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第七回
桃太郎のストーリー。
それを人に説明することが出来るかどうか。
それは考えたこともないことだった。
歌を思い出せば説明はなんとかできそうだが、それだけで十分なのだろうか。
「おじいさんとおばあさんがいて、おばあさんが川に洗濯に行きます。」
「それから?」
「その川の上流から桃が流れてきます。」
「桃の木があったの?」
「それは知りません。」
先ほどの大学生が挙手をして話し始めた。
「も、もももも、ももは木に生えるのです、す、、か?」
桃は木に生えるのだろうか?
桃が木に生えるのを見たことがない。
やばいぞ、と思った瞬間に『どうぶつの森』の記憶がよみがえった。
「はい。桃は木に生えますよ」
私は安堵した。