第十四話②
俺は再度武器を構えて、辺りを見渡した。
魔族達は未だ無傷の者が多く、体力は消耗しているものの、まだまだ動けそうな様子だ。
魔族達は俺が武器を構え直したのを確認した後一度立ち止まり、じっと俺を睨みつけるかのようにしながら、自分たちも構えを取り直した。
剣を力強く握る度に骨の軋む音が聞こえる。
既に満身創痍という程に、体にガタがきている事がわかった。
『神の刻印』を発動させてもいいが、それは俺にとって切り札なのだ。こんなにも早い段階で使用して、相手に力を知られるわけにはいかない。
「ケヒャヒャ。おいお前ら、こんな奴相手にまだ致命傷どころか、傷1つ負わせられないのか? 見てみろ、血の一滴すら垂れちゃいねぇ」
笑ってはいるが、少しばかり腹を立てた様子でルビニスターは自身の仲間達にそう告げた。
仲間達はその発言を聞いた途端、身が引き締まったかのように武器を握る力を強めている。
ルビニスターを不機嫌にさせるべきではないと、恐れているのだろうか。
だがこいつらが動揺しているのと同様に、俺自身も焦りを感じ始めていた。
『神の刻印』もそうだが、この姿を知られるわけにはいかない。
出血をしていない事で、相手を動揺させる事ができたみたいだが、このままでは俺の体について知られかねない。
情けない話だが、勝利を収める事は難しそうだ。
あまりにも状況が悪すぎる。
だが、だからと言ってあの親子を見放すつもりはない。
あの親子を助ける、それが今回の俺にとっての勝利条件だ。
その直後、魔族が動き始めたのをきっかけに、再び戦闘が始まった。
とは言え俺自身はこの数に押されるばかりで、攻撃を仕掛ける事は出来ず、ただ防御に徹するしかなく、攻撃を何度かくらってしまい、被っているローブがいくつかの箇所切られてしまった。
俺はその後も、何とか体を見られないように気をつけながら立ち回る。
「…少し待てお前ら」
ルビニスターが、低い声でそう告げる。
その途端、周りの魔族達はルビニスターを怒らせてしまったと思ったのか、どっと汗をかき始めて顔を曇らせた。
ルビニスターは魔族にゆっくりと近づく。
近づかれた魔族は最後を悟ったかのように天を見上げたが、ルビニスターは何もする事なく通り過ぎて、そのままゆっくりと、俺の元へとやってきた。
目の前に立ち、構えすら取らずにじっと俺のことを観察している。
そして何かに気づいたかのように、ニヤッと笑みを浮かべながら俺にだけ聞こえる声量で言葉を放った。
「お前……一体何もんだ? ケヒャヒャ」




