第十四話③
「……どう言った意味での質問だ?」
「そうだな……役職だとかそう言ったものではなく、種族を聞いてみたいところだな。ケヒャヒャ」
この口ぶりからして、恐らく俺の体に関してはバレてしまっているのだろう。
今は俺に近づきさえすれば、服の中身が見えてしまうようになっている。服には攻撃によって空いた、複数の穴があるからだ。
コイツにこの事を村人にバラされて仕舞えば、俺はこの村にいる事が出来なくなってしまうだろう。
そうなればこの村に滞在し、村人を守ることが出来なくなってしまう。
どうしたものかと悩んでいた最中、相手はこんな提案をし始めた。
「そうだいい事を思いついたぞ。ケヒャヒャ、俺の提案に乗ってみる気はないか」
「……どうせ碌な事ではないだろ」
「ケヒャヒャ、そんな事はねぇさ。後日改めて俺達のアジトに来てくれさえすれば、それでいい。お前について、少し気になることがあるからな。そうすれば、今回はコイツらを見逃してやるよ」
……出来れば断りたい提案だな。
奴らのフィールドに自ら赴くなど、殺されに行くようなものだ。ここで戦うよりも、圧倒的なまでに不利な戦いになってしまうだろう。
だが未だに子供の泣く声が聞こえてくる。
俺は返事に時間をかけてしまったが、相手の話に頷く以外の選択肢を選ぶことが出来ず、仕方がなく同意をした。
「ケヒャヒャ。じゃあ行くぞお前ら、品物だけはしっかり持っていけよ」
魔族は荷台に乗せられた女性を乱雑に地面に投げつけて、その場から去っていく。
ルビニスターは、相変わらず奏でられている奇妙な音楽のリズムに体を揺らしながら、ご機嫌そうに村から出ていった。
――
暫くの間、誰も会話をしようとはしなかった。
ただ子供は、母親に抱きつきながら大きな声で、泣き声をずっお上げ続けている。
「お兄ちゃん……」
今までにない程に顔を暗くしたニナがゆっくりとこちらに近づいたきた。
余程恐ろしかったのか、小刻みに体が震えてしまっている。
「……どうしたニナ? …怖かったよな」
「うん……ありがとねお兄ちゃん」
俺はそんなニナと同じ目線になるように体を屈ませながら、彼女が安心するような言葉をかけ続ける。
すると彼女はじっと俺を見つめながら、こんな事を言い始めた。
「お兄ちゃん……行っちゃダメだよ?」
「何処に……いや、魔族のところにか?」
ニナはじっと黙って頷いた。
彼女が暗い顔をしていた理由は、魔族に対する恐怖からではなく、俺があの者達のいる場所に行ってしまうのではないかといった、不安からだったみたいだ。
俺はそれを理解した後も、彼女の言葉に頷くことをして上げられなかった。
ただ何も言葉を返せずに、彼女の頭を撫でることしかできなかったのだ。




