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第27話 前世編EP4-星のささやき


その夜、控えの間には、ほのかな灯りと静けさが満ちていた。

ソフィーとダイアナは揃ってレオンの部屋へと向かう。


レオンは部屋を開けてくれ、中に入ると、丸い机を3人で囲んで座った。


どこか落ち着いた空気が流れていて、昨日までの緊張とは少し違っていた。


「ふふ……こうして3人でお茶をいただくなんて、なんだか不思議ですね」


ダイアナが微笑むと、ソフィーも小さく笑ってうなずいた。


「……緊張してたはずなのに、今日はなんだか少し、落ち着いてます」


「それは、ソフィーが頑張っているからだよ。」


レオンがやわらかい声でそう言った。


その言葉に、ソフィーの頬がほんのり赤く染まる。


ダイアナはその様子を見て、静かにティーカップを置いた。


「ソフィーは少し不器用なんですけど、とても真面目なんですよ。」


「……ダイアナ」


目を丸くしたソフィーに、ダイアナは微笑んだ。


「ずっと見てたからわかるの。少しずつだけど、ちゃんと歩けてるわ」


そのあたたかな言葉に、ソフィーは小さく「ありがとう」と呟く。


しばしの静けさのあと、レオンがふと窓の外を見た。


「今夜は、星がよく見える。……テラスに出ようか」


「……星?」


ソフィーが窓の外をのぞくと、夜空には雲ひとつなく、満天の星が瞬いていた。


「ソフィー、行ってきて。2人で星、見ておいで」


「……え? でも……今日は、ダイアナの……」


戸惑うソフィーに、ダイアナは優しく微笑みながら首を振った。


「レオン様との時間にも少しずつ慣れていかなくちゃ。でしょ?」


「ダイアナ……」


「私は大丈夫。早く行って」


その背中を押されるようにして、ソフィーは立ち上がる。


「行こう、ソフィー」


レオンが手を差し伸べ、二人は並んでテラスへと出ていった。



窓を開けると、透き通った風と星のきらめきが広がっている。

夜空はまるで宝石を散りばめたように光り、風がソフィーの髪をそっと揺らす。


「……綺麗」


ソフィーが空を見上げてつぶやくと、隣でレオンが小さく笑った。


「君に、見せたかったんだ。……こうして落ち着いて星を眺める時間も、きっと大事だから」


「……ありがとうございます。今夜……すごく幸せです」


その言葉に、レオンが一歩、ソフィーへと近づいた。


そして、そっと覗き込むようにして尋ねる。


「……これくらいは、してもいいかな?」


そう囁くと、ソフィーの額に優しく唇を落とした。


一瞬、息が止まるほど驚いたけれど、そのぬくもりに胸の奥がじんわりとあたたかくなる。


「レオン様……」


「焦らなくていい。君のペースで……一緒に進んでいこう。」


ソフィーはうなずいた。

言葉にならない想いが胸いっぱいに広がって、でも不思議と怖くなかった。


「明日も、3人でゆっくり語り合おう。」


「…はい。」


2人の間には暖かな空気が流れ始めていた。



部屋の中から、ダイアナはその様子を静かに見つめていた。


ふたりの間に流れる穏やかな空気に、ダイアナはそっと微笑む。


「……ソフィー、よかった。」


心からそう思えるのは、きっと、彼女が本当に大切だから。


微笑みながらも、その胸の奥には、ほんの少しだけ、言葉にできない切なさが揺れていた。

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