第十五話①
「あんちゃんか、そこで待っててくれ」
ルビニスターが訪れた翌日の事、俺は剣を預けていた鍛冶屋に訪れていた。
昨日の夜、「剣が仕上がったから明日にでもこい」と、偶然出会った際にそう言われたからだ。
村はあんな事があった後だというのに、仕事を休む事はできないらしく、忙しなくと動き回っている。
先日と違うことと言えば、皆の表情がより暗くなっているという事だろうか。
正直見てはいられないな…。
「ほらよ、確認してみてくれ」
「すまないな、感謝する」
俺は剣を受け取って直ぐに言われた通りにそれをじっと見つめてみる。
すると直ぐに、預けた時との違いをいくつも発見することになった。
自分が先日まで使っていたものと同じとは思えないほどの艶や剣先の鋭利さ、そして全く持って違う輝きに、俺は目を見開いきながら、言葉を飲んで見続ける。
「どうだ? 上等なもんだろ」
「あー……これ程になるとは思っても見なかった。関心と、そして何より感謝するぞ。これで何とか戦えそうだ」
「「戦えそう」か…。本当にいくつもりなのか?」
剣の話からそれて、そんな事を店主は口にし始める。
昨日から、ニナ以外とはその話をしていない。
俺は問われた事に、包み隠さず自分の気持ちを伝える。
「そのつもりだ。俺が行かなければあの親子が殺されてしまう」
「あの親子には、この村を出ていくようにと、村長が伝えてある。本来できる話じゃねぇが、村長が力を貸すそうだ」
「……そうかそれはよかった」
それならばあの親子は助かることが出来るだろう。
この環境から抜け出せる事が出来れば、後は幸せにやっていってほしいものだ。
「だからお前は今直ぐこの村を去るんだ。あんちゃんはもう守るもんをしっかり守った。もう十分だろ?」
「……あの2人が逃げ切れたとして、そして俺がこの村から離れたとして、その後どうなるのか…余程の馬鹿じゃない限りわかる話だと思うが」
「それはアンタのせいじゃねぇ、気にする事ねぇから早くこの村を去るんだ」
「……気遣い感謝する。考えさせてくれ」
俺は再度剣の事でお礼を口にした後、その場からゆっくりと去っていった。
あの店主の言いたい事もわかりはする。
本来部外者の俺が、そこまで深くこの件に首を突っ込む事はない筈なのだ。
寧ろここで手を貸すなど、人が良すぎるというものだ。
「…だが俺は…そんな人間になりたいのだ」
何故なら英雄とはいつの日だって、そのような生き方をしてきた筈だから…。




