第二十三話②
バレないようにアジトへ近づいて、出入り口の付近に荷物を等間隔に分けて置いていく。
これらの作業をこなしていく中で、魔族側に俺の存在がバレてしまう可能性は随分と上がってしまうだろう。
言うなれば家の前で1人の男が、大荷物を抱えながら彷徨いている事になる。足音にせよ誰かがいる気配にせよ、そのようなものでバレてしまう可能性は高い。
もしも仮に作戦の最中に見つかりでもした場合、俺はこの荷物を並べ終えていなくても作戦を開始させるつもりだ。
そうでもしなければ、俺の作戦は失敗に終わってしまいかねないからな。
地道に作業をこなして、ようやく1つの荷物を除いて、全ての荷物をアジトの前に並べ終える事が出来た。
ひと段落ではあるのだが、まだただの少しも心が休まらない。それは当然のことだろう。本当の作戦は、魔族を撃ち倒すといった本来の作戦はまだ何も終わってはいないのだ。
心を何とか落ち着かせるように、じっと星を眺めなた後に、俺は作戦を開始する。
運んだ荷物を、全て剣を使い一刀両断していく。
刃がその荷物を斬りつける音が響き渡り、中に入っていた液体が溢れ、その匂いが辺りを包んでいく。
いよいよ魔族も中にでてくる頃合いだろう。
急いで全ての荷物を切り終えて、そこに投げ入れるかのように火のついた木の枝を投げつけ、急いで離れる。
するとその火が荷物に触れた瞬間、辺りにある荷物に勢いよく燃え移っていき、瞬く間にアジトの出入り口は炎で包まれた。
夜だというのに、真っ赤な夕焼けの中にいるような、そんな不思議な光景が広がる中で、アジトの中から魔族達の慌てふためく声が聞こえてくる。
「な、何だ急に!? 火事か!?」
「それはそうだがそこじゃねぇ! 敵襲だ!お前ら直ちに戦闘の用意しろ!!」
「つってもどうすりゃいいんだよ!! こんなんじゃ外に出る事も出来ねぇ!」
作戦の為に俺と村人達が運んできたのは、大量の酒などのアルコール類だ。このような混乱を引き起こす為に、出入り口を塞いで時間を稼ぐ為に用意してもらったのだ。
勿論、持って来たものはよく燃えるアルコール濃度の高いものを厳選してもらっている。
元々これらは魔族の貢物の1つとして用意されており、それを知っていた俺は、村人達に頼んで譲ってもらったのだ。
炎広がりを止める事を知らず、みるみるうちに森へ、そしてアジト周辺へ広がっていく。
「少しは頭を使え! 直ぐに出ようとするじゃなくて、先ずは火を消すんだ!」
「こんな状態じゃ向こうにいる奴らもこっちに入ってはこれねぇ! 今は火を消すんだ!!」
魔族達は急いで中から火を消そうといるらしく、バシャバシャといった水の音が聞こえてくる。
作戦のステップ1は、これで完了と言えるだろう。
これならば、時間を稼げそうだ。




