第十六話③
思考を巡らしているうちに、森の先が見えてきた。
俺はようやく見えてきた出口に向かって進んでいくが、森を抜けるといよいよ戦闘が始まる為、体全体が闘志や少しの臆病な気持ちでピリつき始めている。
少ししてからようやく森を抜けたわけだが、その先には遺跡のような建物が堂々と1つ建てられていた。
通常のギルドハウスは30人ほどが余裕を持って過ごせる環境になっているが、そんなギルドハウス3つ分はありそうな程、その建物は大きく迫力がある。
……一体この中に魔族は何体いるのだろうか。
途端に自分が、とても愚かな試合に挑もうとしているのだと感じ始めた。
外には魔族の姿は一体足りとも見当たらない。
皆は中で待機している可能性は大いにある為気が抜けない。
歴史を感じさせる薄汚い外装をしているが、中もこのようになっているのだろうか。
あんな下品な行いをする魔族たちなのだから、それがお似合いだと思いながら、俺はゆっくりとその建物に近づいていく。
少し近づいたところで大きな扉が視界に入り、俺はそこの前に立った。
ノックでもすればいいのだろうか、それとも勢いよく扉を開けて、「頼もう!」と道場破りの如く突撃すればいいのだろうか。
俺は悩んだ末にノックもせず、だからといって勢いよく開けることもなく、宿の扉を開く時のように、至って普通に扉を開いた。
すると、開けたと同時に大きな声が中から溢れてきた。
密閉された空間により中の声が聞こえていなかっただけで、どうやら中では魔族たちによるどんちゃん騒ぎが行われていたみたいだ。
楽しそうに酒を飲み、たらふく飯をくらい、皆と笑い、叫びあっている。
村人たちから巻き上げた食料を使ってだ。
俺は怒りを通り越したのか、こんな光景を見たにも関わらず、感情的になることもなく至って冷静な態度を見せた。
魔族たちは飲み食いに夢中で俺の存在にすら気がついていない。それもまた気に障り、俺は勢いよく扉を閉めて大きな音を意図的にたてた。
するとようやく魔物たちは静まり、俺の方へ体ごと視線を向けてくる。
「何だあの人間?」
「遠征組が知ってんじゃねぇのか?」
最初から俺の存在すら知らない者がいるみたいだが、いくつか村で見た顔の奴らも俺が誰なのかわからないといった態度を見せている。
全く待って本当に、舐められたものだな。




