第十八話①
「ちょこまかと動きやがって!」
「正々堂々と戦えねぇのか臆病者が!!」
真っ向から立ち向かう戦い方には憧れるが、今の俺がそれをして仕舞えば、瞬殺されるのがオチだ。
それを避ける為なら、無様だろうと、卑怯と言われようと、馬鹿の一つ覚えのように逃げ回り、勝利を勝ち取ってやるとしよう。
俺は森に生えた草木を利用して、バラバラの行動となってしまっている魔族たちを、1体から2体ずつ的確に倒していく。
自分で言うのもあれだが、絶好調だ。
あまりにも調子がいい、勝ち筋がはっきりと見えてしまっている程だ。
このまま上手く進めば、ルビニスターと一対一での戦いが実現するかもしれない。
そうすることでやっと、奴らに勝利する可能性が出てくると言うものだ。
逃げては近づいてくる魔族を、木の木陰が狙って剣で切り付ける。今で既に10には届かないまでも、それに近しい数は倒してきている。
「はぁ……はぁ……」
息が随分と切れてきた、それすらも心地よく感じてしま程に俺は興奮を覚えているみたいだ。
それが故に魔法を使わずに、回復する事なく戦いを続けている。
戦っているうちに、魔族たちはどんどんと顔の色が悪くなっていく。疲れていると言うよりも、何か焦りを感じているように見えた。
随分と舐め腐っていた俺相手に、何も出来ていない事が情けなくなったのだろうか。
だとすれば、大人気ないかもしれないが、「ざまぁみろと」思ってしまうな。
「何にしてんだ……お前ら?」
すると後ろから、既に聞き馴染みとなった声が聞こえてきた。
俺はそちらへとゆっくりと振り返ると、辺り全体に圧力をかける程、怒りを露わにしているルビニスターの姿が視界に入ってきた。
その視線を肌に感じるだけで、肌がピリついているのがわかる。
それなのに、戦っている相手である俺に向けられた視線というよりかは、奴の仲間である魔族たちに向けられた視線のようで、魔族たちは体を震わせながら、その場で立ち止まってしまっている。
俺はどうやら勘違いしていたみたいだ。
奴らは、俺に太刀打ちできないが故に、顔を曇らせていたのではなく。
ルビニスターによる恐怖心から、ここまで怯えた様子を見せていたのだ。
1人の相手にここまで手こずってしまう、それがルビニスターの逆鱗に触れることを奴らは知っていたのだ。
それが原因で奴らは今も尚、俺になんて目もくれずに、子犬のように震えてしまっている。




