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web小説を極めたい  作者: シンリーベクトル


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9/10

テンプレの劣化

テンプレの寿命


――「ダンプ・神・追放」にもう必然性はない


Web小説の序盤には、決まって同じ儀式がある。

ダンプに轢かれる。

神さまにスキルを授かる。

そして、パーティーや村から追放される。


かつては“異世界物語の三種の神器”だったこの流れも、

いまや読者のセフティ(安心)を超えて、惰性になりつつある。



「なぜそれを書くのか」が失われた


従来のテンプレは、物語の導線として“便利”だった。

現実と異世界をつなぐ明確な切れ目。

読者がすぐ理解できる安心設計。


だが、今となっては多くの作品が――

「なぜそのシーンがあるのか」

に対する必然性を失っている。


・ダンプに轢かれても、その死が後の物語に何も影響しない。

・神にスキルを授かっても、神の意志や世界構造と結びつかない。

・追放されても、結局「ざまぁ」へ一直線。


ブラック企業に勤めていたとか、引きこもりだったとか、

そこに“人間としての痛み”が描かれないまま、ただの設定説明で終わっている。


正直、読者としては――


「だから何?」

という感想しか残らない。



テンプレの本質は「橋」ではなく「摩擦」


本来、テンプレとは“物語を始めるための橋”だったはずだ。

だが、橋の上で立ち止まったまま、誰も向こう岸へ渡っていない。


「転生」は逃避ではなく、

「なぜ現実を捨てたのか」「なぜ異世界を選んだのか」まで掘り下げて初めて意味を持つ。

「神から授かる」は、万能アイテムではなく、

「神の意志」や「その力の代償」を描いてこそ物語になる。

「追放」は、可哀想な境遇ではなく、

“ユナイトが壊れた瞬間”としての心理描写が必要だ。


摩擦がないテンプレは、もう“儀式”ではなく“作業”だ。

そこにセフティ(安心)はあっても、ラーニン(発見)もユナイト(共感)も生まれない。



今、必要なのは「必然の再構築」


読者が求めているのは「わかる設定」ではなく、「納得できる理由」だ。

テンプレを排除するのではなく、**“なぜそれが起こるのか”**をもう一度問い直すべきだ。

•なぜその人物は轢かれなければならなかったのか。

•なぜ神は人間に力を与えたのか。

•なぜ仲間は主人公を追放したのか。


そこに作者自身の思想やリアリティが流れ込むとき、

テンプレは再び息を吹き返す。



結論 ―「形」ではなく「理由」で読まれる時代へ


もう、“お約束”だけでは読者のセフティは動かない。

安心よりも、整合。

整合よりも、納得。

納得があって初めて、共感が生まれる。


テンプレを使うことは悪ではない。

だが、「使う理由」がなければ、それはただのコピーでしかない。


物語とは、構造の模倣ではなく、必然の証明である。

これからのWeb小説は、「何を書くか」よりも、「なぜ書くか」で決まる。



Psy-Sci Note:

セフティとは「安心できる設定」ではなく、「理解できる動機」のこと。

設定ではなく理由で心を動かす作品が、次の時代を創る。

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