第3話:悲劇:2
これで最後です。初めて最後まで書いた本です(笑。って言ってもまだ二回目でもう一つの作品はまだ制作途中ですから期待していてください。
妙に騒がしく僕は目を覚ました。
「あっ!」
部屋の扉が開き人が部屋に侵入する。
犯人の手には間違えなく小型のナイフがある。
犯人は足音をたてずに健一のベッドに飛び乗り口を押さえ腹を刺す。
「うぐっ!」
健一はその後動かなくなる。
僕は声がだせずにベッドから転げ落ちた。
必死に
「拓海逃げろ」
って声をあげた。
どうやら起きていたらしく部屋の扉に向かうが腹を蹴られて尻をつく。
僕はカバンを開け包丁をとりだそうとするが中々とりだせない。
『早く…早く!拓海が殺される』
心の中で叫びながら僕は包丁を手した…
「あぐ…」
拓海は床なドサっと倒れて痙攣してから動かなくなる。
「うひゃひゃ」
犯人のとても低い笑い声が聞こえる。
僕は犯人に怒りを覚えた。
それにわかっていながら寝てしまった僕にいらついた。
はしゃぎ過ぎて疲れて寝てしまった。
はしゃがずに寝ていればと後悔した。
「殺す…」
低い声……
しかし今度は僕の声だった。
「お前なんかぁぁぁ!死ねぇぇぇ」
僕は前屈みで犯人に突っ込んだ。
背中を刺された……
痛みを感じなかった。
けど僕は犯人の腹を刺した
「うぐっ…嘘…だ…ろ。グファッ」
犯人は血をはいたて倒れた。
僕の意識はそこで途切れてしまった。
目を覚ますと僕は病院にいた。
周りには警察がいる。
『やった…僕は信二や他のみんなを…守ったんだ!』
健一と拓海が死んだことは悲しかった……
けどそれ以外のみんなを守ったんだと自分に言い聞かせた。
「起きましたか…」
警察の人が僕に話しかけてきた。
僕は褒められるんだと期待した。
「よくやった」
とか
「君はヒーローだ」
とかそんな言葉を期待した。
しかし…
警察の発した言葉は僕の期待を壊すどころじゃなかった。
「友人から事情を聞きました。君はまだ健一君と拓海君は死んでいると思ってますか?」
「はぁ?」
わけがわからなかった。もしかして健一と拓海は生き延びたのかと思った。
「健一君と拓海君は怪我一つしていません。しかし信二君は……亡くなりました」
「嘘…でしょ?」
だって健一と拓海は刺されたはず……
信二は僕が守ったじゃないか……
「わかりませんか?あなたが刺したのは信二君です」
「そ…そんな」
「信二君は健一君と拓海君を刺した……これでね」
警察の人が袋をだした。その中にはナイフがはいっていた。
警察は袋の中からナイフをとりだし僕に向け腹に刺してきた。
「うわぁぁ!」
い…痛くない。
「これはおもちゃです」
警察は指先でナイフの先を押す。
ナイフの刃は徐々に小さくなり無くなった。
「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!僕は信二を殺してなんかいない。僕を騙そうたってそうはいかないぞ!」
僕は警察にタックルをした。
しかし警察はぴくりとも動かず僕はベッドに跳ね返された。
「なぜ君がナイフを持っていたか説明してもらいたい。大丈夫、君に非はないし逆に君を騙した彼らが悪い。だから何も気にする必要はない…けど夕方にはお母さんが向かえに来るから一緒に帰りなさい」
「ふざけるな…」
低い声…
僕は警察にタックルする。
警察はあっさり吹き飛ばされ壁に頭をぶつけ倒れた。
僕は病室を抜けて走り回った。
「よっちゃん待って」
病室に向かっていた先生が僕が逃げているのを見て言った。
しかし僕は止まろうとしなかった。
いつのまにか僕は屋上にいた。
「僕は…僕わぁぁ!」
助けたと思った。
また幸せな時間に戻れると信じていた。
このまま人殺しで生きていたくはない……
先生が屋上に息切らしながらいた。
「よっちゃん…君は悪くないから…だから病室に戻ろ」
僕はフェンスを上り景色を見渡した。
海が見える。
不意に水族館での事を思いだす。
「ずっとあの日の生活が続けばよかったのに…」
けど願っても信じても何をしても変えられないことがある。
人殺しという汚名は消えない信二君の命も戻ってこない。
「こんな世界消えてしまえ……」
低い声……
僕は飛び降りた。
いままで読んでいただきありがとうございました。