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第五回
大学生の男性で年齢だけは若いものの異様な雰囲気を醸し出していた。
「どうぞ。」
私は発言を促した。
「も、もも、桃太郎は、」
案の定吃音の持ち主だった。
「桃太郎は?」
「ず、ずず、狡いっ」
青年は勢いよく座った。
誰も意味がわからず当惑していた。
「どうして狡いのですか?」
「ど、動物と、は、はなす、話せるのが、ず、ずるい」
「なるほど。学生さんは動物が好きなんだね。」
桃太郎が動物と会話をしたり仲間になったりするところは本当に羨ましいなあとみんなが納得したようだった。