第二十六話③
気を失わない事を意識し過ぎてしまったが故に、肝心の攻撃が疎かになっていることに気がついた。
俺の拳は既にルビニスターに当たったところでダメージが入らないほどの貧弱なものと化しており、それに比べてルビニスターは、未だに俺の体を破壊できるほどの威力を残している。
「ケヒャヒャ! そんな調子でどうすんだ!? 俺に勝つんじゃなかったのかよ!!」
ルビニスターはそう言いながら攻撃の威力を上げていく。
一撃で骨を砕ける程のふざけた威力を繰り出しながら、それを何度も連発してくるのだ。
体が砕けるのと同時に、床や壁など辺りが破壊されていっているのが目に見えた。
この建物が大切なのではななかったのかと疑問が過るが、そんな事は今のルビニスターにはどうでも良い事なのだろう。
兎に角今、奴はこの戦いを全力で楽しんでいる。
どれ程攻撃を仕掛けられようと、倒れることのない俺に対してとても嬉しそうな反応を見せているのだ。
だがそれもここまでだ。
既に準備は整っている。俺が奴に勝利するための条件が遂に揃ったのだ。
この戦いの中で幾度となく隙が生まれるのを待っていた。そして俺の体のコンディションも完璧だ。
俺は現状、右手が破壊されたままだが、敢えてその状態でルビニスターの胸元に殴り込んだ。
腕がゴンッと音を立ててぶつかるが、そんなものはルビニスターにしてはダメージにすらなっておらず、気にせず攻撃を繰り出してくる。
だがこれで俺の作戦は完了した。
ここで俺は勢いよく、力を発動したのだ。
「なっ!!」
ルビニスターは勢いよく吹っ飛んでいき、そのまま壁へと激突した。
胸元には今の攻撃によって生まれたアザが生々しく浮かび上がっている。
何をしたのか側から見ればわからないだろう。
俺は今、ルビニスターの胸元に腕を当てながら、拳を再生してみせたのだ。
原理としては、ものを強く押し込めば押し込まれたものが遠くへ弾かれるように、ルビニスターの胸元ゼロ距離で、俺の拳ひとつ分が胸に押し込まれて、弾け飛んだのだ。
体を貫通することなく、吹っ飛んでいったルビニスターの体の頑丈さには驚かされる。
これを繰り出すのには苦労した。
腕がまるまるなくなっていればこの攻撃を仕掛けるのは難しく、何よりもルビニスターがここまで興奮状態にならずに冷静でいられて仕舞えば、俺の攻撃が当たる事はなかった。
この状況に持ち込むまでにえらく長い時間をとられてしまったものだ。




