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最弱属性魔剣士の雷鳴轟く  作者: 相鶴ソウ
第一章 学園編

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12話 国民区の騒動

「さてと、ガイナ達がマナと合流してここまで来るのにそれなりに時間があるよな。どうする? エヴァ」



 ガイナと別れてからとりあえず国民区大通りまで向かい、プラプラと歩いていた。ここから裏通りに入ればガーデルさんの店、『剣鉄』がある。



「んー、クロトはどこか行きたい所無いの?」



 この大通りには何百という商人が店を出しており、一年中お祭り騒ぎらしい。商人達が肩身の狭そうに露店を広げていて、売っているものも多種多様。これらを見て回るだけですぐに日は暮れてしまうだろう。



「うーん、そうだなぁ……」


「あ、あれ美味しそう! あれ食べよう?」


「ん、ああ。いいよ、行こう!」



 エヴァが食べたいと言ったのは茶色い球体の食べ物で、これまた茶色いタレと黄色いタレをかけ、その上にひらひらしたものを乗せた食べ物だ。

 名前は確か……『ターコヤーキー』だったか。イザベラさんが一度買って来てくれた事がある。

 エルトリア帝国からはるか東、海を超えた先にある大陸の国、大和帝国から伝わって来た食べ物らしい。



「へい、らっしゃい!」


「あ、ターコヤーキーを二パックください」


「あいよ!嬢ちゃん可愛いね〜 一個おまけしとくよ」


「え、本当! ありがとうございます」


「はいよ! 二パックで銅貨二枚だ」



 俺はおっちゃんに銅貨を払い礼を言って立ち去る。俺達以外にも列に並んでいる人も居たので、長居も出来なかった。



「いいおじさんだった〜!」


「ああ、そうだな」



 それにしてもこの辺りではエヴァの事を知らない人が多いのか? てっきり「氷の悪魔だー」なんて馬鹿な事を言って絡んでくるかもしれないと思って俺も来たんだが、余計な心配だったのかもな。



「ん〜おいっっしぃ!」


「それは良かったよ。しかし、よく喋るようになったな」



 俺はエヴァの頭をポンポンしながら言う。



「どっちかって言うと私はよく喋る方だよ。今までは私と喋ろうとする人が居なかっただけで」


「そうか、そっちのほうがいいよ」


「うん!」



 俺達は、ターコヤーキーを食べながら大通りを城側から外に向かうように歩いていった。途中エヴァが何度か食べたいといった物を食べたり、見たがった露店を少し覗いたりしながらブラブラと大通りを見回る。



「……ん、クロト。あれ」



 十分ほど歩いた頃、道の真ん中で人だかりが出来ていた。エヴァが袖を引っ張るのでよく見ると商人らしき人がゴロツキっぽい人に絡まれていた。



「おいおいおっさん、少しぐれぇいいじゃないのー」


「そうだぜおっさん。俺達に恵んでくれよぉ」


「や、やめてください! これ大切な商品です。あなた方に譲るなんて絶対に出来ません!」


「かてぇ事言うなよなー」



 ごろつきの方は酔ってるらしく顔が赤い。

 一方商人の方はおそらく戦えないんだろう、必死に抵抗しているがチラチラとごろつきたちの剣を見ている。いくら酔っぱらっているとはいえ、無抵抗の人に絡んでるのは見過ごせない。この人混みのせいで交通の便も悪くなってるし、誰も助けないならここは……



「エヴァ」


「わかってる」



 俺達は人をかき分け商人に近づく。



「やめろ!」


「ん、なんだてめぇ……ってガキかよ」


「ハッハッハッ。いいか? 坊主、ヒーローごっこはガキ共だけでやりな」


『ハハハハッ!』


「いい加減にして、殺すよ?」



 エヴァは怒りと冷気を滲み出しながら、空中に細長い氷の突起物を幾つも作り出し、ごろつき達に向ける。それでもごろつき達はゲラゲラと笑っている。

 エヴァが言うと全く冗談に聞こえないのだが、さすがに殺したりはしないと思いたいが……

 しかし、それにしてもこいつら酔い過ぎだろ。

 普通に考えればいくら子供とはいえ人理限界である氷術を使った時点でただ者ではないと気づいてもいいはずだ。現に人だかりの中にヒソヒソと話すのが聞こえる。『氷の悪魔』の噂がどのように広まっているのか知らないが、もしエヴァの見た目までバレていないのだとしたら、ここで氷術を使えば更にエヴァを追い詰める事になってしまうかもしれない。これ以上氷術を使わせないように、この場は俺が収めるしかない。



「ハハハ、おっかねぇなぁお嬢ちゃん」


「お、こいつ良く見たら結構いけるぜ。連れて行こう」


「お前のロリコンはなおらねぇなぁ、好きにしろ」



 そもそも騎士団や兵士は何してるんだ? 街を巡回している兵士が居るって聞いてたが、今のところ騒ぎを聞きつけた様子もない。元々お祭り状態の大通りだからこの騒動に気づいていないのか……?



「おい、お前ら」


「あ? なんだガキ。口のきき方には気をつけろよ?」



 一人の男が剣を抜いてこっちに向かってくる。

 話が早くて助かる。こういう奴らには実力でどっちが上かを理解させるに限る。ってイザベラさんも言ってたし。



「後悔するなよ?」



 俺はテンペスターを鞘ごと抜き構える。



「ハハッ! 坊主、剣が鞘に入ったままだぜ? 初めて使うのかな〜?」



 これだからバカは……こんな街中で血なんて流したら大騒ぎだろ。無血でこの場を収める。



「優しいお兄さんが使い方教えてあげ……ぐっ……」



〈黒帝流 剣狼〉



 未だにべらべらと喋っているごろつきに鞘に入ったままのテンペスターで腹に突きを入れる。



「…………う、おぇぇ」


「おっさん、へばるには早いぜ?」



〈黒帝流 双剣狼〉



 俺は左回りに回転し、遠心力で思いっきりごろつきの顔を吹き飛ばす。

 ごろつきは変な叫び声を叫びながら道端の樽に突っ込みノックアウト。



〈雷術 雷拳〉



 俺は驚いて動けていない別のごろつきをすかさず雷拳で殴り飛ばす。



「こ、こいつら……やべぇ」



 こいつら? と思い、ちらっと横を見るとビー玉サイズの氷の玉を幾つも作り出し、ごろつき達を滅多打ちにしているエヴァの姿があった。エヴァの氷術をあまり世間に見せずに済むように派手に暴れたつもりだったんだが……まだ出会って二日目で知らない事ばかりだけど、ここで我が身大事さに引っ込んでられるような子でもないか。



 俺も負けてられないと次の獲物に狙いを定め……る前に騒動は終わった。



「そこまでだ!!」


「あぁ? 今度は誰だ!」


「クロト、あれ」



 後ろを見ると人をかき分け五、六人の体格の良い男達がやって来る。全員一様に赤い鎧を着けているのをみるに、一般市民では無いのだろう。どこかで見た事があるなとぼんやり考えていると、先頭がアラン団長だと気づく。



「この街での暴力行為、並び我が学園の生徒に危険に晒した罪で全員ここで捕らえる!」



 助かった。騎士団が収集してくれるなら、これが最善なはずだ。俺達が変に暴れて余計な問題を起こすよりずっといい。俺はテンペスターを腰にさし直し、エヴァの元に駆け寄る。



「怪我、なかったか?」


「うん! あの程度の奴にはやられないよ」


「ですよね」


「おい、アルフガルノ、ハルバード。経緯を説明してもらっていいか?」


「あ、アラン団長」



 ごろつきを捕らえるのは部下に任せて事情聴取のためアラン団長が俺達のもとにやって来た。俺達は商人らしき人がごろつきに絡まれていた事、見過ごすわけにもいかず助けた事を軽く話した。



「そうか、騎士団長として一言、よくやってくれた。感謝する。特にアルフガルノ、剣を抜かなかったのはいい選択だ。剣を抜いてやりあえばそこらにいるごろつきと何ら変わらないからな。そして教師として一言、そんな危険な事にお前達が関与する必要はない。確かに遅れはしたが俺達も来ていた。そして闇雲に武力で押さえつけるだけが解決法じゃない。意味はわかるな?」


「はい」


「…………」


「まぁ、しかし、なんだかんだ言ってもお前達は正しかったと思う。よくやった」



 最後の言葉にエヴァがよしっと笑う。



 その後アラン団長はごろつき達を牢に送るため立ち去った。そして俺とエヴァ、商人がその場に取り残された。



「あ、あの!ありがとうございました」


「あ、気にせず!俺達が勝手にやったことですので」



 俺は商人の言葉に軽く返し、エヴァに耳打ちする。



「そろそろガイナ達も来ているかもしれない、行こう」


「……うん!」


「では、俺達はそろそろ」


「あ、お待ちを! せめてお礼を…………」



 後ろから悲痛そうな叫びが聞こえるが無視だ。別にお礼をしてもらう為に助けたわけじゃないし、時間に遅れてマナやガイナに小言を言われるのはごめんだからな。

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