第二十七話①
「ケヒャヒャ……んだ今のは? ……正直痛ぇ、ケヒャヒャ!」
ルビニスターは笑みを浮かべながら、おもむろに立ち上がる。
先程の一撃で仕留めたと思っていた為、未だに話をしながら立ち上がるルビニスターに、俺はえらく恐怖していた。
「まだ立ち上がるのだな……死んでもおかしくない一撃……だったとは思うのだが」
「俺でなければ、大概の奴は死ぬだろうよ……現に俺も限界だ。そろそろ三途の川を渡る事になる」
平然と話している様に見えるが、よく見てみると体は震えて口からは血を垂れ流している。
既に限界の様子だ。
「いやぁそれにしても……いい最後だ! ケヒャヒャ! 大満足だ、死ぬにしてはいい相手だった。感謝するぜ」
「感謝など不要だ。寧ろ俺は、これまでしてきた行為を村人達に謝罪してもらいたいのだがな」
「謝罪だ? 勘弁してくれ、死に目の言葉がそれだなんてつまらねぇだろ」
「散々人を殺してきた奴が発していい言葉だとは、思えないのだが?」
「別に俺は殺しちゃいねぇよ。ギンギラさんからも殺しの指示は出ちゃいねぇ」
「何人か村人が殺されたと言った証言があるが、あれらは村人達の出まかせか?」
「まさか、俺じゃなくて俺の仲間が勝手をやったんだろ。上司である俺の責任だと言われればそれまでだが、俺は殺しちゃいねぇ」
「……そうか。殺しをしていないのはわかった。だがお前が、お前達がした事は許される事ではない」
「分かっている。お前ら人間目線から言わせればそうなのだろうよ。だがな、力こそが全てであり、弱者は虐げられるのが当然と言った思想で生きてきた俺たち魔族からしちゃあ、謝らなければならない様な事は、何一つとしてしちゃいないだよ。ケヒャヒャ」
話すだけ無駄なのだ。
こんな事を言ってしまうのは、英雄を目指す者として失格なのだろう。
だが、魔族と人間は、そもそも考え方が根本からして違う。長い歴史の中で、魔族と人間は何度もわかり合おうとしてきた。そのような事が書物にも記載されてある。
だが結果として、双方の意見は食い違い、憎み合い、奪い合い、殺し合いに発展している。
人と人は話し合えばいつの日か分かり合える日は来るのかもしれない。
だが、根本的な生物として違う我々魔族と人間が、分かり合うのは非常に困難であり、俺から言わせてみれば不可能な事なのだ。




