた俺は、高校生活の思い出を思い返していた。


 3年間……長かったような短かったような。

 いや、実際は6年間か。


 なぜかというと俺の通ってる学校が中高一貫だったからだ。

 しかも男子校……。もちろん彼女いない歴=年齢。

 中学生になりたての頃は男子ばっかりなので、それなりに新鮮だったのだが、

 そんな新鮮さなんて1年も続かない。気づいた頃には遅く、周りを見渡せば『野郎』しかいなかった。

 俺は「共学に行けば良かった!」と何度も思ったが……女子の目を意識しないで済む男子校には男子校なりの楽しさがあったので、それなりに充実してた。

  

 しかし毎日、男ばかり見てると目が腐りかねないので、朝の通学電車は俺のオアシスだった!!

 可愛い女子や美人お姉さんが乗って来るからだ。

 見るだけなら罪ではないと思うので、存分に堪能している。

 たまにモデル級の美人がいると、その日の学校でのテンションが上がるし、何をやっても調子が良い。

 朝の目の保養しだいで1日が左右されるということだ。

 「そんな大袈裟な」と思うかもしれないが俺にとっては死活問題である。


 後、どうでもいいが野郎にも色々な種類がいるんだ。

 『爽やか系イケメン』『ゴリマッチョな熱い奴』『美少年』『ザ・普通』『何か怪しい集団』『ホモ』etc.

 美少年は見た目は女子っぽいのだが、そんな目で見れな……いし。胸ないし。てか俺がホモになるし。

 

 俺は色々な奴と交流を持った。社会人になった時の人脈はやっぱり必要だと判断したからだ。

 色んな奴がいたけど、今となっては良い思い出だな。

 それも後2日だからな……。少し寂しい……。



 次は大学で人脈作りも大事だけど、やっぱり彼女でしょ!!

 と夢のキャンパスライフを想像しながら祖母と夕食を食べる。いつも通り健康的で味もうまい。

 祖母と二人で御飯を食べるのも、俺の中では当たり前に変化していた。


 えっ? 何で親がいないかって?

 現在、家出している……。

 大学受験の時に色々あって、喧嘩しちゃったんですわ。

 で、今いるのが母方の実家。

 祖父も亡くなってるから、俺が泊まると聞くと喜んでくれた!! まぁ、独りは寂しいしな。

 何やかんやで4ヶ月もいるし……。お世話になってます!!

 家族の方に連絡は、一昨日に大学に受かった事だけを姉貴にメールして携帯の電源を切ったままだ。

 まだ、少し気まずいっていうのもある。

 

 それから最近の夕食後は、テレビを観ながら祖母と雑談するのが多い。

 長生きしてる分いろんなことを知ってる祖母の話は色々と勉強になる。

 話が一通り終わると祖母から順番に風呂に入って寝る。それが俺の日常になりつつあった。


 そしてその日も俺はいつも通り眠りに就いた。

 いつもなら寝ている時は滅多に目覚めないのに、今日だけは違った。

 ふと誰かに起こされたような気がして、俺は目が覚めた。別に誰もいないのだが……。

 でも、そんな気がしたんだ。

 俺はトイレで用を足してから、ベッドに戻り2度寝をしようとしたのだが眠ることはできず結局起きることにした。

 しかし起きても何もすることがないので、俺はとりあえず散歩することにしたんだ。



 何故この寒い時期に散歩なんぞしようと思ったのかは自分でも分からない。

 しかし、これが運命の分かれ道だったことに気づくのは後のことだった。




―――時刻は2時を過ぎていた。

 コートを羽織って、コンビニで何か買うかもしれないということで財布を持って外に出た。

 肌が痛いぐらい寒い……。

 今日、こんな寒かったっか? と一瞬考えたが、

 寒いのは当然のことだ。冬だし深夜だし。とひとりでうんうん頷いて納得する俺。


 コンビ二で温かいもの、最近ハマってるホットレモンでも買いに行くか。と俺は思い

 近所のコンビ二に向かってる途中で改装中だったことを思い出した。

 寒いのがもっと寒くなった……。


 仕方なく、少し離れたコンビニに行く事を決めた瞬間

『ガガッガガガガガガガ』と何かが抉れる音がした。

 グランドの方からだ。

 俺は怖いお兄ちゃん達が「オラオラ」してたら嫌だなぁと思いながらも俺の中の好奇心が勝ってしまい、少しだけ見に行くことにした。

 走ることには少し自信があったので、危なかったら逃げたら大丈夫だろ! と軽い気持ちで決断。

 路地に入って、少し小走りでグラウンドの広場に向かう。

 「―――えっ!?」俺は目を疑った。


 天使? と悪魔? 数人が空中戦を繰り広げていた。どこの撮影やねん!!

 悪魔が指先からビームを出した後の『ガガガガガッガ』

 ってコンクリート抉れてますやん。さっきの音はこれか。やばいやばい。

 未知との遭遇とかしてみたいと思ってたけど……いきなりすぎる。心の準備が……。


 俺が呆然と立ち竦んでいると……

 悪魔の方が俺に気づいた、目が合って数秒。天使のほうも気づいた。

「どうしてここに人が!!」とかごちゃごちゃ言うとるけど、

 あれだけ音が聞こえたら誰でも気づくわ!

 と、ツッコミを入れてる自分に「俺めちゃ余裕やん!」ツッコミを入れる……。

 しかし1人でノリツッコミをしてる余裕なんてなかったらしく


 悪魔のひとりが、つまらなさそうに呟いた。

「迷い込んできたのか、死ね」

 その言葉と同時に手のひらから真っ黒いビームが!! さっきの指先のビームと違う禍々しいビーム!!

 なんで俺も指先じゃないんだ!! 俺、人間なんだけど!!


 しかし何だかんだ言いつつも、よく見たら避けれるんじゃ……と思ったが、

 無理だった……。

 自分はどうやら特別な力も何もなかったみたいで……。

 命中した腹を見るとパックリと穴が、そこから流れる鮮血。一向にとまる気配がない。

 だめだ力がでない。

 俺は、その場に崩れ落ちる。

 さすがに腹を押さえていた手に付いた血を見て「何じゃ、こりゃあ!」と、そんな余裕は無く……

 その血を見て意識が徐々に遠のいていく。



 天使が何人も駆け寄ってくる。パトラッシュ達になったみたいだと思ったのを最後に俺は力尽きた。




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