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2.魔手の神託


「…むぅおおおっほん!」


大きすぎるほどの咳払いをしたおうさまは、再び玉座に鎮座してこちらを見下ろしてくる。


(尊大な態度してるけど…汁まみれになって従者たちに回収されてったこと忘れてねぇからな…?)


お召し物も替えているようだし、先程より俺を見る目が怯えるような、軽蔑するような目に変わっている事を俺は理解しているぞ。


「…どうやらお主に与えられているのは、魔手の神託(スキル)のようじゃな」


「ましゅ?」


「触れることで効力を発揮する…それが魔手じゃ」


それから、今まで現れた魔手の持ち主たちを含めて色々とおうさまは語っていた。


─触れた者を業火で滅却するスキル

豪炎の魔手───


─触れた者の万病を治し、傷を癒すスキル

治癒の魔手───


─触れた者の精神を自在に操るスキル

支配の魔手───


……じゃ俺のスキルはなにになるんだろう。


─触れた相手に恥ずかしい思いをさせるスキル

恥辱の魔手───


とか?


……絶妙に格好つかないなぁ…、もっとマシなスキルがよかった。それこそ、The 勇者 みたいなスキルとか。


最強の剣士になれるスキルとかなら、魔王なんてサクッと倒して元の世界に戻れるってのに…。よりによってもこんな、戦いに不向きなスキルになっちまったんだろう…


こんなんで魔王倒せとか…馬鹿じゃねぇの…?




「…勇者よ、こちらをみるのじゃ」


ぼんやりとしていた意識を、おうさまの一言が引き戻して、前を向く。


そこには、目深にフードを被った、一人の女がいた。灰色を基調とした聖職者のような格好をしている。


その周りには白を基調とした聖職者の格好をした男が2人立っていた。


男が女のフードを脱がせると、その女の青く光る目が俺をじっと見つめてきた。不思議な光で、明るいはずの部屋の中でもその光は浮いていた。


「…神託(スキル)の名は……絶対絶頂(ゴッドハンド)


苦しげにスキルの名前を紡ぐと、女の目から光は消えて、意識を失って倒れる。2人の男は、まるでモノを扱うかのようにして、その女を引きずろうとする。


何があった、とか、女は誰なのか、とか。色んな疑問があったが、真っ先に俺が抱いたことは。


(…ちょっと、それはダメだろ)


俺は、2人の男に歩み寄る。


「俺はその女が誰なのかも、どんな存在なのかも知らない。でも…女をそんなに手荒に扱っちゃダメだろ」


男は狼狽えて、こちらを見てくるが、その女の足を掴み。そのまま立ち去ろうとする。


俺はまともに女の子と話したこともない、触れたことも幼稚園の頃に1度だけだ。でも、そんな風に扱っていい訳がない、それは分かる。


「…話、聞けよ」


俺は、その男の手を掴んだ。


「んぐぅッ……ぅんぉお”ほぉぉッ!!」


──瞬間、男の身体は激しく痙攣した後、地面へと崩れさる。


これが俺の力、俺のスキルの名前は……



───触れた者を強制的に絶頂させる。

絶対絶頂の魔手(ゴッドハンド)───だった。




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