第十八話②
「一度退け、手本を見せてやる」
その言葉と殆ど同時に、魔族たちは一斉に自分たちのアジトの方へと駆け出した。
ただ1人森に取り残された俺は、一体何をされてしまうのかと、全身に力を入れながら身構えた。
――
…………一体何が起こったのか、俺は意識が朦朧とする中でそんな事を考える。
体全体が痛んで動く事が出来ない、どうやら殆どの骨が砕けてしまったみたいだ。
力を振り絞りながら既に折れた首を動かして、震えながら辺りを見渡すと、ルビニスターが視界に写った。
あーそうだ。俺はアイツの魔法にやられたのだ。
それも情けないことに、ただの一撃でだ。
アイツの使用した魔法の威力は凄まじく、その魔法が直接当たるよりも前に、飛んできた木々や瓦礫に巻き込まれてしまい、俺はこんな有様となってしまった。
焼け焦げた匂いがする、恐らくアイツは炎に関係する魔法を使用したのだ。
よく見てみると、あたりに転がっているものは破壊されたと言うよりも、燃えて灰となってしまっているものばかりだ。
歩く音が聞こえてくる、どうやら誰かがゆっくりとこちらに近づいてきているみたいだ。
「……ボス、既に死んでるみたいですぜ」
常に死んでいるような見た目をしているのだ、そのように勘違いされてしまうのも無理はない。
それに屈辱的ではあるが、今はそう思われていた方が都合がいい。
今から魔法で体を回復してアイツらに挑むとして、既に木々が朽ち果てて、更地となったこの場所では、先ほどのような戦いは実現できない。
大量の魔族たちに袋叩きに合うのがオチだ。
今は情けないが、このまま死んだふりをする他ない。
「……念の為頭を踏み潰しておけ、スケルトンはそれで絶命する」
「わ、分かりました」
その言葉と同時に、図体のデカい魔族が、俺の頭を踏み潰したのだ。
――
潰される直前に、俺は魔法を発動された。
俺の頭は粉々に踏み潰されてしまい、その後、今のように回復したのがわかる。
……だが、一つ気がついたのは、潰されてから回復されるまでの記憶が存在しない。
つまりは潰されている間、俺の思考は止まってしまうと言うことになる。
……危なかった。
もしも仮にあの時、直前に回復魔法を発動していなければ、思考ができないが故に魔法を発動できず、死んでいたのではないか?
戦いの最中でなくてよかった。今この瞬間気がつけたのは幸運だろう。
自分がどのようにすれば死ぬのかわからなかったが、どうやら回復魔法を発動する前に、頭を潰されれば、俺は死んでしまうらしい。




